第97回アカデミー賞の国際⻑編映画賞のイラク代表作品『バグダッド・メッシ ⽚⾜のサッカー少年』が8月7日(⾦)より全国公開。このたび、⼦を想う⽗の愛と、死と隣り合わせの検問シーンに胸が締め付けられる本編映像と、監督インタビュー&監督メッセージ動画&新場⾯写真4点が一挙解禁された。
今回解禁されたのは、⽚⾜を失った少年ハムディが地元サッカーチームへの⼊団を⽬指し、チームメンバーにテレビを⾒せることを条件に交渉を進める中、その⼤切なテレビが壊れてしまい、修理のために戦争で危険なバグダッドへ向かう⽗⼦の姿を捉えた⼀幕だ。


⽗ ・カディムは危険すぎる道中を懸念して反対していたが、紛争で⽚⾜を失った我が⼦の唯⼀の希望であるサッカーを奪いたくない⼀⼼で、バグダッド⾏きを決意する。しかし、⾞に乗った親⼦を待ち受けていたのは、⼀瞬の油断が死に直結する検問所であった。兵⼠から開⼝⼀番問われたのは「宗派は?」という質問。カディムは⾃らの本当のアイデンティティであるシーア派であることを必死に隠し、命がけで「スンニ派だ」と偽る。さらに、理由もなく⼤切なテレビを取り上げようとする兵⼠に返却を懇願するカディム。しかしその願いを遮るように突きつけられる銃⼝。「バン!」と撃つふりをして卑劣な嫌がらせをする兵⼠。いつ命を奪われてもおかしくない緊迫した状況に、誰もが息をのむシーンだ。


この検問の裏には、イラクが抱える複雑で凄惨な宗教対⽴の歴史が存在する。当時のイラクは少数派のスンニ派と多数派のシーア派に分かれており、少数派に属するフセイン⼤統領はスンニ派を優遇し、シーア派住⺠を抑圧していた。宗派の違いによる内戦状態に突⼊したイラクでは、双⽅が幹線道路で独⾃の検問を実施。敵と判断されればその場で射殺されることもあった。スンニ派が⽀配する検問所でシーア派であることが露⾒すれば、彼らの命の保証はない。我が⼦の夢を守るために命をかける⽗の深い愛と、過酷すぎるイラクの現実。⼩さな荷台で寄り添い合い、過酷な運命に⽴ち向かう親⼦の姿に、涙を禁じ得ないシーンとなっている。
あわせてサヒム・オマール・カリファ監督のインタビュー&メッセージ動画が解禁された。メッセージ動画では「日本で公開されることをとても嬉しく思っています。この映画をたくさんの愛情と情熱、そして多くの困難を乗り越えながら作り上げました。みなさんに楽しんでいただけることを願っています」と呼びかけた。
サヒム・オマール・カリファ監督インタビュー
―短編を⻑編映画にすることになった経緯を教えてください。
元々短編として制作された本作は、2015年にアカデミー賞短編実写部⾨の最終候補に選出されたほか、多くの国際映画祭で受賞するなど、⼤きな成功を収めることができました。元から⻑編化を⽬指して⽴ち上がった企画ではありませんでしたが、この⼤きな反響を受けて、プロデューサーから「⾮常に⼒強い物語だから、ぜひ⻑編映画にしよう」と提案をいただいたのです。それから10年近い歳⽉をかけて脚本や登場⼈物を深く練り直し、⻑編として制作することを決断しました。短編をご覧になった皆様にとっても、改めて観る価値が⼗分にある作品に仕上げることを何よりも重視しました。
―映画の題材として「サッカー」を選んだ理由は何でしょうか?
イラクにおいて、サッカーは最も⼈気のあるスポーツの⼀つです。特に当時のような戦争のさ中においては、スポーツという存在が⼈々の⼼を⽀える極めて重要な役割を果たしていました。私⾃⾝、24年前にベルギーへ移住した際、それまでイラクでずっと続けていたサッカーをやめてしまいました。家族と⼀緒に移住でき、幸せなはずなのに、なぜか⼼が満たされない感覚が続いていたのです。「何かが⾜りない」と⾃問⾃答を重ねて気づいたのは、⾃分にとってその⽋けていたピースがサッカーだったということでした。サッカーをやめてしまったから、幸せを感じられなくなっていたのだと気がつきました。だからこそ本作では、サッカーが持つ魔法や、⼈々を動かす⼒そのものを描きたかったのです。
―映画のタイトルにもなっている「リオネル・メッシ選⼿」をモチーフとして選んだのはなぜでしょうか?
実は映画を制作する前、私⾃⾝はメッシ選⼿に特別な思いがあったわけではありませんでした。ではなぜメッシだったのかというと、2009年にUEFAチャンピオンズリーグ決勝(マンチェスター・ユナイテッド対バルセロナ)があり、そこでメッシ選⼿が⼤活躍をしたからです。当時、世界で最も象徴的な選⼿のひとりだった彼をタイトルに据えれば、⼀⽬で「サッカーを巡る物語だ」と理解できると考えました。ただし同時に意識していたのは、ストーリーがメッシ中⼼になりすぎないようにすることです。これはメッシの物語ではなく、あくまでイラクの物語であるということを常に念頭に置いて制作しました。しかし何より嬉しい驚きだったのは、タイトルに名前を使わせていただいた後の周囲の反応でした。なんとバルセロナが公式にこの映画を取り上げて紹介してくれ、メッシ選⼿本⼈も本作の存在を知ってくれたのです。彼らが作品や、主演を務めたアフマド君のことを多くの⼈々へ発信し応援してくれたことには、⼼から深く敬意と感謝を抱いています。
―監督が考える「戦争がもたらすもの」とは何でしょうか?
イラクは常に戦争と隣り合わせの国でした。当然、戦争は即刻終結すべきものです。しかし戦争は破壊をもたらす⼀⽅で、⼈々や社会を⼤きく変⾰させる⼒も持っています。かつてヨーロッパや⽇本が悲惨な戦争を経て⼤きく発展したように、イラクにもまた、未来へ向けて変わっていく可能性があると信じています。
―⽇本の観客の皆様へのメッセージをお願いします。
私の⺟国の物語を、⽇本の皆さんと共有できる機会をいただけたことを⼤変嬉しく思っています。私は常に、観客の⽅々が映画館を出て家に帰った後も、描かれた物語や登場⼈物たちに思いを馳せ、深く⼼に残り続けるような作品づくりを⽬指しています。イラクは、⼦どもたちが⼦どもでいられる時間が短く、ヨーロッパなどの諸国に⽐べても、あまりに早い段階で⼤⼈になることを強いられてしまう国です。本作をご覧になった後は、ぜひ彼らが置かれた現実や物語、登場⼈物の胸中に深く思いを巡らせてみてください。それこそがこの映画の核⼼であり、そこからきっと新しい発⾒があるはずです。
まとめ(注目ポイント)
- 『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』8月7日公開第97回アカデミー賞国際長編映画賞のイラク代表作品が全国公開。
- 父子を待ち受ける緊迫の検問シーン危険なバグダッドへ向かう父子が、宗派を問われ銃口を向けられる本編映像。
- 監督が明かすタイトル“メッシ”の理由2009年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝での活躍をきっかけにタイトルへ採用。
- 監督インタビュー&メッセージ動画も解禁サヒム・オマール・カリファ監督がサッカーや戦争、作品に込めた思いを語る。
バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年
2026年8月7日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
STORY
2009年、イラク戦争下のバグダッド。メッシに憧れる11歳の少年ハムディは、仲間たちと泥だらけのサッカーボールを日々追いかけていた。しかし、一瞬の爆撃に巻き込まれ、目覚めたときには、片足を失っていた。夢も自由も奪われ、さらにアメリカの警備会社で通訳をする父を憎む者に家を焼かれてしまった一家は辺境の村へ逃れる。片足を理由に地元のサッカーチームから拒絶され、何もかもが変わってしまった世界で居場所を見失うハムディだったが、閉ざされた少年の心を両親の愛が動かし、もう一度夢を見るために一本の足でも立ち上がろうとする。しかし、戦争という無慈悲な現実はなおも容赦なく彼らに襲いかかる――。
監督:サヒム・オマール・カリファ
出演:アフマド・モハメド・アブドラ、ザフラー ・ガンドゥール、アセール・アデル
2023年|イラク、ベルギー、オランダ合作|アラビア語、クルド語|84分|シネスコ|カラー|5.1ch|原題 Baghdad Messi|日本語字幕 長夏実|後援 イラク共和国大使館|提供 ハーク|配給 Elles Films
© A Team Productions | Column Film | 10.80 Films | Macgyver
公式サイト baghdad-messi.jp




