ヒトラーやナチス・ドイツ、ホロコーストはこれまで多くの映画の題材になり、映画史に残る作品が生まれてきた。この夏は、奇しくも「ホロコースト」を題材にした作品が3本連続で日本公開される。 しかもそのどれもが“今まで描かれることのなかった実話”を基に描かれた作品。“600万人への復讐計画”、“12万人を救った報告書”、“ノルウェー最大の罪”とは? 歴史的悲劇の裏に隠された驚愕の事実をスクリーンで確かめよう。
1作目は 7月23日(金)より公開中の『復讐者たち』。初めてホロコーストの被害者たちによる大規模な復讐計画を描いた作品だ。
1945年、敗戦直後のドイツ。ホロコーストを生き延びたユダヤ人マックス(アウグスト・ディール)は収容所で離ればなれになった妻子がナチスに殺された事実を知り、絶望のどん底に突き落とされた。復讐心を煮えたぎらせ、ナチス残党を密かに処刑しているユダヤ旅団と行動を共にすることになったマックスは、より過激な報復活動をしていたユダヤ人組織“ナカム”に参加したことで、“プランA”と呼ばれる計画が進行中であることを知る。それは、ドイツ人600万人を標的にした驚くべき復讐計画だった。
ホロコーストを生き残ったユダヤ人たちがナチスのみならず罪なきドイツの一般市民600万人を標的にした無差別復讐計画を描く。戦争犯罪の被害者であるユダヤ人が加害者のナチスに復讐する映画と言えば、クエンティン・タランティーノ監督のバイオレンス・アクション『イングロリアス・バスターズ』が有名だが、本作は本当にあった“目には目を、歯には歯を”の復讐計画に関わった生存者たちへの取材に基づく正真正銘の実話映画だ。
復讐者たち
2021年7月23日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネクイントほか全国公開
出演:アウグスト・ディール(『名もなき生涯』『マルクス・エンゲルス』『イングロリアス・バスターズ』)、シルヴィア・フークス(『ブレードランナー2049』)
監督・脚本:ドロン・パズ、ヨアヴ・パズ
2020年/ドイツ、イスラエル/英語/110分/シネスコ/5.1ch/「原題:PLAN A」 /
日本語字幕:吉川美奈子/提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム
© 2020 Getaway Pictures GmbH & Jooyaa Film GmbH, UCM United Channels Movies, Phiphen Pictures, cine plus, Bayerischer Rundfunk, Sky, ARTE
公式サイト:fukushu0723.com
2作目は、 7月30日(金)より公開中の『アウシュヴィッツ・レポート』。 勇気ある脱走者のレポートが12万人の命を救った実話の映画化。
1942年にアウシュヴィッツに強制収容された二人の若いスロバキア系ユダヤ人が、実際に収容所を脱走し、アウシュヴィッツの内情を描いた32ページにも渡るレポートを完成させた。このレポートは「ヴルバ=ヴェツラー・レポート(通称アウシュヴィッツ・レポート)」として連合軍に報告され、12万人以上のハンガリー系ユダヤ人がアウシュヴィッツに強制移送されるのを免れた。
監督は「私たちは先人たちの過ちを繰り返してはなりません。だからこそ、これまで犯してしまった失敗の物語を描くことが重要です」とメッセージを寄せる。アカデミー賞国際長編映画賞・スロバキア代表作品。
アウシュヴィッツ・レポート
2021年7月30日(金)、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:ペテル・べブヤク 共同脚本:トマーシュ・ボムビク 製作:ラスト・シェスターク
出演:ノエル・ツツォル、ペテル・オンドレイチカ、ジョン・ハナーほか
2020年/94分/カラー/シネスコ/5.1ch /英・チェコ・ポーランド・スロバキア・ドイツ語/スロバキア・チェコ・独 PG-12
原題:Sprava 英題:The Auschwitz Report 日本語字幕:川又勝利 後援:スロバキア大使館
配給:STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト:auschwitz-report.com
©D.N.A., s.r.o., Evolution Films, s.r.o., Ostlicht Filmproduktion GmbH, Rozhlas a televizia Slovenska, Ceska televise 2021
3作品目は、 8月27日(金)公開の『ホロコーストの罪人』。 ホロコーストにノルウェー警察・市民らが加担していたノルウェー最大の罪を描く。
1942年11月、ノルウェー秘密国家警察・クヌート・ロッドの指揮のもと、警官とタクシー運転手らによって、ノルウェーに住むユダヤ人全員がオスロ港へと強制移送された。何も知らずに港に連れてこられた人々の前に待ち構えていたのは、アウシュヴィッツへと向かう船“ドナウ号”だった——。
平凡なユダヤ人家族の悲劇的運命を描く物語。2012年1月、当時のノルウェーの首相は、ホロコーストにノルウェー警察や市民らが関与していたことを認め、政府として初めて公式に謝罪の表明を行った。
ホロコーストの罪人
2021年8月27日(金)、新宿武蔵野館 ほか全国順次公開
監督:エイリーク・スヴェンソン 脚本:ハラール・ローセンローヴ=エーグ、ラーシュ・ギュドゥメスタッド
製作:マーティン・サンドランド 音楽:ヨハン・セデルクヴィスト
出演:ヤーコブ・オフテブロ、クリスティン・クヤトゥ・ソープ、シルエ・ストルスティン、ピーヤ・ハルヴォルセン、ミカリス・コウトソグイアナキス、カール・マルティン・エッゲスボ
2020 年/126 分/カラー/ビスタ/5.1ch ノルウェー語・ドイツ語/ノルウェー/日本語字幕:高橋澄 PG-12
原題:Den største forbrytelsen 英題:Betrayed 後援:ノルウェー大使館
配給:STAR CHANNEL MOVIES
©2020 FANTEFILM FIKSJON AS. ALL RIGHTS RESERVED.
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