韓国歴代興収10位を記録し、日本でも大ヒットした『7番房の奇跡』のイ・ファンギョン監督による待望の最新作『偽りの隣人 ある諜報員の告白』が9月17日(金)より、シネマート新宿ほかにて全国ロードショー。このたびイ・ファンギョン監督のインタビューが到着した。

「大統領軟禁事件がモチーフですが、観客が楽しめて感動もできる“物語”として撮りたいとおもいました」

本作は、1985年、軍事政権下の韓国を舞台に、民主化を求め自宅軟禁された政治家と監視する諜報員の“正義”を描く社会派ヒューマンサスペンス。本作で約2年ぶりに俳優復帰したオ・ダルスをはじめ、数多くの作品に出演するチョン・ウやキム・ヒウォンなど韓国を代表するベテラン俳優陣が集結し本国では初登場1位を記録した。

1985年、国家による弾圧が激しさを増す中、次期大統領選に出馬するため帰国した野党政治家イ・ウィシク(オ・ダルス)は空港に到着するなり国家安全政策部により逮捕され、自宅軟禁を余儀なくされた。諜報機関はウィシクを監視するため、当時左遷されていたものの愛国心だけは人一倍強いユ・デグォン(チョン・ウ)を監視チームのリーダーに抜擢。デグォンは隣家に住み込み、24時間体制の監視任務に就くことになった。機密情報を入手するため盗聴器を仕掛けたデグォンだったが、家族を愛し、国民の平和と平等を真に願うウィシクの声を聞き続けるうちに、上層部に疑問を持ち始める。そんな矢先ウィシクとその家族に命の危険が迫っていたー。

政治家の軟禁を監視するというテーマを選んだ理由について、イ・ファンギョン監督は次のように語っている。「今回、ヒューマンサスペンス作品を作りたいと思ったのが制作のきっかけでした。1973年の金大中(キム・デジュン)大統領軟禁事件がモチーフにはなっていますが、その事件をドキュメンタリーとして撮るのではなく、観客が楽しめて感動もできる“物語”として撮りたいとおもいました。映画の舞台となる80年代は憂鬱な時代ではありましたが、それだけでなく楽しいコメディ的な部分も入れて重くなり過ぎないように気を付けました」

政治的な重いテーマを扱っているが「観客が映画館で観たときに、ほっと力を抜いて楽しめる、自分の得意とするヒューマンドラマやコメディとして観客に届けたい」という思いだったようだ。

1985年の韓国という物語の舞台については「1985年当時は自分が中学生の頃です。当時は検閲が厳しく、劇中にも使われている『クルクル』という曲は当時、実際に禁止曲に指定されていました。ずっとクルクル回って人を惑わすからという、今考えてもよく分からない理由で禁止されていました。そういった皮肉も込めてこの楽曲を映画に使用しました」と楽曲使用の理由を語った。

本作には食事のシーンが何回も登場するが、そこにはこんな意図があったという。「主人公のユ・デグォンは監視する盗聴要員なので怖い役柄と言えます。しかし、彼を怖い人間として見せたくありませんでした。そこで、彼の食事やトイレなど日常の様子を多く描くことで、人間味のある温かなキャラクターを印象付けたかった

監視チームリーダー、ユ・デグォン役を演じた主演のチョン・ウについて「2004年に自分の作品(『あいつは格好よかった』)に出演してもらいましたが、その時はオーディションで選びました。まっすぐな性格が魅力的で、新人にも関わらずその時は大きな役を演じてもらいました。スポンジのように何でも素直に吸収して、何色にでも染まれるところが彼の魅力です。役によって全く違った表情を見せることができる素晴らしい俳優です」と褒め称えた。

一方、野党政治家、イ・ウィシク役を演じたオ・ダルスについて「前作『7番房の奇跡』でもヤクザ役として出演してもらいましたが、彼の出演過去作を見ると悪党の役が多かったので、これまでと全く違った役を演じてみて欲しいと思いました。そこで今回は大統領の役をお願いしましたが、彼は見事に演じ切ってくれました」とその演技を絶賛した。

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作品情報

偽りの隣人 ある諜報員の告白
2021年9月17日(金)より、シネマート新宿 ほか全国公開

監督:イ・ファンギョン(『7番房の奇跡』)
出演:チョン・ウ(『王の預言書』『善惡の刃』)、オ・ダルス(『国際市場で逢いましょう』)
2020年/韓国/韓国語/130分/シネスコ/5.1ch/原題:이웃사촌 /英題:BEST FRIEND /日本語字幕:安河内真純/
提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム

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公式HP:itsuwari-rinjin.com

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