2022年5月20日(金)よりシネマート新宿にて開催される、気が滅入る特集上映「狂人暴走・大激突」の第2弾「大暴走・野蛮地獄」より、圧倒的な希少性を誇る2作品『サイコマニア』『爆走!狼男』のオリジナル予告編が解禁された。
日本初上陸や日本初上映も含む、滅多にスクリーンで観ることのできない、世の中から見向きもされない常軌を逸した野蛮極まりない映画群が一同に会する特集上映「大暴走・野蛮地獄」。
日本初上映となるのは、連続爆弾魔、連続暴行魔、サイコ刑事の三つ巴大追撃戦が繰り広げられる全篇異常性充満の孤高の怪作『マッドボンバー』、映画史上最高の<ひどい映画>と云われるイギリスの暴走族映画『サイコマニア』、バイカー映画の三種の神器である暴走、リンチ、昼寝に黒魔術、蛇おどり、狼男を加えたてんこ盛り状態のアメリカ映画『爆走!狼男』の3作品。60年代末に全米を震撼させた未解決の連続殺人事件、ゾディアック事件に映画史上初めて挑んだ映画『サンフランシスコ連続殺人鬼』も初の正式上映となる。
さらに、凄絶なおもてなしとビールのあまりもの美味しさに我を忘れる男の、まさに“ビール・インフェルノ”とでも云うべき惨状を描く豪州の傑作『荒野の千鳥足』、まったく悪意のない善良な男が変態村に迷い込んでいたぶられる猛地獄『変態村』が久しぶりに上映。
他には自らをキリストの復活、悪魔とも称してヒッピーコミューンを殺人結社に変貌させ、全米を暗黒時代に陥れたシャロン・テート殺害事件を引き起こしたカルトの首領チャールズ・マンソンとそのファミリー誕生を綴った『チャーリー・セズ/マンソンの女たち』、1957年~67年にかけてハンガリーを震え上がらせた連続殺人鬼ペーテル・コヴァーチの実話を描いた『ハンガリー連続殺人鬼』、そして昨年から引き続き『アングスト/不安』『アメリカン・サイコ』『悪魔の植物人間』が再上映される。
左から『アングスト/不安』『アメリカン・サイコ』
いずれも絶望感、疲労感、不快感、そして凄まじい徒労感に襲われる強烈な作品であり、どれも監督やプロデューサー含めて映画人たちが本気で作った本気の作品ばかり。鑑賞することで必ず何かが心に残ること間違いなしだ。
このたびオリジナル予告編が解禁されるのは、とくに圧倒的な希少性を誇り、スクリーンで鑑賞できること自体がおかしいとまで云われる2作品『サイコマニア』と『爆走!狼男』。
1972年のイギリス製暴走族映画『サイコマニア』は<リビング・デッド>と名乗る暴走族が黒魔術により、本当の生ける屍に。不死の身体を手に入れることで死の恐怖から解放された<生ける屍>たちは、街中で好き放題の大暴走と悪戯を行う。海外では「ゾンビ・バイカー映画史上、最もカッコいい作品」「これほどまでに弁解する意志がまったく見られないほど堂々とした作品には出会ったことがない」などと評され、低予算のジャンル映画ながらも世界的にカルト的人気を誇る。日本ではソフト化はされているものの劇場未公開で、この度の特集上映で日本初の正式上映となる。
オリジナル予告編では暴走族の<リビング・デッド>たちの大暴走シーンの合間に黒魔術的なシーンが挟み込まれ、さらにはストーンヘンジ風のアジトでバイクでぐるぐる回る暴走族の姿や、悪戯によって被害に合う一般人のトラックの爆発シーンなど、何の映画かわからないが、様子がおかしいことだけはわかり、ただならぬ異様な空気が充満する内容となっている。タイトルである「サイコマニア」という言葉がナレーションとテロップで連呼されるのは、潜在意識に落とし込もうとする危険なものだ。
暴走族が自殺で不死身になる、映画史上最高の<ひどい映画>
『サイコマニア』
監督: ドン・シャープ 製作:アンドリュー・ドナリー 脚本:アーノルド・ダッソー、ジュリアン・ヘールヴィ 出演:ジョージ・サンダース、ベリル・リード、ニッキー・ヘンソン、メアリー・ラーキン
1972年|イギリス映画|90分|原題:PSYCHOMANIA(米国題:DEATH WHEELERS)
© 1991, Benmar Productions Ltd. 1996 TV Matters BV Assigned 2005 Ignite B.V.
さらに、このたび日本初上陸となるのが1971年のアメリカ映画『爆走!狼男』。60年代末~70年代に『イージー★ライダー』を頂点とする大ブームとなり、大量生産された米国産バイカー映画(暴走族映画)の中でも海外の一部では最高傑作と評される超怪作。暴走、リンチ、昼寝シーンがこのジャンルの必須かつ定番の条件の中、黒魔術と狼男という要素も加えてしまったてんこ盛り作品。
暴走族である<悪魔の擁護者>がひょんなことからサタンにパンと葡萄酒を振る舞われ、怪しい儀式を施された結果、次々と変死を遂げていく。これまで日本に輸入されたことはなく、約20年前に他のバイカー映画とともに買付けが試みられたことがあったが「この作品はあまりに特別だ。他の作品と同列に考えてはいけない」との言葉とともに他作品の10倍以上の権利料を要求されたことで買付けが断念された経緯がある。解禁されたオリジナル予告編は、暴走族に黒魔術を施すサタン<ONE>の呪文のような言葉で始まる。暴走とリンチもきっちり挿入されつつ、黒装束を纏ったモンクたちやサタンまで映り、そして本作で最も有名なシーンである<ヘビ踊り>も映る。
ナレーションでは「史上最もエキサイティングなモーターサイクル・ホラーを見逃すな!」「史上最もおそろしいモーターサイクル・ホラー!」と語られつつも、最後には「史上初めて作られたモーターサイクル・ホラー!」となり、よく考えるとつじつまが合わなくなっているが、作品が唯一無二であることは理解できるものとなっている。
暴走、リンチ、昼寝に黒魔術、蛇ダンス、狼男を加えたてんこ盛り金字塔
『爆走!狼男』
監督:ミシェル・レヴェスク 製作:ポール・ルイス スタント・コーディネーター:チャールズ・ベイル 出演:スティーヴ・オリバー、ドナ・アンダース
1971 年|アメリカ映画|85 分|原題:WEREWOLVES ON WHEELS
© 1971 FANFARE FILM PRODUCTIONS INC.
黒魔術と暴走族いう共通点を持つ『サイコマニア』と『爆走!狼男』は、おそらく世界中で他に同様の作品が無いことも相まって金字塔とされており、黒魔術暴走族映画の英米の頂点(というかこの2作しかない)であるこの2作が同じ劇場で同時に上映されることは世界的にみても相当な出来事といえる。シネマートのスクリーンが黒魔術と排気音でまみれるこの野蛮かつ貴重な上映を、ぜひお見逃しなく!
<見やすい上映スケジュール>
●5/20(金)~5/26(木):マッドボンバー | サイコマニア | 爆走!狼男 | サンフランシスコ連続殺人鬼
●5/27(金):悪魔の植物人間
●5/28(土):変態村
●5/29(日):荒野の千鳥足
●5/30(月):マッドボンバー
●5/31(火):サンフランシスコ連続殺人鬼
●6/1(水):アングスト/不安
●6/2(木):爆走!狼男
●6/3(金):サイコマニア | マッドボンバー
●6/4(土):ハンガリー連続殺人鬼 | サンフランシスコ連続殺人鬼
●6/5(日):サイコマニア | 爆走!狼男
●6/6(月):サンフランシスコ連続殺人鬼 | アメリカン・サイコ
●6/7(火):爆走!狼男 | マッドボンバー
●6/8(水):サイコマニア | チャーリー・セズ/マンソンの女たち
●6/9(木):マッドボンバー | サンフランシスコ連続殺人鬼
※上映スケジュールおよび上映作品はやむを得ない事情により予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
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