“不滅の名作”と絶賛された『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督最新作『秘密の森の、その向こう』(9月23日公開)の新場面写真が解禁された。作品誕生につながったという“ファーストイメージカット”も含まれている。

映画賞を席巻し、すべてのカットに美が宿る完璧な映像と忘れ得ぬ愛の物語を、世界中の人々が「生涯の一本」としてその胸に刻み付けた『燃ゆる女の肖像』。その名作を生み出したセリーヌ・シアマ監督が、真骨頂である女の深淵を描きつつ、全く新しい扉を開く最新作を完成させた。
それは8歳の少女を主人公にした「喪失」と「癒し」の物語。第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門での上映を皮切りに、各国の映画祭で上映され惜しみない絶賛評を受け続けている。主人公の8歳の少女ネリーと、その“8歳のママ”マリオンには、これが映画初出演となるジョセフィーヌ&ガブリエルの双子のサンス姉妹。『燃ゆる女の肖像』でセザール賞撮影賞を受賞したクレア・マトンの映像と、シアマ監督が仕掛けたいくつもの“奇跡”によって、胸が震えるほどの深い余韻を約束する唯一無二の作品がここに誕生した。
このたび解禁されたのは、時空を越えて育まれる娘と母との友情を切り出した新場面写真7点。セリーヌ・シアマ監督が本作の物語を思いついたのは、『燃ゆる女の肖像』の脚本を執筆していた頃。その際、「ひとつのビジュアルのイメージがふっと降りてきた」と明かすのが、今回解禁となった場面写真のうちの1枚で、秋らしい色彩の森の中で小屋を前に幼い少女ふたりが佇むこの場面だったという。

監督は、それを娘とその母親にしたいと考え、“ある少女が時空を越えて、子どもの頃の母と出会い友情を育む”というシンプルなアイデアを徹底的に掘り下げていった。この場面は、ネリーがかつて母が遊んだ森を探索していて出会った、母と同じ名前「マリオン」と名乗る同じ年の少女を手伝い、ふたりだけで完成させた小屋を誇らしげに眺めている様子を捉えたもの。出会って間もないふたりだが、一つのことを共に成し遂げ肩を組んだ背中に、どこか絆のようなものを感じさせる強い印象を残す場面でもある。この森は、監督自身が育った町にある、幼い頃によく遊んでいた馴染みの森だそう。真っ赤に染まった秋の森という監督のイメージを忠実に再現するために、沢山の押し葉が散りばめられた。
そのほか、家を処分するために訪れた祖母の家でネリーと母マリオンが、母が幼い頃に使っていたノートを見ている様子や、森の中やその周囲でネリーと幼いマリオンが育む唯一無二の友情を感じさせるカットなども。





監督は、「シンプルで分かりやすい設定だからこそ、映画にできるかどうか悩んだ。ものすごく慎重に作り上げた物語」と振り返るが、わずか数日を描く物語でありながら、それぞれに喪失感を抱える娘と母が時空を越えて出会うことで心に生まれる変化を予感させる情感豊かなカットとなっている。
『秘密の森の、その向こう』は9月23日(金・祝)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー。
秘密の森の、その向こう
2022年9月23日(金・祝)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
STORY
8歳のネリーは両親と共に、森の中にぽつんと佇む祖母の家を訪れる。大好きなおばあちゃんが亡くなったので、母が少女時代を過ごしたこの家を、片付けることになったのだ。だが、何を見ても思い出に胸をしめつけられる母は、一人出て行ってしまう。残されたネリーは、かつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女と出会う。母の名前「マリオン」を名乗るその少女の家に招かれると、そこは“おばあちゃんの家”だった──。
監督・脚本:セリーヌ・シアマ『燃ゆる女の肖像』
撮影:クレア・マトン『燃ゆる女の肖像』
出演:ジョセフィーヌ・サンス/ガブリエル・サンス、ニナ・ミュリス、マルゴ・アバスカル
提供:カルチュア・エンタテインメント、ギャガ 配給:ギャガ
原題:Petite Maman/2021/フランス/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/73分/字幕翻訳:横井和子/映倫G
© 2021 Lilies Films / France 3 Cinéma
公式サイト gaga.ne.jp/petitemaman