不滅の名作と絶賛された『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督最新作『秘密の森の、その向こう』(9月23日公開)に細田守監督、小島秀夫、長島有里枝ら著名人10名から絶賛コメントが到着した。
映画賞を席巻し、すべてのカットに美が宿る完璧な映像と忘れ得ぬ愛の物語を、世界中の人々が「生涯の一本」としてその胸に刻み付けた『燃ゆる女の肖像』。その名作を生み出したセリーヌ・シアマ監督最新作は8歳の少女を主人公にした「喪失」と「癒し」の物語。主人公の8歳の少女ネリーと、その“8歳のママ”マリオンには、これが映画初出演となるジョセフィーヌ&ガブリエルの双子のサンス姉妹。『燃ゆる女の肖像』でセザール賞撮影賞を受賞したクレア・マトンの映像と、シアマ監督が仕掛けたいくつもの“奇跡”によって、胸が震えるほどの深い余韻を約束する唯一無二の作品だ。
このたび本作をいち早く鑑賞した各界著名人10名より、想像力をかき立てられる絶賛コメントが寄せられた。
シアマ監督は学生時代から日本のアニメーション映画や作家に大いなる影響を受けたと語り、本作制作において特にインスピレーションを受けた作品に、細田守監督作『おおかみこどもの雨と雪』を挙げているが、そんな敬愛する細田守監督からは、「生と喪失との間を揺れ動く小さな命の折り重なりを極めて繊細に描かれており、息を呑む瞬間が幾度もありました」という感想と共に、自身の『未来のミライ』を連想したことや、インスピレーションの連鎖についての想いを語るコメントが寄せられた。
さらに、世界的人気を誇るゲームクリエイターの小島秀夫からは「セリーヌ・シアマ版の『となりのトトロ』」といった作品の世界観を彷彿させるコメントも届いている。
本作は娘・母・祖母という三世代の「喪失」や時空を超えた「出会い」がもたらす奇跡が深い余韻とともに描き出されているのも魅力だが、写真家の長島有里枝は「大切な人との別れに“Au revoir”ではなく“Salut”を望んだ8歳のネリーによって、本作は再会の物語となり、大人たちの孤独を照らす」と評し、『黄泉がえり』などを手掛けた作家の梶尾真治は「静謐で端正な映像の迷宮に浸りきりました!」、スタイリストの佐伯敦子は「深い絆が生む不思議の奇跡に惹き込まれる」とコメント。
作家の岩井志麻子は「救いであり、再生であることも教えてくれる物語の余韻は美しい。でもやっぱり、少し泣いてしまう」と心揺さぶられたことについて言及。また、漫画家の内田春菊からは、「自分が子供の頃遊んだ子の中に、母が混じっていたような気になってしまった。そんなわけないんだけど、もしいたとしたら、どう遊んだのだろう?仲良くなれたのかな?」と、シアマ監督が「誰もが自分に置き換えられる物語にしたかった」と語る通り、ネリーを自身に置き換えて物語に入り込んだコメントが寄せられた。
さらに、コラムニストの山崎まどかは「二人の少女の交流に、こんがらかった関係のままでいるたくさんの母と娘が救われるはず」、映画執筆家の児玉美月は「セリーヌ・シアマの次の作品が、こんなにも小さなかけがえのない宝物であることの驚き」、ライター・編集者の月永理絵は「奇跡のような瞬間が誕生」とコメントしている。コメント一覧・全文は以下にて。
『秘密の森の、その向こう』は9月23日(金・祝)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー。
『秘密の森の、その向こう』に寄せられた絶賛コメント(敬称略・五十音順)
お別れ、そして、さようなら。それは寂しいもの、悲しいもの、苦しいものではあるけれど。
救いであり、再生であることも教えてくれる物語の余韻は美しい。でもやっぱり、少し泣いてしまう。
――岩井志麻子(作家)
自分が子供の頃遊んだ子の中に、母が混じっていたような気になってしまった。
そんなわけないんだけど、もしいたとしたら、どう遊んだのだろう?仲良くなれたのかな?
――内田春菊(漫画家)
時を超えてきたのは“私”?それとも幼き日の“母”?
静謐で端正な映像の迷宮に浸りきりました!謎づくりが巧みすぎる。
――梶尾真治(作家)
秘密の森で無邪気に遊ぶ同い年の少女たち。美しい日常風景。見事な演出と色彩設計による映像世界に魅了される。
ただし、ふたりは母と娘。この不可思議な“混線”が、親子三代に渡る家族の“秘密”と、
“その向こう”に消えた別離を繋ぎ合わせる。なんともシンプルで優しい73分。
セリーヌ・シアマ版の「となりのトトロ」とも言える。いや、これは、さらにそのとなりの“向こう”側を包み込んだ傑作だ。
――小島秀夫(ゲームクリエイター)
『燃ゆる女の肖像』でレズビアン/フェミニスト映画のひとつの到達点を我々に提示してくれたセリーヌ・シアマの次の作品が、こんなにも小さなかけがえのない宝物であることの驚き。シアマはわたしにとって、今世紀最も愛すべき作家だ。
――児玉美月(映画執筆家)
美しい森に
少女たちの秘密の物語へとごく自然に導かれ、
深い絆が生む不思議の奇跡に惹き込まれる。
――佐伯敦子(スタイリスト)
「あなた」を見つめること。「私」を発見すること。たった二つの行為から、奇跡のような瞬間が誕生する。
――月永理絵(ライター、編集者)
大切な人との別れに“Au revoir”ではなく“Salut”を望んだ8歳のネリーによって、
本作は再会の物語となり、大人たちの孤独を照らす。
――長島有里枝(写真家)
セリーヌ・シアマ監督に、僕の作品「おおかみこどもの雨と雪」がインスピレーションを与えたと聞き、光栄に思います。
拝見しながら「未来のミライ」も連想しました。
生と喪失との間を揺れ動く小さな命の折り重なりを極めて繊細に描かれており、息を呑む瞬間が幾度もありました。
ミニマルな間尺の中に、かつて私たちも、この二度と来ないささやかな時を何度も繰り返してきたのかもしれない、
と思いを馳せました。彼女の映画から、僕も新しい映画へのインスピレーションを受けたいと思います。
映画同士も互いに影響し合い、作品から作品へ、大事なことをリレーのように伝えていくものなのかもしれません。
――細田守(映画監督)
幼心だけが理解できる悲しみがあり、かけてあげられる優しい言葉がある。
二人の少女の交流に、こんがらかった関係のままでいるたくさんの母と娘が救われるはず。
――山崎まどか(コラムニスト)
秘密の森の、その向こう
2022年9月23日(金・祝)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
STORY
8歳のネリーは両親と共に、森の中にぽつんと佇む祖母の家を訪れる。大好きなおばあちゃんが亡くなったので、母が少女時代を過ごしたこの家を、片付けることになったのだ。だが、何を見ても思い出に胸をしめつけられる母は、一人出て行ってしまう。残されたネリーは、かつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女と出会う。母の名前「マリオン」を名乗るその少女の家に招かれると、そこは“おばあちゃんの家”だった──。
監督・脚本:セリーヌ・シアマ『燃ゆる女の肖像』
撮影:クレア・マトン『燃ゆる女の肖像』
出演:ジョセフィーヌ・サンス/ガブリエル・サンス、ニナ・ミュリス、マルゴ・アバスカル
提供:カルチュア・エンタテインメント、ギャガ 配給:ギャガ
原題:Petite Maman/2021/フランス/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/73分/字幕翻訳:横井和子/映倫G
© 2021 Lilies Films / France 3 Cinéma
公式サイト gaga.ne.jp/petitemaman
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