2020年の日本公開時に好評を博した『ある画家の数奇な運命』が多数のリクエストに応える形で東京都内での再々上映が決定した。

『善き人のためのソナタ』の名匠が祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫る

第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品し高評価を獲得、第91回アカデミー賞®外国語映画賞にもノミネートされた本作は、『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞®外国語映画賞も受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠であり、ときにオークションで数十億円の価格がつくアーティスト、ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫った作品。

ナチ政権下のドイツ。少年クルトは音楽を愛する叔母(ザスキア・ローゼンタール)の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、もともと繊細な感情の持ち主だった叔母は突如日常の精神のバランスを崩し、強制入院の果て、ナチス国家によって行われていた精神を患う患者への“安楽死政策”によって命を奪われる。終戦後、クルト(トム・シリング)は東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会った美しい女性・エリー(パウラ・ベーア)と恋におちる。しかし、実は元ナチ高官の彼女の医者の父親(セバスチャン・コッホ)こそが叔母を死へと追い込んだ張本人だった。そして、誰もその残酷な運命に気づかぬまま二人は結婚。やがて、東ドイツのアート界の共産主義的思想に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと芸術の自由を求めて西ドイツへと逃亡する。晴れて美術学校で創作に没頭することになったが、教授からこれまで作った作品を全否定され、もがき苦しむクルト。だが、死によって離れ離れになっても魂に刻み続けていた、音楽を愛していた叔母の「真実はすべて美しい」という言葉を信じ続けていたクルトは、ついにその言葉に導かれるように、自分だけの芸術の表現方法を発見、新作を完成させる。しかしそれは、罪深いナチ高官としての過去を隠し続けた義父を震え上がらせる作品でもあった──。

ドナースマルク監督が、リヒター自身の著書や伝記に魅せられて映画化を申し込んだところ、1か月にわたっての取材が許された。ただし、映画化の条件は、人物の名前は変えて、何が事実か事実でないかは、互いに絶対に明かさないこと。そんな契約の元、リヒターの代表的なシリーズの一つである、精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかす「フォト・ペインティング」が誕生するまでの過程がドラマティックに描かれる。

また、現在、日本では16年ぶり、東京では初となるリヒターの個展が東京国立近代美術館(東京・竹橋)で開催中。2020年10月の日本公開時に好評を博しながらもパッケージ化されず鑑賞機会の限られていた本作だが、ゲルハルト・リヒター展開催を機に本作の再上映を熱望する声が多数寄せられ、今年7月にTOHO シネマズ日本橋にて再上映された。

今回、東京都立近代美術館にて開催中のゲルハルト・リヒター展が10月2日(日)で終了するタイミングにて、再々上映を希望する多数の声を受けて、映画のリクエスト上映サイト:ドリパスの特別企画枠にて上映されることが決定した。

映画『ある画家の数奇な運命』は10月15日(土)17:20~ 秋葉原UDXシアターにて1日限定復活上映。チケットはドリパスサイトにて販売中(https://www.dreampass.jp/e4230)。

作品情報

ある画家の数奇な運命
2022年10月15日(土)、秋葉原 UDX シアターにて 1 日限定復活上映

<スタッフ>
監督・脚本・製作:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク(『善き人のためのソナタ』)
音楽: マックス・リヒター 撮影: キャレブ・デシャネル

<キャスト>
トム・シリング(『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』『コーヒーをめぐる冒険』『ピエロがお前を嘲笑う』)、セバスチャン・コッホ( 『善き人のためのソナタ』『リリーのすべて』『ブリッジ・オブ・スパイ』 パウラ・ベーア(『婚約者の友人』)、オリヴァー・マスッチ( 『帰ってきたヒトラー』 )ザスキア・ローゼンダール(『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』 『さよなら、アドルフ』)

原題:WERK OHNE AUTOR/英題:NEVER LOOK AWAY/2018年/ドイツ/ドイツ語/189 分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/日本語字幕:吉川美奈子/配給:キノフィルムズ/木下グループ/R-15

©2018 PERGAMON FILM GMBH & CO. KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG

公式サイト neverlookaway-movie.jp

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