「アートハウス」に新しい観客を呼び込むため、コロナ禍真っ只中の2021年1月からはじまった「現代アートハウス入門」。その第3弾となる企画、巡回上映「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」が10月22日(土)より東京・ユーロスペースを皮切りに開催。このたび上映する7作品中の6作品が決定した(残り1作品は現在交渉中のため後日発表)。

『書かれた顔』
上映期間中にはゲストによるトークイベントも予定

巡回上映「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」では“ドキュメンタリーと呼ばれる方法で作られた映画”にフォーカス。18名の気鋭の映画作家に「映画の魅力を伝えるために5本の“ドキュメンタリー映画”を観せるとしたら?」というアンケートをとり、そこであがった作品群から選りすぐりの7作品でプログラムが組まれた。

アンケートに答えた映画作家は入江悠、小川紗良、小田香、草野なつか、小森はるか、島田隆一、白石晃士、瀬田なつき、想田和弘、富田克也、広瀬奈々子、深田晃司、藤元明緒、甫木元空、松林要樹、三宅唱、山中瑶子、横浜聡子の18名。アンケート結果は公式サイト(https://arthouse-guide.jp/)にて掲載中。

『物語る私たち』

古典的名作からコンテンポラリーな傑作まで、いずれの作品もスクリーンで観ることができる。とりわけダニエル・シュミット監督『書かれた顔』は、4Kレストア版の日本初上映。“ドキュメンタリー”の多様な方法と視点の面白さを堪能できる貴重な機会となる。上映期間中にはゲストによるトークイベントも予定している。

上映ラインナップは以下の通り。

上映作品 ※製作年順

① ルイジアナ物語(原題:Louisiana Story)
監督:ロバート・フラハティ|1948 年|アメリカ|78 分

ルイジアナの広大な湿地帯で両親と暮らす少年アレクサンダー。自然と野生動物に囲まれた生活は、父親が油田掘削の許可書にサインしたことで大きく変わっていく…。『極北のナヌーク』『モアナ』などで知られるロバート・フラハティ監督による物語映画として世界映画史にその名を刻む本作だが、もとは石油会社の PR映画だった。野生のワニやアライグマなど“ドキュメンタリーバリュー”もたっぷり。

② 1000年刻みの日時計 牧野村物語
監督:小川紳介|1986年|日本|222分

三里塚から山形・牧野へ移住し、田畑を耕しながら映画制作を続けた小川プロの13年の集大成。稲の生殖の営みや水田のなかの考古物の発掘など科学的アプローチに加え、村に何世代にもわたって語り継がれる口承の物語を、土方巽、宮下順子、田村高廣ら職業俳優とともに、牧野村の人びとが“ドラマ”として演じてみせる。1000年という歴史と牧野の風土が編みこまれた、映画史上類を見ない傑作。

③ セザンヌ(原題:Cézanne)
監督:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ|1989年|フランス|50分
©Straub-Huillet / BELVA Film

詩人ジョアシャン・ガスケによる評伝「セザンヌ」に記された空想的な対話の朗読に重ねて、セザンヌゆかりの土地やセザンヌの絵画が映し出される。実物の絵画を直接撮影している点では記録映画であり、ガスケによって虚構化されたセザンヌという人物の言葉を劇的に再虚構化している点では劇映画にも近い。ポール・セザンヌの過激な絵画観に、過激な映画作家ストローブ=ユイレが肉迫する。

④ 書かれた顔(原題:The Written Face) ★4Kレストア版日本初上映
監督:ダニエル・シュミット|1995年|スイス、日本|89分

歌舞伎界で当代一の人気を誇る女形、坂東玉三郎。「鷺娘」「積恋雪関扉」といった舞台や、芸者に扮した彼を2人の男が奪い合う劇「黄昏芸者情話」が挿入され、玉三郎の秘密へと観る者を誘う。俳優の杉村春子や日本舞踊の武原はんの談話、現代舞踏家の大野一雄の舞いなども。現実と虚構さえもすり抜けていくシュミットのスイス・日本合作となった本作では、青山真治が助監督を務めた。

⑤ SELF AND OTHERS
監督:佐藤真|2000年|日本|53分
©牛腸茂雄

1983年に36歳で夭逝した写真家、牛腸茂雄。郷里の新潟、ときに死の不安に苛まれながら写真家生活を営んだ東京のアパートなどゆかりの地を巡り、彼が遺した痕跡を辿る。被写体の眼差しを焼き付けたようなポートレート、姉に宛てた手紙、そして、見つけ出されたカセットテープ。しだいに彼の不在そのものがかたどられていく。撮影に田村正毅、録音に菊池信之が参加。手紙の朗読を西島秀俊が務めた。

⑥ 『書かれた顔』(原題:Stories We Tell)
監督:サラ・ポーリー|2012年|カナダ|108分
© 2012 National Film Board of Canada

太陽みたいに明るく無邪気だった母ダイアン。彼女が亡くなったとき、末っ子のサラはまだ11歳だった。「サラだけがパパに似てない」、ポーリー家おきまりのジョークにサラは少し不安になる。母の人生の真実を探り出そうとカメラを向けると、みんなの口からあふれ出したのは彼女の知られざる恋について——。俳優で映画監督のサラ・ポーリーが、自身の出生の秘密をウィットとユーモアをこめて描く。

開催情報

現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑
2022年10月22日(土)より[東京]ユーロスペースにて開催 ほか
[愛知]名古屋シネマテーク 11/12(土)〜、[大阪]シネ・ヌーヴォ 11/3(木)〜/[京都]京都シネマ 11/11(金)〜/[鳥取]ジグシアター 12/3(土)〜

企画・運営:東風 企画協力:ユーロスペース 
技術協力・予告篇制作:restafilms 
WEB制作:坂元純(月光堂) 
デザイン:loneliness books 
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業

© 2022AHG

公式サイト https://arthouse-guide.jp/

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