「死者の日」を迎える 11 月のエストニアの寒村を舞台に、世にも不可思議な純愛を描いた東欧ダーク・ラブストーリー映画『ノベンバー』(10月29日公開)に著名人の推薦コメントが到着。また新ポスタービジュアル、特別動画「使い魔クラットとは?」が解禁された。
本作の2000 年に発表されるや、エストニア内の全図書館において、過去 20 年間で最も貸し出された本としてカルト的ベストセラーとなったエストニアの作家アンドルス・キビラークの「レヘパップ・エフク・ノベンバー(Rehepapp ehk November)」を基にした作品。監督のライナル・サルネットは“全てのものには霊が宿る”というアニミズムの思想をもとに、異教の民話とヨーロッパのキリスト教神話を組み合わせ映画化した。
月の雫の霜が降り始める雪待月の 11 月、「死者の日」を迎えるエストニアの寒村。戻ってきた死者は家族を訪ね、一緒に食事をしサウナに入る。精霊、人狼、疫病神が徘徊する中、貧しい村人たちは「使い魔クラット」を使役させ隣人から物を盗みながら、極寒の暗い冬をどう乗り切るか思い思いの行動をとる。農夫の娘リーナは村の青年ハンスに想いを寄せている。ハンスは領主のドイツ人男爵の娘に恋い焦がれる余り、森の中の十字路で悪魔と契約を結ぶ──。
このたび解禁された特別映像では、使い魔クラットが死者の身体を浄めるシーンが収められている。が、表情とは裏腹にその口から出るのは人間への憎しみとも哀れみとも思える言葉だった…。
また本作をいち早く鑑賞した著名人から絶賛コメントが寄せられた。ゲームクリエイターの小島秀夫は「冒頭から鷲摑みされる!」と大絶賛。「これぞ目玉のための黒い快楽」(後藤護/暗黒批評)、「奇妙で奇天烈な世界観の魅力」(人間食べ食べカエル/人喰いツイッタラー)、「独特な禍々しい映像美」(山崎まどか/コラムニスト)などなど、映像美と世界観の魅力を絶賛する声が多数届いている。コメント全文・一覧は以下にて。
『ノベンバー』は10月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
著名人のコメント一覧(50 音順)
誰もが妬み、欺き。盗み、裏切る……
蘇る死者、魂と引き換えに動き出すガラクタ。思い出を語る雪だるま。
常識が通用しない汚れた“散文世界”が紡ぐ純粋な恋物語。
「色恋ごときで壊れるやつがいるか?」
と問われたならば、僕は大きな声で叫ぶだろう
「どんな世界でも、色恋こそが人を壊すんだよ!」と。
氏家譲寿 aka ナマニク(映画評論家)
冒頭から鷲掴みされる!不気味と甘美、グロテスクと静謐が、モノクロームに見事に調和する!混迷の時代、本作が各地の映画館で色彩を取り戻し、再び伝承されることに大きな喜びを感じる。どんな禍が蔓延しようと、愛と映画はいつも希望なのだ。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
鉛筆で描いたような繊細なデッサンで綴られてゆく線がひときわ美しい。
薄氷のひび割れ、しなやかな少女の髪の毛、無数に伸びる木の枝……。
「握りしめようとしないで 私は流れゆく砂 夜明け前にはあなたから旅立つ」
空中の埃と水中の泡を煌めく結晶にあなたが幻視するとき、永遠にとけぬ映画の魔法にかけられるだろう。
児玉美月(映画執筆家)
『金枝篇』級のフォークなイマジネーションを縦横無尽に駆使し、Sunn O)))ばりのドローンメタル・ギターを深く鳴り響かせるとき、『マルケータ・ラザロヴァー』や『神々のたそがれ』の系譜を踏まえつつ超えていく最前衛が爆誕する。プリミティヴでゴシックでフェティッシュな、これぞ目玉のための黒い快楽。
後藤護(暗黒批評)
まるで『吸血鬼』のカール・テオドア・ドライヤーが夢遊病のパートを、『処女の泉』のイングマール・ベルイマンがクライマックスにおける池の奇跡のパートを、ヤン・シュヴァンクマイエルが怪生物のアニメを担当し、セルゲイ・パラジャーノフが民俗学的見地からの助言を与え、デヴィッド・リンチとタル・ベーラが共同総監督を務めたような映画だ。
高橋諭治(映画ライター)
鮮烈なモノクロ映像で描かれる、欲望に塗れた人間、そして死者と当たり前に共存する生活。人間に使役する、動くガラクタ姿の「クラット」は、まるでジブリアニメからそのまま抜け出してきたようだ。この奇妙で奇天烈な世界観の魅力は、どんなに言葉を尽くしても表現できない。百聞は一見にしかず。是非その目に、この唯一無二の画を焼き付けてほしい。
人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
氷雪よりも白いディストピアで、夢遊病のように彷徨う魂たち。魔術。フォークロアの化身。悪魔との取引き。そして跪いてしまうような激しい思い。『ノベンバー』において、白さとは激しさのことだ。ヒロインが纏う黒いベールは、誰にも知られることのない彼女の純白な思いを際立たせている。息を呑むほど美しい、その白さ!
宮代大嗣(maplecat_eve/映画批評)
独特な禍々しい映像美!
神聖なものなど何ひとつないからこそ神聖な、死者と疫病と魔物が跋扈するモノクロームの森で、悲劇でもハッピーエンドでもない、もっとたくましく残酷な愛のおとぎ話の行方を見た。これは忘れられない 11 月になる。
山崎まどか(コラムニスト)
ノベンバー
2022年10月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
脚本・監督:ライナル・サルネット 撮影監督:マート・タニエル セット・デザイナー :ヤーグ・ルーメット、マティス・マエストゥ 編集:ヤロスラフ・カミンスキー サウンド・デザイナー :マルコ・フェルマース 作曲家:ジャカシェク プロデューサー:カトリン・キッサ
出演:レア・レスト、ヨルゲン・リイイク、ジェッテ・ローナ・ヘルマーニス、アルヴォ・ククマギ、ディーター・ラーザー
【2017年/ポーランド・オランダ・エストニア/B&W/115分/5.1ch/DCP/原題:NOVEMBER】 日本語字幕:植田歩
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ・サクセション 配給:クレプスキュール フィルム
©Homeless Bob Production,PRPL,Opus Film 2017
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