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空前の香港映画ブーム到来の2022年を締めくくる「香港映画祭2022」が2022年11月26日(土)から12月28日(水)まで、全国5都市にて開催されることが決定した。大阪シネ・ヌーヴォを皮切りに、出町座(京都)、元町映画館(兵庫)、名古屋シネマスコーレ(愛知)、ユーロライブ(東京)にて開催される。

ここでしか観られないインディペンデント映画から映画祭席巻の話題作まで幅広くラインナップ

昨年、全国5都市で初開催された「香港映画祭2021」は、香港映画ファンを中心に各都市にて大盛況。日本ではなかなか観る機会のない貴重な日本初上映作品をラインナップした本映画祭の開催を待ち望む声が多く寄せられ、今年も開催されることが決定した。

2022年は、映画『男たちの挽歌 4Kリマスター版』、ウォン・カーウァイ監督の『WKW 4K』、カンヌ国際映画祭でサプライズ上映された『時代革命』、香港が誇る七人の監督による『七人樂隊』、デビュー作で台湾アカデミー賞を席捲した『少年たちの時代革命』、山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞を受賞した『理大囲城』、「Making Waves – Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」開催など、新旧多くの香港映画が公開され話題を呼んだ。

その空前の香港映画ブーム到来の2022年を締めくくる「香港映画祭2022」では、ここでしか観られないインディペンデント映画から、海外映画祭を席捲した大ヒット映画まで幅広くラインナップ。

『風景』

香港トップスター、故アニタ・ムイの伝記映画『アニタ』で香港アカデミー賞(香港電影金像奨) 最優秀女優助演賞を受賞したフィッシュ・リュウが出演する『風景』、ジャッキー・チェン映画でもお馴染みの名バイプレーヤーのタイポー(太保)が優秀男優賞受賞した『ソク・ソク』(原題:叔・叔)。90年代を代表する女優のロレッタ・リー(李麗珍)の久しぶりカムバック作であり、香港映画を代表するフランシス・ン(呉鎮宇)が主演する、実際の事件をベースにした『香港の流れ者たち』(原題:濁水漂流)は、香港映画ファンならずとも見逃せない作品。

『香港の流れ者たち』

またデビュー作の映画『少年たちの時代革命』(12月よりポレポレ東中野にて公開)で台湾アカデミー賞を席捲した、レックス・レン監督とラム・サム監督の短編集も上映される貴重な機会となっている。

上映作品の概要、リム・カーワイ(映画監督・香港映画祭2022キュレーター)から寄せられたコメントは以下の通り。

コメント 香港映画祭2022に寄せて
リム・カーワイ(映画監督・香港映画祭2022キュレーター)

2021年年末に初開催された「香港映画祭」は、日本未公開の香港映画7作品を、全国5大都市のミニシアターを巡回上映し、大盛況の内に閉幕した。そして今年も香港映画祭がやってくる。そもそも香港映画祭がはじめたのは、香港の社会と政治の変化を反映した香港映画が多く制作されているのにも関わらず、日本の映画祭や配給興行の傾向と合わず、日本に紹介されない作品が多くあったことが、大きな理由であった。そうした香港映画の多様性と魅力をもっと沢山の日本の映画ファンに届けたいという思いから、本映画祭ははじまった。今年も同じ趣旨で開催するつもりだったが、1年経たないうちに日本における香港映画の受容状況に変化があることに気付いた。

エンタテイメント映画、インディペンデント映画、香港では上映禁止となった映画、黄金期の香港映画など、多くの香港映画が日本では次々と劇場公開されており、リバイバル上映、特集上映なども大変賑わっている。映画祭や特集上映や配信を含め、今の日本はおそらく世界中で一番香港映画を観ることができる国となっている。この映画鑑賞状況は、実に健全で素晴らしいことだ。それでも日本で紹介されていない素晴らしい香港映画がまだ数多くあるはずだと思い、作品選考、配給会社や監督たちとの交渉を重ねた結果、短篇映画を含め、昨年よりも多くの未公開作品(なんと19本!)を本年の映画祭で上映することが決まった。

特に共通のテーマと傾向があるわけではないが、今回上映される映画の主人公たちは、今まで日本で紹介されたインディペンデント映画や商業映画でも、あまり主役になったことがないキャラクターと彼らの物語になっている。例えば移民、年寄りのゲイ、差別を受けた女性、ホームレス、アンダーグラウンドの芸術家たち、社会運動に参加する人、デモで逮捕された人など…。こうした社会的マイノリティな人々に視線を向けた映画監督の多くは、若手の新人監督たちだ。「香港映画祭2022」を通じて、未知の才能を発見すると共に、香港映画の裾野の広さを知ることになるだろう。またこれらの作品から、香港国家安全維持法やコロナ禍などがもたらした変化が、むしろ香港映画の可能性と豊かさをより広げたのではないかと感じて頂けたら幸いです。

上映作品概要・20作品
※全作品日本語字幕有 ※『ソク・ソク』以外は全て日本初公開。

【A】『風景 第一部:始まりの終わり』(原題:風景)2016/99分 
【B】『風景 第二部:終わりの始まり』(原題:風景)2016/77分
監督:リタ・ホイ(許雅舒) キャスト:パン・ツァンリョン、ロー・ジャンイップ 、フィッシュ・リュウ
2011年、香港で初めてオキュパイ(占拠)運動が起きた。大学生のタイチョウと恋人のミンイーは、香港上海銀行を1年間占領。ミンイーは逮捕され、収監されるが、タイチョウはsその間に彼女の母と恋に落ちる。金持ちのマキシム は、オキュパイ運動に参加した人々と出会ったことで、自身の生活が高度資本主義に毒されていたことに気付く。そして、かつて恋人が、失われてゆく香港の歴史を記録するために、多くの人を取材していた理由をようやく理解する。大陸から香港に移住したリーレイは狭いアパートで彼氏と暮らしているが、謎の少女と出会ったことで、彼女の日常が少しずつ変わってゆく。香港の社会と政治状況によって彼らの運命が翻弄され、日常の風景が急速に変化していくことに気付かないうちに、2014年雨傘運動が起きて…。
香港インディペンデント映画作家 リタ・ホイの三作目の長編映画。2011年以後のオキュパイ運動、反政府デモ、天安門記念集会、雨傘運動などのドキュメンタリー映像と世代や背景も違う人々のドラマを交えて描いた3時間の話題大作。今の香港映画に欠かせない俳優の ロー・ジャンイップ とフィッシュ・リュウが主演し、自由を求め、体制に反抗した香港人の道のりを繊細かつエモーショナルに描いている。2019年民主化デモとその後の香港の変化を知る我々に問いかけてくるものは大きい。日本初公開となる本映画祭では、二部に分けての上映となる。

【C】『ソク・ソク』(原題:叔・叔)2019/92分 劇映画
監督:レイ・ヨン(楊曜愷) キャスト:タイポー、ベン・ユエン
◆釜山国際映画祭、ベルリン国際映画祭、香港国際映画祭
退職間近のタクシー運転手パクと、すでに引退しているシングルファーザーのホイ。二人の出会いが長年抑制し続けてきた感情を呼び起こす。しかし共に将来を築くには、乗り越えなければならない壁がいくつも存在していた。高齢者の同性愛という問題を、多角的な視点から描く。第70回ベルリン国際映画祭など多くの海外映画祭で上映され、中華圏で最大の映画賞である金馬奨で5部門にノミネートされた話題作。

『ソク・ソク』

【D】『香港の流れ者たち』(原題:濁水漂流) 2021/112分 劇映画
監督:ジュン・リー(李駿碩) キャスト:フランシス・ン、ツェー・クワンホウ、ロレッタ・リー
◆ロッテルダム国際映画祭、香港国際映画祭、イタリアウディネ映画祭、台湾金馬国際映画祭など
刑務所を出た輝(ファイ)は雑多で陰鬱な街・深水埗へ戻り、ベトナム難民の林爺(ラムじい)、皿洗いの陳(チャン)、薬物依存症の大勝(ダイセン)、半身不随の蘭(ラン)たちと再会する。ところが、行政機関がホームレスの住む一帯を撤去しにやってきたことで、ファイたちは「家」を失う。新人ソーシャルワーカーのホーは、彼らのために裁判を起こし、政府に賠償と謝罪を求める。ファイたちは言葉の不自由な若者、木(モク)と出会い、力を合わせて小さな小屋を建てる。しかし高架下は平穏な場所ではなく、彼らの小屋は壊されてしまい、散り散りになってしまう。賠償も謝罪もないまま、彼らは冬を越せるのだろうか。2022年香港アカデミー賞11ノミネート、 2021年台湾アカデミー賞12ノミネート。

【E】≪コロナ変奏曲≫(原題:動態Rolling ) 2022/108分
コロナ禍の香港の変化を描く四つの珠玉の短編映画から構成されたオムニバス

『共に過ごした日々』(原題:同渡)34分 
監督:ロー・ヤンチー(羅恩賜)
アヤンは、コロナ禍で二年以上故郷のアモイへ帰れなくなったお婆さんの世話をすることになる。同じアパートに閉じ込められた二人の関係は、徐々に変化していくことに。

『四月の変奏』(原題:四月的変奏)30分 
監督:エリカ・クォック(郭頌儀)
コロナ禍で休業することになったエステティシャンの ユンサンは、久しぶりに香港に戻った友人と再会する。ユンサンは彼に惹かれていたが、この数年間の香港で起きた変化に対して無関心な態度の彼に、彼との関係を進めるべきか思い悩む。

『ゴミ箱を探せ!』(原題:阿才)25分
監督:チョウ・キンカン(周敬勤)
ティンチョイは バイト先の店主に頼まれたゴミを捨てるために、香港中を駆けまわるが、どこにもゴミ箱がない。そこでティンチョイは、思いがけない行動に出ることに…。

『一通目の手紙』(原題:第一封信)20分 
監督:ジェイソン・イウ(姚敏堃)
ジェイムズ の親友マンが刑務所に入った。マンを慰めるために、手紙を書こうとするが、なかなか書けない。いつしか自分もあたかも大きいな刑務所に閉じ込められているような気になってきて…。

【F】≪少年たちの時代革命前夜≫ 106分
─レックス・レン短編集─
『虫けら』(原題:螻蟻)2017/21分
キャスト:チャン・チャームマン 
近未来の香港で、政府が市民を番号で管理する法案が決まった。マー・イー は冤罪で逮捕されて、警察から理不尽な尋問を受ける。この短編映画がジョニー・トーやフルーツ・チャンらに絶賛されたことで、香港映画界にレックス・レンの名を知らしめた。

『夢遊』(原題:夢遊)2021/14分
キャスト:スン・クワントー
真夜中のクラブで、DJのカーヤンとチャンは出会い、ふたりは夢か現実かわからないような空間を浮遊する。

『9032024』(原題:9032024 )2020/8分
キャスト:チャン・チャームマン
高度な監視社会になった近未来、庶民は蟻の如く踏み潰されていく。傑作「虫けら」の後日談。

『クイーンのワンペア』(原題:1pair女) 2021/14分
共同監督:デビッド・チャン キャスト:マック・ウィンサム
アパートの一室をシェアしているジョアンとダイアンは、お互いの悩みを分かち合う。偶然、香港の短編映画祭でこの映画を見た矢崎仁司監督は「ラストは成瀬巳喜男の『驟雨』のようで、観終わってまた観たくなる映画」と絶賛された。

『Goodbye HK cinema』2021/1分

─ラム・サム短編集─
『オアシス』(原題:緑州)2012/30分
言論の自由が制限され、ますます窮屈になる香港で、若者たちは体制と戦い、息苦しい大都会で自分たちの理想的なオアシスを作り出そうと奮闘する。アンダーグラウンドの音楽バンドと若者たちの日常生活を通して描いていく。

『夏のブルース』(原題:志強的夏)2019/17分
夏、香港生まれのパキスタン人が、毎日自転車を漕いで香港の郊外と中心部を行ったり来たりして、フードデリバリーの仕事をしている。ある日、彼は自転車を無くし、おもいがけない人と出来事に出くわす。

【G】≪注目新人女性監督特集≫ 115分
─チャン・ハウザン(陳巧真)監督短編集─
『32+4』(原題:32+4 )2015/32分 ドキュメンタリー映画
同じ建物の32階に実父、4階に母と継父が住む。32と4は離婚した夫婦の間に広がる距離であり、娘の陳監督を育んだ全てである。カメラは針となって家族の古傷をほじくり出し、一方で色あせた思い出を縫い合わせる。自分と、父、母、血縁関係のない男との過去を探るセルフドキュメンタリー映画。

『失われた一部』(原題:失去的部分) 2022/30分 ドキュメンタリー映画
脳が縮む。体の動きが鈍くなる。歯が痛む。口の中の隙間が人工物で埋まる。自分の体の知られざる変化と、変化に順応できない心の軌跡を描く。
 

─チョイ・カーイー(蔡嘉儀)監督短編集─
『7月の怪談』(原題:7月燒衣) 2015/18分
キャスト:アデラ・ソー、ロー・ジャンイップ
死者の霊を迎える盂蘭盆会。チーワーの叔父は20歳の時に失踪し、15年後別人のような姿で帰ってきた。果たして、あの日の夜に何があったのか?

『雨の夜』(原題:夜雨)2015/12分
かつて香港の中心地・九龍(クーロン)に存在した啓徳空港。そこにつながる地下トンネルで、本来交わるはずもないホームレス、中産階級の女性、農業家の3人の人生が交差する。

『午後3時』(原題:下午三點)2022/23分
新しいアパートに引っ越したチャンは、午後3時に隣の部屋から聞こえてくる美しいピアノの音色に惹きつけられる。念願かなって出会えたものの、後日、ピアノを弾く男の思いがけない真実を知ることに。

開催情報

香港映画祭2022
2022年11月26日(土)より全国5都市にて順次開催

■期間・会場
11月26日(土)~12月2日(金)シネ・ヌーヴォ(大阪) 
12月2日(金)~12月8日(木)出町座(京都)
12月10日(土)~12月16日(金)元町映画館(兵庫)
12月17日(土)~12月23日(金)シネマスコーレ(愛知)
12月27日(火)、28日(水)ユーロライブ(東京)
※上映スケジュールは各劇場HPをご参照ください。
※ユーロライブのみ12月19日(月)0:00よりLive Pocketにてチケット発売予定。詳細は公式HPをご確認ください。本映画祭について、ユーロライブへのお問合せはお控え下さい。

主催:香港映画祭実行委員会
共催:シネ・ヌーヴォ、出町座、元町映画館、シネマスコーレ、シネフィルム、Cinema Drifters
助成:文化庁、ARTS for the future!2
宣伝:大福

公式サイト https://hkfilm2021.wixsite.com/2022

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