韓国国内映画賞で主演男優賞を軒並み受賞している名優であり、現在賞レースを席巻している最新作『別れる決心』(2⽉17日公開)ではミステリアスな色気で初の刑事役を演じ、世界中を魅了しているパク・ヘイル。韓国映画界をけん引する彼の魅力、そして『別れる決⼼』に彼が出演を決めた「三つの理由」とは?
「今年最もロマンティックな作品」との呼び声も高く、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞、先日発表されたゴールデン・グローブ賞作品賞-非英語作品(旧・外国語映画賞)にノミネートされ、米映画芸術科学アカデミーより発表された国際長編映画賞のショートリスト入りも果たし、いよいよアカデミー賞®ノミネートに王手をかけたパク・チャヌク監督最新作『別れる決⼼』。
本作で、刑事ヘジュンを演じているのが、韓国の名優パク・ヘイル。ある事件を追って被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)と出会い、刑事と容疑者という立場ながらも、互いに惹かれあっていくという役どころだ。持ち前の繊細な演技力で、どこか刑事らしからぬ気品に溢れたヘジュンを巧みに演じているパク・ヘイルは、ミステリアスな色気で観客までも魅了し、世界中を虜にしている。
『別れる決⼼』は韓国国内で社会現象とも言えるブームを巻き起こしており、数々の映画賞を獲得しているが、パクも青龍賞・大鐘賞・釜日映画賞と韓国国内の映画賞で主演男優賞を軒並み受賞。さらにはアジア記者協会(AJA)の「AJA アワード 2022」も贈られ、国内外の熱い注目を集めている。
2000年から俳優としての活動を始めたパク・ヘイル。01年の『ワイキキ・ブラザーズ』で映画デビューを果たした彼は、『嫉妬は私の力』(02)で韓国映画評論家協会賞をはじめ各賞で新人賞を受賞し注目を集め、多数のヒット作に出演。さまざまなジャンルの作品で多様なキャラクターを繊細に演じ分け、演技派俳優として人気を博してきた。
2003年には、『パラサイト〜半地下の家族』(19)でお馴染みのポン・ジュノ監督の大ヒット作『殺人の追憶』に出演。80年代後半に実際に韓国国内で発生した未解決事件を描いた作品で容疑をかけられる青年を演じ、言葉は少なくも強烈なインパクトを残し、一躍広く知られる存在に。06年には再びポン監督とタッグを組んだ『グエムル-漢江の怪物-』で 1300 万人という当時韓国映画史上最高の観客動員数の大ヒットを記録。さらに、韓国映画史上最高動員『バトル・オーシャン』(14/1760 万人)のキム・ハンミン監督が手がけた、『神弓 KAMIYUMI』(11)でも主演を務め、その年のナンバーワンヒットを獲得した。
数々のヒット作へ出演し、多様なキャラクターを演じてきたパク・ヘイルだが、意外にもパク・チャヌク監督作品への出演も、刑事役も『別れる決⼼』が初となる。22年の釜山国際映画祭にて、パク・ヘイルはある日突然監督から電話がかかってきたことを明かし、驚きのあまり電話に出るなり「何か失礼なことをしてしまいましたか?」と尋ねたという。それほどに監督作品への出演は意外だったというが、パク監督は「パク・ヘイルとは長い付き合いなので、1本か2本は一緒に撮影したと思い込んでいたのですが、ある日彼とは映画を撮ったことがないことに気づきました。映画の中のへジュンは、とびきり優しく、端正で礼儀正しく、風変わりなユーモア感覚のある人間です。そのキャラクターは、パク・ヘイル以外に思い浮かびませんでした」と語り、脚本家のチョン・ソギョンとはパク・ヘイルをイメージして脚本作業を行い、キャラクターを構築していったほどだという。
パク・ヘイルが出演を決めたのは脚本が出来上がる前だったというが、最初の打ち合わせ時に監督が30分ほどかけてストーリーを全て説明してくれたという。彼が出演を快諾したのには3つの理由があり、1つ目は “『パク・チャヌク映画』というジャンルへの興味”。2つ目は“初の刑事役であり、典型的な刑事像とも異なる魅力のあるキャラクターであったこと”。そして3つ目は“タン・ウェイと共演できること”があったという。本人は「こんなに素晴らしいオファーを断る理由がありませんでした」と振り返る。
初の刑事役挑戦となったことについては、「今まで演じたことのないような役だったので、僕にできるだろうか」と感じたともいう。若手俳優にとって刑事役というのは登竜門でもあるが、パク・ヘイルは『殺人の追憶』の容疑者のイメージが強すぎたのかもしれないとしながらも、「ようやく僕も刑事を演じられるようになったか、とも思いました。それにこれまでの刑事物とは全然違うテイストで新鮮でした。従来の映画での刑事役は、だらしなくて暴力的に描かれることも多かったけれど、へジュンはとても清潔感があって、あまり暴力を振るわず、慎重に捜査を進めていく。そういう刑事だってきっといると思いますし、今までにない新しい刑事を演じてみたいと思いました」と自身初の刑事役への挑戦についての思いも語っている。
『別れる決⼼』に続いて、3⽉17日(⾦)にはキム・ハンミン監督最新作『ハンサン ―龍の出現―』も公開。今後も韓国映画界を牽引し続けるパク・ヘイルから目が離せない。
別れる決心
2023年2月17日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
STORY
男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュン(パク・ヘイル)と、被害者の妻ソレ(タン・ウェイ)は捜査中に出会った。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたへジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。
監督:パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ
提供:ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:헤어질 결심|2022 年|韓国映画|シネマスコープ|上映時間:138 分|映画の区分:G
© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED
この記事が気に入ったらフォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow WEEKEND CINEMA