A24注目の新星シャーロット・ウェルズの初長編監督作『aftersun/アフターサン』が5月26日(金)より公開。このたび俳優の杉咲花や日本映画の新時代を担う映画監督たちから本作に推奨コメントが到着した。また、本作の監督シャーロット・ウェルズから日本の観客に向けたメッセージ映像も解禁された。
本作は11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る物語。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手がけるスタジオA24が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが「ベストムービー」に挙げ、毎年映画ファンが注目するオバマ元大統領のお気に入り映画にも選出されるなど、本年度を代表する1本となった。監督・脚本は、瑞々しい感性で長編デビューを飾ったスコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
このたび、本作をいち早く鑑賞した俳優の杉咲花や日本映画の新時代を担う映画監督たちがコメントを寄せた。1987年生まれの現在35歳、『aftersun/アフターサン』で長編デビューを飾ったシャーロット・ウェルズ監督と同年代の彼らは、この作品をどう受け取ったのか。
『あのこは貴族』で主人公らの感情を丁寧にすくい上げ映画ファンを賑わせた岨手由貴子や、今や映像だけでなく写真に映し出すその世界観に若い世代のファンが多い枝優花、ドラマに映画、監督に脚本家と幅広い分野でその若き才能を遺憾なく発揮している松本花奈は、父と娘の過ごす最後のひと夏に感じる愛おしさや煌めきに言及。
「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018」で準グランプリを獲得し、黒木華・柄本佑のW主演で映画化した『先生、私の隣に座っていただけませんか?』の堀江貴大は、ポール・メスカルの眼の演技を絶賛している。また、昨年公開の『ケイコ 目を澄ませて』で国内の映画祭・賞レースで話題をさらった三宅唱は、「まるで鮮烈な短編小説」と本作の魅力を表現。
さらに、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した『湯を沸かすほどの熱い愛』をはじめ、数々の映画やドラマでの演技が評価され、若くして実力派として称される俳優の杉咲花も「体温に触れたポラロイドがじとりと顔を出すように まばゆいかけらを集めて、私も記憶の海を泳ぎたい」と推奨コメントを寄せ、俳優・藤岡弘、の娘で、自身も女優として活躍する天翔愛は、幼い頃の親との思い出の愛おしさに触れながら、「無邪気な嬉しさが感覚と共に蘇り、心にあたたかいものが溢れました」と幸福な鑑賞後感を綴った。著名人のコメント全文・一覧は以下にて。
今回、自らの幼少期の思い出を反映し本作が「特別な1本」であると語るシャーロット・ウェルズから日本の観客に向けてメッセージも到着。人々の心に、まるで日焼けのように焼き付くであろう『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開。
コメント一覧(順不同・敬称略)
瞬きする間、世界はどんな姿をしているのだろう。
体温に触れたポラロイドがじとりと顔を出すように
まばゆいかけらを集めて、私も記憶の海を泳ぎたい。
――杉咲 花(俳優)
幼い時は親に素直に遊んでもらい、ただ楽しくて当たり前だった日常が、
大人になるといつのまにか消えかけている。
その時はなにも分からなかったけど、その日常が実は自分にとってとても大切で、
愛おしい時間であったのだと気付かされました。
初めて感じた淡い想い。
無邪気な嬉しさが感覚と共に蘇り、心にあたたかいものが溢れました。
――天翔 愛(女優)
娘らしく父らしく、ましてや女らしく男らしくするなんて耐え難い。
そんなかつての親子の時間をわかりやすい思い出話に整理してしまうなんてあり得ない。
そのかわりこの映画は、眩しすぎる空や暗すぎる海を忘れない。
水中のように不安定なこの世界の明滅から目を逸らさない。
そして、驚くほど繊細で多様な色で編まれている世界を見逃さない。
まるで鮮烈な短編小説のよう。
――三宅 唱(映画監督)
大人になった主人公が思い出す眩い夏は、
時折、重く苦しい澱のようなものに、ちりちりと侵食される。
それでも、悲しみで補正されたはずの時間が、永遠のように輝いている。
隣から聞こえる寝息が、退屈な午後が、涙が出るほど愛おしい。
――岨手 由貴子(映画監督)
30歳の父が抱える闇を、11歳の娘・ソフィが理解することはできない。
もちろん、父を闇から救うことだってできない。
たとえ家族であれども、その人の苦しみはその人自身にしか分からないのだから。
だけど、ビデオカメラが捉えたソフィと父の一夏の煌めきは、確かにそこに在った。
それだけでもう十分じゃないか、と思えたのだ。
――松本 花奈(映画監督)
幼い頃に父と過ごしたほんの少し日常とはちがう特別な時間。
でもなんてことのない些細な時間。
大人になってもあの瞬間にふと救われることがあって
そんなかけがえのない煌めきが詰まっている映画。
何度も思い返したくなる愛しい記憶たち。
――枝 優花(映画監督・写真家)
ポール・メスカル演じる父親の「何かを考えている顔」は、
わかりそうでわからない、なんの意味にも落ち着かない途轍もなく良い顔だ。
その顔は、「何を考えているのか知りたい」と他者の心を想像する眼差しによってこそ輝きを放つ。
それは、大人になってホームビデオの映像を見返す娘の眼差しであり、私たち観客の眼差しだ。
――堀江 貴大(映画監督)
aftersun/アフターサン
2023年5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開
STORY
11歳の夏、思春期のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす31歳の父親・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、ふたりは親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィは、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。
監督・脚本:シャーロット・ウェルズ(初長編監督作品)
出演:ポール・メスカル(ドラマ「ノーマル・ピープル」『ロスト・ドーター』)、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン・ホール
プロデューサー:バリー・ジェンキンス(『ムーンライト』)ほか
原題:aftersun/2022年/イギリス・アメリカ/カラー/ビスタ/5.1ch/101分/映倫:G
字幕翻訳:松浦美奈
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
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