『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を生み出した米国A24と、『パラサイト 半地下の家族』を配給した韓国CJ ENMが初の共同製作で贈る注目作『パスト ライブス/再会』が4月5日(金)より全国公開。このたび、本作のキーパーソンである主人公の夫を演じ、話題作への出演が続く、ジョン・マガロの場面写真2点が解禁された。
本作は、ソウルで初めて恋をした幼なじみのふたりが、24年後の36歳、NYで再会する7日間を描くラブストーリー。物語のキーワードは「運命」の意味で使う韓国の言葉“縁—イニョン—”。見知らぬ人とすれ違った時、袖が偶然触れるのは、前世―PAST LIVES―で何かの“縁”があったから。久しぶりに再会したふたりは、NYの街を歩きながらこれまでの互いの人生について語り合い、過去自分たちが「選ばなかった道」に想いを馳せる。「もしもあの時、あなたとの未来を選んでいたら—」。誰しも重なる別れと出逢いの瞬間と、この素敵な愛の訪れに、美しく切ない涙が溢れ出す。
本作のメガホンを取るのは、本作で長編映画監督デビューを飾ったセリーヌ・ソン。5部門にノミネートされたゴールデングローブ賞では、外国語映画賞や作品賞(ドラマ部門)のほか主演のグレタ・リーを女優部門(ドラマ)に押し上げただけでなく、監督賞と脚本賞にはセリーヌ・ソンの名前が踊った。『バービー』のグレタ・ガーウィグや『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモス、『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のマーティン・スコセッシなど、映画界を代表するような名匠たちの名前が呼ばれる中、彗星の如く現れたフレッシュな才能だ。
韓国人の両親を持ちロスで生まれ育ったグレタ・リーと、同じく韓国人の両親を持ちドイツで生まれ育ったユ・テオ。そして両親と共に韓国からカナダに移住し、アメリカに移ったセリーヌ・ソン監督。そんなアジアにルーツのある面々に囲まれキャスティングされたのが、イタリア系の父とユダヤ系の母を持つジョン・マガロだ。
彼は劇中、12歳の冬ソウルから北米にやってきたノラ(グレタ・リー)の夫・アーサー役を演じている。結婚して7年、今でも出かける時には手を繋ぎ、日々の会話も大事にしている仲の良い夫婦だ。そんな何気ない日常に突如波紋を呼ぶきっかけになるのが、ノラの幼馴染であるヘソン(ユ・テオ)の存在。アーサーの知らないノラの歴史を知る彼こそ、妻の初恋の相手であり、その彼がニューヨークまでやってくる。彼女に会うために。
ジョン・マガロはアメリカのオハイオ州で生まれ、地元周辺の演劇作品への出演からキャリアをスタートさせた。デイヴィッド・チェイス監督の『時代はロックンロール』(12)に主演し注目の存在に。トッド・ヘインズ監督の『キャロル』(15)や、アダム・マッケイ監督の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15)などに出演し、ケリー・ライカート監督作『ファースト・カウ』(20)では、主人公のクッキー役を演じた。そんなマガロの演じるアーサーこそ、『パスト ライブス/再会』を唯一無二のラブストーリーにしている所以である。
共に作家であるふたりの粋な会話が交わされ、妻が初恋の人との24年ぶりの再会に対して、「すごい物語だよ、この物語で僕は、運命を阻む邪悪な米国人の夫だ」「彼は13時間もかけて飛行機で来た。会うなとは言えないよ」とウィットに富む言葉でノラに小さく呟くアーサー。こういった彼のパートナーの過去に対しても思いやりを持って接し、拒むことなく受け入れる姿勢や、物腰の柔らかさ、全ての人に対する包容力には、マスコミ試写でも「アーサーみたいな人に憧れる」「とても共感できた」「彼の存在こそこの映画の個性」など絶賛の声が止まない。
アーサーとヘソンは、ノラという女性が居なければ出会うこともなかった。お互い地球の裏側に住み、共に同じテーブルに座りパスタを食べることも、バーで酒を飲み交わすことも無かった二人である。初対面のシーンを撮影する上で、マガロとソン監督の中であるアイディアが生まれた。「テオと僕は初対面のシーンまで顔を合わせないことにしたんだ。撮影スタッフの協力もあって、テオとは違うドアを使ったり、リモート会議ではカメラをオフにして声しか聞こえない状況で行ったりして。物語の中では、ヘソンとノラがアパートにやってくるシーンで、アーサーはヘソンに初めて対面するんだけど、僕自身も初めてそこでテオに会ったんだ」とマガロは明かす。
何となく相手のことを知っている、という映画と全く同じ状況で出会い、その後バーカウンターで横に並んで座るシーンの撮影に移った三人。ノラを中心に、その左右に座るヘソンとアーサーだが、その時のことをマガロは「僕はあの場から逃げ出したくて、飲み物を取りに行ったり、トイレに立ったり、いくつもアイディアを提案したけど…監督は気まずくて不快なあの空間に僕をとどまらせたんだ」と振り返る。絶妙な緊張感を保ちながら、それでも二人の間に何か強い繋がりを感じさせる時間が流れていく。
監督のセリーヌ・ソンは、本作のテーマについてこう語る。「この映画は男女二人の恋愛を描いた物語では無いし、彼らが愛し合うことを描いた物語でもありません。お互いを愛することが出来る三人の物語なのです」。つまり、ノラとヘソンという幼馴染の再燃を描いた作品では無く、そこにアーサーをも含めた三人の間にある人間愛、いわゆるソウルメイトのような関係性に着目した物語だ。
目には見えない“縁=イニョン”に導かれ、遂に巡り合った三人。このオリエンタルな概念を、アーサーは心得ている。ジョン・マガロが体現した、このアーサー像こそ、『パスト ライブス/再会』の本質により近いキーパーソンなのだ。
『パスト ライブス/再会』は4月5日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。
パスト ライブス/再会
2024年4月5日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
STORY
ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。ふたりが選ぶ、運命とはーー。
監督/脚本:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ
2023年/アメリカ・韓国/カラー/ビスタ/5.1ch/英語、韓国語/
字幕翻訳:松浦美奈/原題:Past Lives/106分/G
提供:ハピネットファントム・スタジオ、KDDI 配給:ハピネットファントム・スタジオ
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