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1969年のイタリア製ウルトラ・ポップ・アヴァンギャルド・セックス・スリラー『男女残酷物語/サソリ決戦』が6月7日(金)より日本劇場初公開。このたびアザービジュアル、著名人の推奨コメント・イラストが解禁となった。

「探し求めていたグルービーでサイケデリックで耽美的な映画音楽」

本作は、終わりなき男女の対決を描き、『華麗なる殺人』(65)、『バーバレラ』(67)、『女性上位時代』(68)といった時代を象徴する作品に匹敵する内容ながらも50年以上もの間埋もれ、海外でようやく近年その存在と価値を発見された作品。音楽は『ベニスの愛』(70)『夜行性情欲魔』(71)『血みどろの入江』(71)等を手掛けるイタリア映画音楽の巨匠ステルヴィオ・チプリアーニによるもので、音楽愛好家は「スコアがとにかく絶品!」と震え、フランスの芸術家ニキ・ド・サンファルによる作品「ホン」のレプリカが登場することから、アート好き方面には「ニキ好きとしては見逃せない」と、その邦題のインパクトのみならず芸術点の高さからも各方面のざわつきが起こっている。

今回、解禁されたのはアザービジュアル。劇中に登場するセイヤーとそっくりの「俺人形」が大きく配されたインパクトあるデザイン。固く閉じられたその口元と虚ろな瞳は、男性としての意地を主張しながらも、どこか空虚さに満ちている。その下で舞い踊るのは、サソリ記者メアリー。黒く塗られた唇は、「歪んだセイヤーの心を変えたい」という彼女の意思の固さか、あるいは毒婦の予感か。監禁と拷問でメアリーを支配したつもりが、捉えられない彼女の強さが際立つ内容となっている。

また、本邦初上陸にあたり、先んじて鑑賞した各界の著名人から絶賛推奨コメントが到着した。イタリア映画のサウンドトラック盤を収集していたFantastic Plastic Machineの田中知之は「きっと存在するはずだ!」と夢想し続けたという本作の音楽への30年間に渡る熱い想いの丈を綴り、漫画家・俳優の内田春菊は「お洒落でアーティスティックで、俳優さんたちも音楽も素敵。なのにこんなに笑える!」と、予想を超えた魅力について言及。

レトロポップな音楽性で知られるミュージシャン・アマイワナからは「マニア心をくすぐる、美しさとおしゃれを極めた大人のアートスリラームービーよ❤」と、ときめきに満ちた感想が寄せられるなど、はじめての出会いに銘々から高く評価されている。イラストレーターのゴッホ今泉からは、男女の対決と、メアリーのミステリアスな精神統一シーンを表現したイラストが寄稿された。コメント全文・一覧は以下にて。

『男女残酷物語/サソリ決戦』は6月7日(金)より、新宿武蔵野館・渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開。

著名人コメント一覧(順不同)

田中知之/FPM(DJ・プロデューサー)
1992年、京都に今も存在する日本最古のクラブであるMETROで、僕は古今東西の映画音楽だけをプレイするDJパーティを始めた。そんな折、1番熱狂していたのが1960年代終わり頃のイタリアの映画の、しかも日本未公開作品の、サウンドトラック盤の収集だった。モリコーネ、ピッチオー二、トロヴァヨーリ…巨匠と言われた人の作品であっても、あの時代のイタリアの映画音楽はホントに魅力的だった、いや、狂っていたと言った方が良いかも知れない。まだGoogleもYouTubeもDiscogsもなかった時代、中古レコード店で出会うことだけがそれらを手に入れる唯一の方法だった、、、。あれから30年もの月日が流れ、あの日、僕が「きっと存在するはずだ!」と夢想して探し求めていたグルービーでサイケデリックで耽美的な映画音楽とこんな形で出会うことになろうとは。しかも映画自体も私達がレコードと同様に収集していたフランスのおしゃれエロ雑誌「FLUXUS」の世界感をベースにしていることを高らかに謳っているではないか。オリジナルのサントラ盤はもちろん公開当時に発売されていたのだけれど、必死でイタリアのサントラ盤を収集していたタイミングでは入手が叶わなかった。でも、それで良かったような気がする、30年前にこの映画や映画音楽に出会っていたら、そこで僕達のイタリア映画音楽探求の旅は終わってしまっていただろうから。そのくらい究極。

内田春菊(漫画家・俳優)
ちょっとエロいものを笑って観れるようになりたい、そんな「大人の階段を上りたい」人にぜひおすすめ!
お洒落でアーティスティックで、俳優さんたちも音楽も素敵。なのにこんなに笑える!撮り方って不思議(ちょっと新藤兼人味ある感じ?)。
なんでずっと日本で公開されなかったのか……この「今でしょ」感に乗り遅れちゃダメ!

アマイワナ(ミュージシャン)
1969年製だっていうのに、まさに現代社会を予測していたかのような、タイムリーでインテリジェンス溢れるおしゃれスリラー❤ファッションやメイク、ハイテク家電、そして巨大女性像「ホン」の造形美にうっとりしている間に加速していく女と男の終わりなき変態対決は、エレガントであればあるほど上手(うわて)ってわけね❤なんておしゃれなの!と思わず言っちゃうぐらいよ❤マニア心をくすぐる、美しさとおしゃれを極めた大人のアートスリラームービーよ❤

北村紗衣(英文学者)
あらすじやタイトルに騙されず、最後まで見てみてください。お話のさわりを聞いただけだと、昔のよくあるエロティックスリラーで全然面白そうに見えない…かもしれませんが、実は現代に通じる社会問題をダークなユーモアとオシャレなビジュアルで手厳しく皮肉ったスリリングな映画です。男女間の権力関係がめまぐるしく移り変わる様子は終盤まで目が離せません。

ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)
女性と男性との埋め難い溝は、ときに極端な補助線が現れる瞬間にしか埋まらない。彼らは一瞬世界でいちばんの理解者になり、その後宇宙でいちばんの敵となる。

小柳帝(ライター・編集者)
イタリア映画サントラのマニアならジャケットで知っている、ステルヴィオ・チプリアーニの最高傑作の一つにしてトップレア盤の『Femina Ridens』(マニアなら原題で覚えているはず)が、『男女残酷物語/サソリ決戦』という邦題で、ついに劇場公開される!
私も昔、DJでかけたスキャット・コーラス入りのバロック・ジャズ「Fugato」や、オリンピアが歌うグルーヴィー・チューン「Femina Ridens Song」は映画のどこで流れるのかも要チェックだ。

高橋諭治(映画ライター)
男女のSM的性愛闘争を描いた作品だが、サイコな妄執スリラー、キッチュなスパイムービー、近未来SFのテイストが自由奔放に混在し、摩訶不思議なギミックとオブジェに彩られた映像世界に唖然呆然。目まいを誘う後半の場面転換は、まさに白昼夢のような映画体験だ。

遠山純生(映画評論家)
フェミニズムが女性による単為生殖社会の到来を実現するのではないかと怖れる男性禁欲主義者。これは、そんな自己矛盾を抱えた変態と、彼を「男」にするサソリをめぐる、身も蓋もない話。だからここでは、女に対する嫌悪と劣等感と崇拝が混線するジャッロ的世界と、男を食いものにするノワール的なヴァンプ像が一つになる。エリオ・ペトリ、ラドリー・メツガー、ジェス・フランコ、大和屋竺らとも共振する想像力のなかで、暴力と死の予感がポップアートやアンフォルメルやキネティックアートと衝突し、男女の権力闘争にライヒや性革命が反響する。ひとことでまとめれば珍奇!

渡部幻(批評家)
60年代後半のイタリアで、男性の不妊手術を提唱する急進的な女性が拉致監禁される。同時代の007映画的なデザイン空間で下されるサド・マゾの”罰“。その命令と服従のサディズムは男性権力の誇示であると同時に射精の代償行為でもある。が、しかしこの映画、女性の曲線美によだれを垂らさせる男性向けのポルノグラフィとは一線を画している。むしろ風刺であって、奇矯なユーモアにこそばゆくくすぐられているうちに、その眼目はジェンダーの概念にとらわれて怯える“男の哀れ”に向けられていると気づくのだ。そして女は……。ジュゼッペ・カポグロッシの”フォーク的“記号や“ナナ・シリーズ“のニキ・ド・サンファルのアートを模した食中植物的な美術に目を奪われるが、かのカルロ・ランバルディが制作した男に瓜二つの”分身ビニール人形“の暴露的な破壊力には敵わないかもしれない。

ゴッホ今泉(イラストレーター)

上:男女対決イラスト
下:精神統一イラスト

作品情報

男女残酷物語/サソリ決戦
2024年6月7日(金)より新宿武蔵野館・渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開

1969年|イタリア映画|ビスタ|90分|原題:Femina Ridens|英題:The Laughing Woman / The Frightened Woman|映倫区分:G / S-4383

監督・脚本:ピエロ・スキヴァザッパ 製作:ジュゼッペ・ザッカリエーロ 撮影:サンテ・アキーリ 美術:フランチェスコ・クッピーニ 衣装:エンリコ・サバティーニ
編集:カルロ・リアリイ 音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
出演:フィリップ・ルロワ、ダグマー・ラッサンダー、ロレンツァ・グェッリエリ、バロ・ソレリ、マリア・クマニ・クアジモド、ミレッラ・パンフィーリ

キングレコード提供 アンプラグド配給

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