1978年に制作されたイギリスの傑作アニメーション映画『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』が、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち HDリマスター版』として11月30日(土)より全国順次公開。このたび各界の著名人からのコメントが到着。あわせて本編の冒頭映像が解禁された。
原作は、イギリスの作家リチャード・アダムスが1973年に英国カーネギー賞とガーディアン賞をW受賞した名作児童文学。1978年にイギリスで初めてアニメーション映画化。日本では1980年7月に夏休み映画として公開。当時は畑正憲(ムツゴロウ)による日本語監修で吹替え版のみ(主題歌は井上陽水)の上映だったが、今回は日本初となる待望のオリジナル音声+日本語字幕での上映となる(※今回の上映は「字幕版」のみ)。
今回解禁となる本編映像は、うさぎたちの物語に入る前の冒頭部分で、創世神話を描いているシーン。地球上の草食動物たちは、最初皆似たような形で仲が良かった。しかし、うさぎたちの数が増え、草を全て食べつくししまい、他の動物たちが困ってしまう。創世者フリスは、「仲間を統率しなさい」とうさぎの王エル=アライラーに告げるが、彼は「自分たちが世界一強いんだ」と全く話を聞かない。怒ったフリス様は、ほかのあらゆる動物たちに特徴を与え、うさぎを襲うキツネや犬、ネコ、タカやイタチに変えていく。周りが危険な敵ばかりになって、やっと自分の愚かさに気づいたエル=アライラー。そこで、フリス様はうさぎにどんな生き物よりも速く走れる強い後ろ足を与えるのだった……。
あわせて、ギレルモ・デル・トロや小島秀夫など初公開時に大きな影響を受け、今回の劇場上映を心から喜ぶ、各界の著名人の方々から推奨コメントが到着。初公開時に手塚治虫が寄せた貴重なコメントと共に解禁された。コメントは以下のとおり。
著名人コメント一覧(敬称略/順不同)
ギレルモ・デル・トロ(映画監督)
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』は人生の分岐点となった映画だ。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
高校生の時に劇場公開された「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち(1978)」は衝撃作だった。イギリスからやって来た凶暴な“うさぎたち”のアニメは、原作を未読だった兎年の僕にはトラウマにもなった。児童文学などで描かれていた兎の概念を吹き飛ばす内容だったのだ。あの“うさぎたち”が45年ぶりにHDで帰ってくる!
しかも挿入歌も音声もオリジナル音声版なのだ。さあ、大人になった今、また“うさぎたち”の穴に墜ちてみよう。
古川登志夫(声優)[1980年初公開時に吹替を担当]
格調高い映像と音楽、この作品にフィットする日本語版のセリフは、技巧的であってはなるまいと思ったのを覚えています。 初めて映像を観た時、画面全体が、彩度を落とした草木染めのようなリアルな色調で、樹木や草花も精緻に描かれ、日本画の様だと感じました。 登場するうさぎ達は、言葉を除くと、造形、色彩、動き、表情などは、極端な戯画化や擬人化が無くあくまでリアルで、残酷なシーンなども容赦なく描写される。次々と襲いくる危機、波乱万丈の物語の進展は早く、一気に惹きこまれました。 「強い者が偉い」!として、万物の最高位に君臨する人間へのアンチテーゼの様にも見える《弱者であるうさぎ達のユートピアを目指す苦難の物語》は、しかし、人間社会の縮図でもあるのでしょう。
長江俊和(監督・作家)
まるで夢のなかにいるかのような映像体験でした。自分がうさぎになって冒険の旅に出たかのような……。でもそれは決して楽しいものではありません。くり返される殺戮と転生。時には残酷で、時には神々しく。
氏家譲寿(ナマニク/文筆家・映画評論家)
残酷さや社会的なメタファに目がいきがちだが、ウサギたちが静かに“ブラック・ラビット”に迎えられる様をみるにつけ、運命と死は荘厳なものであると感じる。 何も恐れる必要はない、ただ想いと共にひたすら前に進めばいいのだ。
涌井次郎(新宿ビデオマーケット店長)
天使の歌声が響く中に描かれる舞いが、観る者を向こう側へと誘ない、 白昼夢のような心地よさと、このまま連れて行かれそうな怖ろしさを同時に覚える。 アニメーションでこそ表現し得た生と死の境界線、その繊細な美しさ。
手塚治虫(漫画家) [1980年初公開時パンフレットより]
映画が始まったとたん「ガーン」とハンマーで叩かれたようなショックをうけましてね、ウサギの伝説ではじまるプロローグの部分の絵に、まずまいった。そのあと、物語部分を10分ほどみているうちに、切々と「人生のシガラミ」・・・・・・といったものが伝わってくる感じで、だんだん泣けそうになるのですね。・・・・・・で、2回半、みちゃいました(笑)。
ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち HDリマスター版
2024年11月30日(土)よりシネ・リーブル池袋、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
STORY
英国ハンプシャー州に、サンドルフォード繁殖地というウサギたちの巣穴があった。ある日、そこに棲むウサギで予知能力をそなえたファイバーがこの地に災害が迫っていることを予言。彼の兄であり、彼の“能力”を認めているヘイズルは村の長に避難を提案したもののとりあってもらえず、上士(幹部)頭ビグウィグの助けも借りながら何羽かのウサギたちと村を脱出する――。人間たちによる「喰われるためだけ」の養兎場、将軍による「軍国主義的な統制」を敷く繁殖地・・・、理想郷を探す彼らの旅の前に立ちふさがるのは予想もしない世界だった。
声の出演:ジョン・ハート、リチャード・ブライアーズ、マイケル・グレアム・コックス、ジョン・ベネット、ラルフ・リチャードソン、サイモン・カデル、テレンス・リグビー、ロイ・キニア、リチャード・オキャラハン、デンホルム・エリオット、ゼロ・モステル、ハリー・アンドリュース、ナイジェル・ホーソーン、ハンナ・ゴードン、クリフトン・ジョーンズ、マイケル・ホーダーン、ジョス・アクランド、メアリー・マドックス
監督・脚色・製作:マーティン・ローゼン アニメーション監修:フィリップ・ダンカン アニメーション監督:トニー・ガイ
原作:リチャード・アダムス 編集:テリー・ローリングス 音楽:アンジェラ・モーレイ、マルコム・ウィリアムソン
歌:アート・ガーファンクル「Bright Eyes」
1978年/イギリス/英語/カラー/DCP/93分/ステレオ2.0ch/1.85:1(アメリカンビスタ)
原題:Watership Down/日本語字幕:大石盛寛/提供:是空、ハピネット・メディアマーケティング/配給:アーク・フィルムズ
© 1978 WATERSHIP PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト usagi-movie.jp
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