2025年に没後10年となるポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラのデジタルリマスターされた作品を公開する特集上映「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」が、4月18日(金)より、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほかにて全国順次開催されることが決定した。あわせてポスタービジュアルと特報、各作品のメイン画像が解禁された。
100歳を超えてもなお映画を作り続け、現役最高齢の監督として世界中で話題と尊敬を集めた、マノエル・ド・オリヴェイラ。「私はシネマトグラフの映画監督だ」「映画とは何か?それは幻影だ。」と語り、「シネマトグラフ」を発明したリュミエール兄弟や「映画の魔術師」ジョルジュ・メリエスなど最初期の映画との連なりを強く意識するオリヴェイラは、まさに映画史を体現する唯一無二の存在である。
故ジャン=リュック・ゴダールをはじめ、ペドロ・コスタやミゲル・ゴメスなど日本でも人気を得ている現代ポルトガル映画の作家たち、そして濱口竜介監督や三宅唱監督などが特別な映画監督としてその名を挙げている。2025年はオリヴェイラが106歳で亡くなって、没後10年となるメモリアルイヤー。サイレント期に始まる80年間に及ぶ映画人生の中で残したあまりにも偉大な功績を振り返り、その不世出の才能を発見/再発見する特集上映が開催される。
ラインナップ5作品がすべて4Kスキャンで、日本初のデジタル・リマスター版での公開となる。内3作品は国内劇場初公開となる。かつて公開されたバージョンに15分間分追加されたディレクターズ・カット版ともいえる『アブラハム渓谷 完全版』。濱口竜介監督はフランスの動画配信サイトLaCinetekで本作をフェイバリットリストに入れている。
そして、オリヴェイラ自身の死後に公開することが言付けられ、2015年以来見る機会のなかった自伝ドキュメンタリー『訪問、あるいは記憶、そして告白』。19世紀ポルトガルを代表する作家カミーロ・カステロ・ブランコの最後の日々を描き、オリヴェイラ作品のなかで最も厳格な作品ともされる『絶望の日』。
ほか、黒沢清監督が絶賛した、驚天動地、奇想天外なオペラ映画の怪作『カニバイシュ』。ルイス・ブニュエル監督『昼顔』(67)の38年後を描き、ブニュエルにオマージュを捧げた『夜顔』。古典映画の佇まいと映画の未来を感じさせる瞬間の連続――。いずれも普遍性と先進性に溢れた、必見の5作品だ。
このたび解禁されたポスタービジュアルは、オリヴェイラ作品の中で記念碑的な傑作『アブラハム渓谷』のワンシーンを切り取ったもの。ヒロインのエマ(レオノール・シルヴェイラ)が真紅のイスに腰掛け猫を抱き、謎めいた視線をこちらに向けている。まるで絵画のように完成されたこの写真がどんな場面を切り取ったものなのかは映画を観て確かめてみよう。キャッチコピー「真なる現実へ。」は、オリヴェイラ自身が語った言葉に想を得て作られた。
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あわせて解禁された特報は各作品からオリヴェイラ作品を特徴づける記憶、気配や壮麗な自然を感じるカットで構成。音楽は『絶望の日』で使用されているリヒャルト・ワーグナーの「パルジファル」の前奏曲。その豊かな世界観を味わえる特報が完成した。
マノエル・ド・オリヴェイラ(1908-2015)
1908年12月11日、ポルトガル北部の都市ポルト生まれ。1931年、サイレントの短編ドキュメンタリー映画『ドウロ河』を監督。その後、短編作品を制作。1942年には初の長編映画『アニキ・ボボ』を手がける。アントニオ・サラザール政権による独裁体制下で企画が成り立たず、家業に従事しながら短編を作る。1963年に長編第二作『春の劇』を監督するも、発言が問題視され投獄された。1974年に独裁政権が終わると、80年代以降は旺盛に作品を発表。ヨーロッパで注目を集める。1985年、超大作『繻子の靴』を出品したヴェネチア国際映画祭で特別金獅子生涯功労賞、1991年には『神曲』が同映画祭の審査員特別賞を受賞。『クレーヴの奥方』(99)でカンヌ国際映画祭審査員賞、同映画祭の名誉パルム・ドールを2008年に受賞している。2015年4月2日、106歳で死去。
上映作品
『訪問、あるいは記憶、そして告白』4K修復版 国内劇場初公開
1982年/ポルトガル/ポルトガル語/68分/原題:Visita ou Memórias e Confissões
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ/撮影監督:エルソ・ロック/声:テレーザ・マドルーガ、ディオゴ・ドリア/台詞:アグスティーナ・ベッサ=ルイス
出演:マノエル・ド・オリヴェイラ、マリア・イザベル・ド・オリヴェイラ、ウルバノ・タヴァレス・ロドリゲス
オリヴェイラ自身が暮らしたポルトの家、家族、そして自らの人生を辿る自伝的な作品。自らの死後に発表するように言づけられ、2015年にポルト、リスボン、カンヌ国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された。
© Cineastas Associados, Instituto Portuges de Cinema
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『カニバイシュ』
1988年/フランス、西ドイツ、イタリア、スイス/ポルトガル語/99分/原題:Os Canibais
監督・脚色・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ/原作:アルヴァロ・カルバリャル/撮影:マリオ・バローゾ/音楽・オペラ台本:ジョアン・バエス/製作:パウロ・ブランコ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、レオノール・シルヴェイラ、ディオゴ・ドーリア
厳粛な雰囲気に満ちた貴族たちの晩餐会は、やがて驚愕の展開を見せる。人間、動物、機械などあらゆる境界を侵犯し、奇想天外なユーモアが炸裂するオペラ・ブッファ(喜劇的なオペラ)映画の怪作。
© Filmargem, La Sept, Gemini Films
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『絶望の日』国内劇場初公開
1992年/ポルトガル、フランス/ポルトガル語/77分/原題:O Dia do Desespero
監督・脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ/撮影:マリオ・バローゾ/製作:パウロ・ブランコ
出演:テレーザ・マドルーガ、マリオ・バローゾ、ルイス・ミゲル・シントラ
19世紀ポルトガル文学を代表する小説家カミーロ・カステロ・ブランコの生家を舞台に、拳銃自殺を遂げたカミーロの最期の日々を描く。オリヴェイラ作品の中で最も厳格とも評される作品。
© Madragoa Films, Gemini Films
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『アブラハム渓谷 完全版』2K修復版 国内劇場初公開
1993年/フランス、ポルトガル、スイス/ポルトガル語/203分/原題:Vale Abraão
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ/原作:アグスティーナ・ベッサ=ルイス/撮影:マリオ・バローゾ/製作:パウロ・ブランコ
出演:レオノール・シルヴェイラ、セシル・サンス・ド・アルバ、ルイス・ミゲル・シントラ
フローベール「ボヴァリー夫人」をポルトガル文学の巨匠アグスティーナ・ベッサ=ルイスが翻案し、原作を執筆。言葉、映像、そして音楽それぞれが自律しながら完全に調和する「文芸映画」の最高峰。ディレクターズ・カット版とも言える、本来の姿でスクリーンに蘇る。
© Madragoa Filmes, Gemini Films, Light Night
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『夜顔』
2006年/ポルトガル、フランス/フランス語/ヨーロッパ・ビスタ/69分/原題:Belle Toujours
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ/撮影:サビーヌ・ランスラン/製作:ミゲル・カディリェ
出演:ビュル・オジェ、ミシェル・ピコリ
ルイス・ブニュエル監督作『昼顔』(1967)の登場人物たちの38年後を描く。ミシェル・ピコリが再び「アンリ」役で登場。カトリーヌ・ドヌーヴが演じた「セヴリーヌ」にはビュル・オジエが扮する。
© Filbox Produções, Les Films d’ici
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オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集
2025年4月18日(金)、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
提供:キングレコード 配給・宣伝:プンクテ 協力:ポルトガル大使館 カモンイス言語国際協力機構
公式サイト oliveira2025.jp
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