『Playground/校庭』(2021年)のローラ・ワンデル監督の最新作『Adam’s Sake(英題)』が、邦題を『アダムの原罪』として2026年6月5日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開されることが決定した。あわせて、ティザービジュアルと特報、メイン画像が解禁された。
近年、新世代の才能が台頭してきたベルギーでは、独自の作家性と社会性を併せ持つ良作が生み出され、同国の映画が世界的な注目を集めている。1984年生まれのローラ・ワンデル監督の長編デビュー作『Playground/校庭』もそのひとつ。小学校を社会の縮図に見立て、全編にわたって新入生である7歳の少女の眼差しを採用した同作品は、大人にはうかがい知れない子供たちの残酷な世界を描き、カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞受賞、米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト選出を果たした。その衝撃的な内容と新人離れした完成度の高さは、日本でも多くの観客を驚かせた。

ワンデル監督の長編2作目となる待望の新作『アダムの原罪』は、小児科病棟を舞台にしたヒューマン・サスペンス。骨折して運ばれてきた4歳の少年とその母親の処遇をめぐって繰り広げられる息詰まる人間模様を、ひとりの献身的な女性看護師の視点に立って映し出す。圧倒的なまでに没入度が高い映像世界は、人間の尊厳や命の尊さに触れる根源的なテーマと相まって、観る者の胸を締めつけずにおかない。ベルギーの巨匠、ジャン=ピエール&リュックのダルデンヌ兄弟がプロデューサーを務めた本作は、2025年の第78回カンヌ国際映画祭「批評家週間」のオープニングを飾り、大きな反響を呼び起こした。
とある病院の小児科センターに、左腕を骨折したアダムという4歳の男の子が入院した。栄養失調で痩せこけたアダムは発育が遅れ、骨が脆くなっている。移民のシングルマザー、レベッカ(アナマリア・ヴァルトロメイ)が彼に適切な食事を与えていないと見なした裁判所は、彼女の面会を制限する命令を下した。自らもシングルマザーである看護師長のルシー(レア・ドリュッケール)は、息子と引き離され、親権を失うことを恐れるレベッカに寄り添おうとする。しかしレベッカの軽率な行動、上司や同僚からのプレッシャーによって追いつめられたルシーは、母子を救いたい気持ちと病院が従うべき司法制度との間で板挟みになっていく……。
わずか72分の『Playground/校庭』に続き、78分というコンパクトな本編時間が特徴的な本作は、無駄を一切そぎ落とし、冒頭から観客を不穏な事態に引き込んでいく。医療従事者はすべての患者をケアしたい、母親は愛する我が子をずっと抱きしめていたい。ワンデル監督が描こうと試みたのは、そんな“当然のこと”がままならなくなってしまった現代社会の歪みである。
人手不足などで慢性的に逼迫した医療現場は、病院内の厳格なルールや司法制度に沿って運営されているが、それらのシステムは決して万能ではない。母子を引き離す裁判所命令に疑問を抱いた主人公の看護師ルシーの行動、勇気ある決断に焦点を当てた物語は、人間の良心、他者への共感といった主題を織り交ぜながら、最優先して守られるべき子供の“命”についての重い問いを投げかけてくるのだ。
また、医療・福祉分野の労働環境改善が叫ばれる日本にとっても他人事ではない現実をあぶり出した本作は、慌ただしい激務に奔走するルシーの後ろ姿を手持ちカメラで追い続ける。その緻密に構築された映像スタイルは、時間軸を一夜に限定したフィクショナルなストーリーにドキュメンタリーのような臨場感と、並外れたサスペンスを吹き込んでいく。可能な限り登場人物に肉薄し、息づかいをもすくい取ろうとしたワンデル監督の演出は凄みさえ感じさせる。
主演女優ふたりの迫真の演技からも目が離せない。容易に答えの出ない道徳的ジレンマに直面する看護師ルシーを演じるのは、『ジュリアン』でセザール賞主演女優賞に輝き、『CLOSE/クロース』『あやまち』など幅広いジャンルで活躍するフランスの実力派レア・ドリュッケール。『あのこと』で脚光を浴び、『タンゴの後で』『モンテ・クリスト伯』『ミッキー17』といった話題作が相次ぐルーマニア出身のアナマリア・ヴァルトロメイが、孤立したシングルマザー、レベッカの苦境を全身で体現する。ふたりの女性の葛藤、共鳴を通して希望のありかを模索する本作は、はたしてどこへ行き着くのか。“沈黙”が多くを物語るラストシーンに心揺さぶられずにいられない。
このたび解禁されたティザービジュアルは、4歳のアダムが、母レベッカ(アナマリア・ヴァルトロメイ)にしがみつくシーンを切り取ったもの。アダムの表情には不安と怯えが見える。キャッチコピーとして「ママといたい。でもしにたくない」という悲痛な言葉が添えられている。また、同時に解禁された特報では、アダムが病院内で母レベッカと引き離される様子が映し出されている。レベッカは「あの子を奪うの?」と泣きながら訴える。患者に寄り添いたい気持ちと制度の間で板挟みとなった看護師長ルシーがとった行動とは……?


まとめ(注目ポイント)
- 映画『アダムの原罪』6月5日(金)より全国順次公開決定ダルデンヌ兄弟製作、ローラ・ワンデル監督の最新作。6月5日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。
- 緊迫の特報映像と悲痛なティザービジュアルが解禁少年が母にしがみつくビジュアルと、病院内で母子が引き離される特報映像およびメイン画像が解禁。
- 小児科病棟を舞台にした医療従事者と母親の葛藤劇制度と良心の狭間で板挟みになる看護師の過酷なジレンマを、小児科病棟を舞台にリアルに描写。
- 時間軸を一夜に限定した約80分のコンパクトな構成時間軸を一夜に限定した約80分の構成。手持ちカメラの演出が、逼迫する医療現場の現実を臨場感豊かに表現。
アダムの原罪
2026年6月5日(金) 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督・脚本:ローラ・ワンデル(『Playground/校庭』)
製作:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟
出演:レア・ドリュッケール(『CLOSE/クロース』) 、アナマリア・ヴァルトロメイ(『あのこと』『モンテ・クリスト伯』)
2025年/ベルギー、フランス/フランス語/79分/16:9/5.1ch/原題: L’intérêt d‘Adam /英題: Adam‘s Sake /日本語字幕:岩辺いずみ/提供:ニューセレクト/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム/後援:駐日ベルギー大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
©DRAGONS FILMS – LES FILMS DU FLEUVE – LES FILMS DE PIERRE - LUNANIME – FRANCE 3 CINÉMA – BE TV & ORANGE – PROXIMUS – RTBF (TÉLÉVISION BELGE) – SHELTER PROD
公式サイト adam-film.com



