第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)、サンダンス映画祭2020ネオリアリズム賞受賞をはじめ、世界中の映画賞を賑わせる珠玉の物語『17歳の瞳に映る世界』がいよいよ明日7月16日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開。このたび、本作で見事スクリーンデビューを果たし、全米の映画祭で俳優賞を総なめにしたシドニー・フラニガンと、リメイク版『ウエスト・サイド・ストーリー』に出演が決定しているタリア・ライダーのインタビューが到着した。すでに日本でも話題を呼んでいる二人の演技と絆がどのように生まれたのか…。その理由がわかるインタビューとなっている。
オータム/シドニー・フラニガン
Autumn/Sidney Flanigan
1998年10月19日、アメリカ、ニューヨーク州バッファロー生まれ。バッファロー芸能アカデミー高校で音楽を専攻、その後バッファロー州立大学で演技クラスを受講。ヒットマン作品の編集を長年担当するスコット・カミングスが彼女を発見し、十代の女性らしさ、哀しみ、脆さを歌う彼女の姿に惚れ込み、本作で映画デビューを飾る。本作の演技により、数々の俳優賞を獲得。待機作として“Rounding”(アレックス・トンプソン監督)がある。シンガーソングライターとしても活躍し、Starjuiceというバンドのフロントマンでもある。労働者階級の町、人間関係、不安、ティーンエイジャーの怒りを表現する楽曲をアコースティック・ギターにのせて歌っている。
スカイラー/タリア・ライダー
Skylar/Talia Ryder
2002年8月16日、アメリカ、ニューヨーク州バッファロー生まれ。12歳でミュージカル「マチルダ」のホーテンシア役でブロードウェイに出演。また、15歳にしてミア・マイケルズ監督・振付による、ダンスによって社会正義を訴えた短編映画“Only we know”を製作した。21年はスティーヴン・スピルバーグ監督『ウェスト・サイド・ストーリー』(12/10公開予定)に出演、ブロードウェイの常連やビッグ・スクリーンを飾った著名俳優と共に、ジェッツのコーラスを務めている。英国版VOGUEの「2021年ハリウッドの新時代をリードする6人の俳優」に選出されている。
本作は17歳の少女たちが向き合う世界を鮮やかに活写した物語。少女ふたりの旅路をとおして、どの国にも通じる思春期の感情と普遍的な問題をあぶり出す。ペンシルベニア州に住むオータム(シドニー・フラニガン)は、愛想がなく、友達も少ない17歳の高校生。ある日、オータムは予期せず妊娠していたことを知る。ペンシルベニア州では未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている、いとこであり唯一の親友スカイラーは、オータムの異変に気づき、ふたりで事態を解決するため、ニューヨークへ向かう……。
本作で主人公オータムを演じた、新星シドニー・フラニガンは、本作で初めて演技をして映画出演を果たし、歌声も披露して喝采を浴び、全米の映画賞でブレイクスルー賞、女優賞を総なめにした。
シドニーが本作へ出演することになったのは、彼女が14歳の時にエリザ・ヒットマン監督のパートナーが撮影していた“Buffalo Juggalos”という作品のロケハンでヒットマン監督と出会い、フェイスブック上で友達になったことがきっかけだった。「(エリザは)私が部屋で音楽を演奏している動画をフェイスブックで見て、私が20歳の時に『17歳の瞳に映る世界』のオーディションに来ないか、とメールをしてきました」エリザの目に止まり、映画のオーディションに誘われたシドニーだったが、シンガーソングライターである彼女は演技について「やりたいかどうかわからなかった」と明かす。
しかし、脚本を読み「私にとって、とても重要な物語。リアルで、誰にでも起こりそうな力強いシナリオ」と感じたシドニーは「自分に何ができるか確かめよう」と、監督からの誘いをチャンスと捉え、挑戦することを決意したという。
そんなシドニーも、初めての映画撮影の現場では心細く、気が弱くなっていたが「これこそがオータムが経験することなんだ」と感じ、妊娠をしたことを親にも相談できないまま、ペンシルベニアからニューヨークへ旅に出るオータムの、孤独や暗闇を体当たりで演じたのだった。
頑固で、なんでも自分ひとりで解決しようとするオータムには、心に寄り添ういとこのスカイラーがいる。オータムの近くでいつも彼女の良き理解者となり、言葉を交わさなくともお互いの心を支え、前に進む原動力になっている2人の関係も本作の見どころの一つ。
いとこのスカイラーを演じたタリア・ライダーは「スカイラーはとても賢い女の子」だと説明する。アルバイト先のスーパーでは客にしつこくパーティーに誘われ、店員からは手を握られる。苦々しく思うことばかりで、つい「男だったらと思う?」とオータムに聞くなど、女性としての生きにくさを多く経験している彼女だが、「世界には不公平があること、男の子と女の子の違いもある。あの年で、自分に若い女子としての魅力があることも気づいている」と、大人びた魅力の理由について分析した。
作品で描かれる2人の絆は素晴らしいものだが、現実でも2人は縁を感じていたようだ。シドニーはタリアについて「同じバッファローの出身だと知って、それだけでつながりを感じた」と振り返る。
そんな2人に対して監督は更に絆を深めるべく宿題を出したという。「この映画で描かれる旅とセリフと、プライベートに関する個人的な性格を表す質問に対して、答えをノートに書きました」(シドニー)。それを翌日に交換しあいお互いの理解を深め、壁をなくして撮影に挑んだ結果、シドニーは「撮影時間以外も本当に仲の良い友人になれました」と言い、タリアも「もしシドニーに映画と同じようなことが降りかかれば、私はオータムを守るためにスカイラーがしたように、シドニーにも同じ方法をとるでしょう」と語り、劇中同様、固い絆が生まれたことを語った。
最後に、完成した本作を見た感想と、観客の反応についてタリアは「彼女たちが危機を乗り越え17歳らしい素朴さを見せる、純粋な唯一のひとときに涙が溢れました。サンダンスでもベルリン映画祭でも、瞳を濡らした人々が劇場から出てくる姿を見ました。どちらの映画祭でも、何人もの女性が私のところへ来て、オータムとスカイラーの物語と映画への感謝を伝えてくれました。観客のみなさんがこの物語にある種の聖域を見つけ出したのだと、とても心が温まりました」と語る。
本作の原題である「Never Rarely Sometimes Always」(全くない 稀にある 時にはある 常にある)と質問するシーンについて、「自分の感情と経験を頭の片隅から引き出しただけです。でも、それはとても繊細でパーソナルなことだから何も言いたくない」と語るシドニー。観客はただ息をひそめ、夢中で彼女たちの行方を見守る……現代を生きる我々の心に刺さる、少女たちの勇敢な旅路に注目だ。
17歳の瞳に映る世界
2021年7月16日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
監督・脚本:エリザ・ヒットマン
出演:シドニー・フラニガン タリア・ライダー セオドア・ペレリン ライアン・エッゴールド シャロン・ヴァン・エッテン
プロデューサー:アデル・ロマンスキー、サラ・マーフィー
製作総指揮:ローズ・ガーネット、ティム・ヘディントン、リア・ブマン、エリカ・ポートニー、アレックス・オーロブスキ、バリー・ジェンキンス、マーク・セリアク
2020年/アメリカ/101分/ユニバーサル作品
原題:Never Rarely Sometimes Always
配給:ビターズ・エンド、パルコ
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公式サイト:17hitomi-movie.jp
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