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全州国際映画祭で特別部門ドキュメンタリー賞を受賞した韓国ドキュメンタリー『済州島 声たち』が11月7日(土)より全国順次公開。このたび、4・3事件の際、家で一緒にいた姉が連行され「それで全てが終わってしまった」と女性が証言する本編映像シーンが解禁された。さらに公開を目前にいち早く映画を鑑賞した著名人ら11名から推薦コメントが到着した。また、公開に合わせてチ・ヘウォン監督の来日が決定し、東京、大阪、京都の3都市にて舞台挨拶が開催される。

1947年3月1日から54年9月21日までの7年7か月にわたり、国家権力によって韓国・済州島の島民が“赤狩り”と称して弾圧され、推定2万5千人から3万人が命を落としたとされる「済州4・3」事件。この事件を題材に描いた映画『済州島四・三事件 ハラン』が本年4月に公開されるや連日満席となり話題を呼んだことも記憶に新しい。

日本でも知られるようになったこの惨劇は、韓国の軍事政権下で長い間語られることなく隠蔽され、50年近い年月を経た2000年にようやく真相究明と犠牲者の名誉回復がなされることとなった。しかし、犠牲者の2割を占めた女性たちが受けた性暴力被害は積極的に語られることはなく、その証言が可視化されるようになったのは2019年になってからだった。本ドキュメンタリーは、献身的な4・3研究者の聞き取り作業に同行し、生き延びた4人の女性たちの証言を軸に、国家権力と家父長制という二重の暴力にさらされた女性たちの被害とその後の苦難の道のり、そしてそこから浮かび上がる恐るべき2つの事件に迫る。

今回解禁となった本編映像は、4・3の際、逃亡した父を理由に「逃避者の家族」との烙印を押された、当時16歳だったコ・ジョンジャさんによる証言シーン。「逃避者の家族」は抹殺しろとの命令が下され、家で姉といたところ、年上という理由で姉だけが連行され、軍人によって17人の人たちが一列に並べられたという。「笛の音が鳴りやむと見ていられずうつむき、それで全てが終わってしまった」とコ・ジョンジャさんは語る。

これまで女性たちが受けた被害は公式な被害として1件も記録されておらず、その後の苦難の道のりについても積極的に語られてこなかった。こういった物語をドキュメンタリーで記録しようとしたチ・ヘウォン監督は「なぜおばあさんたちやその家族は、申告しなかったのか。それは申告できない社会的な雰囲気があったからだと思います。したくなかったのではなく、できなかったのです。言葉にすることができなかったこと、沈黙せざるを得なかったこと、そして沈黙を強いられてきたこと。その結果として公式に記録されなかった歴史を、ドキュメンタリーを通して伝えたいと思いました」と語る。

公開を目前に、いち早く映画を鑑賞した著名人ら11名より推薦コメントが到着。コメントを寄せているのは、ISO(ライター)、井上淳一(脚本家・映画監督)、岩井志麻子(作家)、小林エリカ(作家、アーティスト)、佐藤結(映画ライター)、崔盛旭(映画研究者)、浜田敬子(ジャーナリスト)、ハン・トンヒョン(日本映画大学教授)、安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)、ヤンヨンヒ(映画監督)、渡辺満里奈(タレント)の総勢11名(五十音順・敬称略)。

韓国ドラマ・映画ファンで社会派ドラマにも関心を寄せる渡辺満里奈は「その日から何年にも渡り、想像を絶する苦しみを背負い続けてきた歴史の証言者である女性たちが、言葉を紡いでくれたことに心から敬意を表します。いつでも、歴史の中で口を塞がれるのは女性だ、と絶望的な気持ちになるが、私が知ろうとしなかったのではないか。」と真摯な言葉を寄せる。

韓国通として知られ済州島を何度も訪れたことのある岩井志麻子は「普通の人が普通に生きたいと願う。それが生地獄になる世界は済州島だけではないと教えてくれることが、済州島のこの話の恐ろしさだ。」と過去に済州島で起こっただけの出来事ではないことを示唆する。済州4・3を経験した母の壮絶な体験を語ったドキュメンタリー映画『スープとイデオロギー』の映画監督ヤンヨンヒは「一冊の本を読んだからといって、数本の映画を見たからといって、決して解ったつもりになってはいけないと思い知らせてくれる映画である。」と事件の奥深さを指摘。女性の生き方や働く職場の問題などを中心に取材を続けてきたジャーナリスト、浜田敬子は、「沈黙し『死んだように』生きることを強いられた女性たちのためにも、被害を『ないことに』してはならない。」と訴えかける。コメント全文は以下のとおり。

映画『済州島 声たち』は11月7日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。公開に合わせて、チ・ヘウォン監督が来日し、東京、大阪、京都を訪れ、舞台挨拶を行うことが決まっている。

コメント全文 ※五十音順・敬称略

国家は人々の命を奪い、社会は生き延びた女性たちの声を封じた。語れなかった痛みに耳を傾ける本作が問うのは、過去の惨劇だけではない。いまも私たちは、沈黙を強いられる人々を見過ごしていないだろうか。
――ISO(ライター)

『ハラン』の問題はあまりにも悲惨過ぎるゆえに、事実を知らない人に本当にここまでのことがあったのかと思わせてしまったことだ。
四・三事件から78年。ようやく出せた声がある。未だに出せない声がある。そんな「声たち」には『ハラン』では描き切れなかった真実が確かにある。知らなかったでは済まされない。沈黙の声を聞け。
――井上淳一(脚本家・映画監督)

普通の人が普通に生きたいと願う。
それが生地獄になる世界は済州島だけではないと教えてくれることが、済州島のこの話の恐ろしさだ。
――岩井志麻子(作家)

誰かの妻、誰かの娘としか記されなかった、女たちの声。
それを取り戻し続けようとする人がいる、記録しようとする人がいる、それをずっと忘れず生きつづける人がいる、という静かな力に満ちた作品。
――小林エリカ(作家、アーティスト)

おびただしい数の理不尽な死の後に続く、過酷な生を耐え抜いてきた女性たちの言葉。
そして、「いったい、そこでなにを見たのだろうか」と考えずにはいられないキム・ウンスンさんの沈黙。
強張り、不規則にふるえる口元が多くを伝える。
死に際しても呼ばれることのなかったいくつもの名前のこと。
4・3事件が始まる、たった3年前まで済州島が「日本」の一部であったことも忘れずにいたい。
――佐藤結(映画ライター)

歴史のなかで沈黙を強いられ、幾重にも抑圧されてきた女性たちの声に、今こそ耳を傾けようとする本作は、「済州4・3事件」を具体的な実態として明らかにする。
虐殺の記憶を決して風化させまいとするその真摯な営みは、さらなる歴史的な意味を獲得していくだろう。
――崔盛旭(映画研究者)

いつの時代も軽視されがちな女性たちへの加害の事実。沈黙し「死んだように」生きることを強いられた女性たちのためにも、被害を「ないことに」してはならない。封印してきた記憶を証言してくれた女性たちのためにも。
――浜田敬子(ジャーナリスト)

「語れない」人たちの前で、「私たちにはカメラがあると思った」というチ・へウォン監督。そこに映し出されているものだけでなく、映し出されていないものを、見て、聴いて、感じてほしい。
丁寧な取材はもちろん、端正で静謐な映像が、「声なき声」を際立たせ、本作を「映画」たらしめている。
――ハン・トンヒョン(日本映画大学教授)

国家暴力と家父長制の不条理を背負い、ときに名前も意思もはぎ取られ、沈黙を生きる手段とするほかなかった女性たち。この映画を観るほどに、語られなかった無数の声を想う。
――安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)

一冊の本を読んだからといって、数本の映画を見たからといって、
決して解ったつもりになってはいけないと思い知らせてくれる映画である。
この映画を見た後もまた、私たちは知ったつもりになってはいけないのだ。
――ヤンヨンヒ(映画監督)

その日から何年にも渡り、
想像を絶する苦しみを背負い続けてきた歴史の証言者である女性たちが、
言葉を紡いでくれたことに心から敬意を表します。
しかしその証言の数々は、実際には歴史に記録されていない。
いつでも、歴史の中で口を塞がれるのは女性だ、と絶望的な気持ちになるが、
私が知ろうとしなかったのではないか。

済州4・3事件は終わっていない。

戦争や略奪、分断の歴史は過去の事ではなく、今と地続きになっている。
これは、今を生きる私たちが知るべきことに光を当てた、素晴らしい映画だ。
――渡辺満里奈(タレント)

まとめ(注目ポイント)

  • 『済州島 声たち』11月7日公開済州4・3事件を生き延びた4人の女性の証言を軸に描く韓国ドキュメンタリー。
  • 姉が連行された女性の証言映像当時16歳だったコ・ジョンジャさんが、家族と過ごしていた日の記憶を語る本編映像が解禁。
  • 著名人11名から推薦コメント渡辺満里奈、岩井志麻子、ヤンヨンヒらが、作品を通して伝わる歴史と女性たちの声に言及。
  • チ・ヘウォン監督の来日が決定公開に合わせて東京・大阪・京都の3都市で舞台挨拶を開催予定。
作品情報

済州島 声たち(チェジュとう こえたち)
2026年11月7日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開

監督:チ・へウォン『アングリーバードとバナナ合唱団』
プロデューサー:キム・オギョン『クロッシング・ビヨンド』 共同プロデューサー:キム・ソナ
出演:コ・ジョンジャ、キム・ヨンヨル、キム・ウンスン、ホン・スンゴン、チョ・ジョンヒ

2024年|韓国|韓国語|ドキュメンタリー|カラー|88分|シネスコ|ステレオ|原題:목소리들 映倫G
日本語字幕:イ・ソンヒ ハン・ユキコ|字幕監修:伊地知紀子

配給・宣伝:ストロール

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公式サイト https://strollfilms.com/voices

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