アン・ハサウェイ、アンソニー・ホプキンスら豪華共演の『アルマゲドン・タイム ある⽇々の肖像』が5月12日(金)より公開。このたび、『ケイコ ⽬を澄ませて』の三宅唱監督、『14歳の栞』の⽵林亮監督といった邦画界気鋭の映画監督など著名⼈15名から絶賛コメントが到着した。あわせてアンソニー・ホプキンスの名演を切り取った本編映像が解禁された。
本作は『エヴァの告白』(13)、『アド・アストラ』(19)など社会派からSFまで精力的に新作を世に送り出し続けるジェームズ・グレイが製作・監督・脚本を務めた最新作にして、実体験を基にした自伝的な作品。差別と格差が根付く80年代NYを舞台に、多感かつ繊細な12歳の少年ポールが培っていく友情、そして微妙な変化を迎える家族との関係を通して、時代を取り巻く理不尽や不公平を浮き彫りにする。アン・ハサウェイ、アンソニー・ホプキンスらアカデミー賞常連の豪華キャストの共演が実現した。
このたび解禁された本編映像は、主人公の少年ポールの祖父アーロンを演じる名優アンソニー・ホプキンスが「⾼潔な⼈となれ」と優しくも強い意志をもって孫を諭すシーン。
進学校に転校し、環境が代わって元気が無くなったポールを⼼配した祖⽗アーロン。「新しい学校はどうだ?」と問いかけると、ポールは友⼈間で交わされる⼈種差別的な会話について、うんざりはするけれども「何もしない」と、 “学校で⽣きていくためにはそれが当然”という諦めた態度を取る。
しかし、祖⽗のアーロンは「お前は⾏動や⾔葉で⽰さなくては。ちゃんと教えられてきたはずだ。今度黒人やヒスパニックの悪口を聞いたら、お前は⾼潔な態度をとれ。奴らはお前に敵わん」と今後の少年にとって大切な指針を示す。最後は「握⼿とハグだ」「⼤好きだよ」「わしもだ」とお互いを真剣に思いあう、かけがえのない2⼈の絆を描いたシーンとなっている。
あわせて本作をいち早く鑑賞した著名⼈15名から続々と絶賛コメントが到着。『ケイコ ⽬を澄ませて』の三宅唱監督は「本気の映画だ。10代の⾃分やかつての友⼈たちに⾒せたい。今、⼀番ヒットしてほしい!」、『14歳の栞』の⽵林亮監督は「家族の繋がりは、いくら少年が背中を向けて逃げたくなっても、今までどこかで彼を守りつづけてきたのだという証がこの映画そのものであることに気がつき、胸が熱くなりました」とそれぞれ想いを寄せる。
ノンフィクション作家の⽯井光太(「君はなぜ、苦しいのか―⼈⽣を切り拓く、本当の社会学」)は「⼦ども時代に散々反発しながら、成⻑と共に⼤⼈たちに慣らされ、忘却の彼⽅に消し去った社会の⾮情な原理」、ゲームクリエイターの⼩島秀夫は「郷愁を破壊する、優しく残酷な映画。感動とは違う⾝悶えする“感傷”が燻る」、特定⾮営利活動法⼈あなたのいばしょ理事⻑の⼤空幸星は「この映画が醸し出すノスタルジアと社会の現実を誤魔化さずに描いている事実との格差が⾯⽩い。これを観た後、我々はしばらく答えのない問いと向き合う事になる」と寄せている。著名人のコメント全文・一覧は以下にて。
『アルマゲドン・タイム ある⽇々の肖像』は5月12日(⾦)より TOHO シネマズシャンテほか全国ロードショー。
著名人コメント全⽂(敬称略・50 ⾳順)
★⽯井光太(ノンフィクション作家)
「社会で成功をつかむには、差別や格差といった不条理に⽬をつぶらなければならない」 ⼦ども時代に散々反発しながら、成⻑と共に⼤⼈たちに慣らされ、忘却の彼⽅に消し去った社会の⾮情な原理。 平穏な今を享受していたはずの私は、本作によって今更ながらにそのことを突き付けられ、どうすればいいのか︕
★今村久美(教育⽀援 NPO 代表)
社会の規範とされることからはみ出さないように⽣きること、それを良いこととして、私たちは今を⽣きる⼦どもたちに強いてはいないか。⼼を殺し、あげられない声をくみとれないまま、明⽇の「悪い⼦」をつくっていないか。この、アメリカ社会の昔話は、いま⽇本で⽣きている私達に⼤切な問いを投げかけている。
★⼤島育宙(芸⼈/映画・ドラマ解説者)
騙されるな!思い出せ!⼦供時代は痛くて息苦しかっただろう?
世界の監督の間で空前の⾃伝的映画ブームだが、ジェームズ・グレイの回顧は頭ひとつ抜けて苦い。
80年代への憧憬は絶える気配のないブームだが、時代をファッションとして消費することをこの映画は許さない。
⽢いノスタルジーに流れることなく、社会の不条理を複雑なまま映画に焼き付ける。
わかりやすい物語に絡め取られず、複雑な世界を複雑なまま受け継ぐことこそが、世界への信頼と愛なのだと思い出させてくれる映画だ。
★⼤空幸星(特定⾮営利活動法⼈あなたのいばしょ理事⻑)
⽬に⾒えない社会の規範は不条理さと孤独を想起させる。そこから逃げようと試みる主⼈公たちの⾏動は⼈間の本能そのものだ。
この映画が醸し出すノスタルジアと社会の現実を誤魔化さずに描いている事実との格差が⾯⽩い。これを観た後、我々はしばらく答えのない問いと向き合う事になる。
★⾦原瑞⼈(法政⼤学教授・翻訳家)
「え、ここで終わるの?」という気持に襲われたのだが、エンドロールをながめるうちに、エンディングにこめられた監督の深い絶望とかすかな希望が伝わってきて、ぞくぞくするほどの感動がこみあげてきた。観客にまったくこびることのないこの作品は、映画を愛する観客への深い信頼から⽣まれたに違いない。
★北村道⼦(⾐装デザイナー)
12才の多感な少年は学校、家族から逃げだす。 今、リアルな社会問題ではあるが、まったく緊張感が⽣じることなく観る事ができるのは監督と俳優達の才能なのだろう。
★⼩島秀夫(ゲームクリエイター)
誰にでも⾝に覚えのある⼦供の頃の幼い“出来⼼”。オトナになるために犠牲にした家族や親友との⼤切な瞬間。それらの喪失を悔恨させる。しかし、成⻑した今、我々⼤⼈達は理解する。あの頃にタイムトラベルしたとしても、やはり同じ“選択”をするだろうことを。郷愁を破壊する、優しく残酷な映画。感動とは違う⾝悶えする“感傷”が燻る。
★⽵林亮(映画監督)
アマゾンの奥地、⽕星の向こうの海王星の次は、ジェームズ・グレイ監督個⼈の記憶の中の⽣々しい経験への旅でした。リアルな「アメリカンドリーム」の光と影の中で揺さぶられて炙り出された家族の結びつきは⽭盾と葛藤に満ちていて、尚且つ暖かくて、まったく整理がつかないところが好きでした。そして、そんな家族の繋がりは、いくら少年が背中を向けて逃げたくなっても、今までどこかで彼を守りつづけてきたのだという証がこの映画そのものであることに気がつき、胸が熱くなりました。
★ダースレイダー(ラッパー)
僕は80年代にロンドンのユダヤ⼈地区に住んでいた。⾷事で招かれた近所の友⼈宅では友⼈の祖⽗が⾃分の祖⽗⺟の話をするのを聞いていた。通っていた学校にはバスで通学する黒人の友達もいた。これは僕の話だ。12歳のポールの体験はシュガーヒル・ギャングのビートと共に彼の⽣き⽅を決定づけるだろう。
★テラシマユウカ(GANG PARADE)
⼈⽣の物差しをつくるきっかけとなった祖⽗と過ごした時間が次々と蘇る。 無邪気に思うまま⽣きることと、 社会の不条理を飲み込むこと、 成⻑痛とはこんなにも刺すように痛いものか。
★中井圭(映画解説者)
⼦どもたちが直⾯する現実社会の理不尽な分断。 それは、ジェームズ・グレイの作品群で反復された⼈間関係の破綻と歪んだ社会への警鐘へと繋がる。 ⾃伝的作品である本作が映したのは、作家性の原点だ。
★⻄野理⼦(家族社会学者)
1980年代の経済成⻑を遂げたニューヨーク。出⾃による差別を経験した⽩⼈家族が、ある程度の豊かさを達成した⼀⽅で、黒人への差別は過酷だ。成熟社会で少年ポールは、祖⽗、⺟らに救われていながらも、⼼の傷が重なっていく。将来の夢を⾒ては、⼼が折れていく。経済成⻑後の現在の⽇本社会の⼦どもたちが、少年の姿に重なる。
★三宅唱(映画監督)
映画⼀本で世の中全部がひっくり返るとは思わないが、誰かの⽣き⽅に⾰命が起きるくらいの⼒は余裕である。10代の主⼈公たちが⾼潔に⽣きようとするように、ジェームズ・グレイ監督も、⾼潔であろうとすることを⼀切諦めていない。本気の映画だ。10代の⾃分やかつての友⼈たちに⾒せたい。今、⼀番ヒットしてほしい!
★⽮部華恵(エッセイスト/ラジオパーソナリティ)
Life is unfair. ⽗の⾔葉が、悲しく響く。まだそれをわからない少年は、危なっかしく純粋で、あまりに脆い。 時に、⽬を背けたくもなる。少年を⾒ていると、⾃分の幼い⼼が震え出し、先がわかっていても、少年と⼀緒にしっかり傷つくのだ。
★⼭崎まどか(コラムニスト)
親密で切実な友情と家族の物語だからこそ、80年代のニューヨークの空に広がる雲のような“分断の時代”の兆しが鮮やかに浮かび上がる。 少年と祖⽗が⾶ばすおもちゃのロケットがあまりに切ない。
アルマゲドン・タイム ある⽇々の肖像
2023年5月12日(⾦)より TOHO シネマズシャンテほか全国ロードショー
製作・監督・脚本:ジェームズ・グレイ
出演:アン・ハサウェイ、ジェレミー・ストロング、バンクス・レペタ、ジェイリン・ウェッブ、アンソニー・ホプキンス
2022 年/アメリカ/スコープサイズ/115 分/カラー/英語/5.1ch/原題『Armageddon Time』/⽇本語字幕翻訳:松浦美奈/PG-12
配給:パルコ ユニバーサル映画 宣伝:フラニー&Co.
© 2022 Focus Features, LLC.
公式サイト https://www.universalpictures.jp/micro/armageddon-time
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