田舎での充実のスローライフが一転、移住夫婦への地元民の嫌がらせがエスカレートしていく『理想郷』日本版予告編解禁

第35回東京国際映画祭にて最優秀作品賞にあたる東京グランプリ(東京都知事賞)のほか、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞の主要3部門を獲得したスペイン・フランス合作映画『理想郷』が11月3日（金・祝）より全国順次公開。このたび日本版予告編と新場面写真7点が一挙解禁された。

都会を離れて田舎で過ごすスローライフに夢を抱き、スペインの山岳地帯ガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦ふたりが主人公となる本作は、2010年の発覚から裁判が終わるまでの8年間多くの新聞が報道するなど、スペイン全土に激震が走った実際の事件をベースに映画化した心理スリラー。

名作『わらの犬』（71/サム・ペキンパー監督）でも描かれた“田舎と都会の対立”を扱い、人間の暗部に潜む、独りよがりな思考、憎悪、凶暴性に深く迫っていく。本作は2部構成となっており、主人公夫婦の夫が主となる第1部で観客はガリシアの村に引き込まれるような緊張感漂う心理スリラーを体験することになる。そして妻が主となる第2部での展開により、本作が実はラブストーリーであることが提示される。

監督・脚本を務めたのは、ヴェネチア国際映画祭で高く評価された前作『おもかげ』（19）でスペインの新たな才能として名を知らしめた、新鋭ロドリゴ・ソロゴイェン。第37回ゴヤ賞で最優秀映画賞、最優秀監督賞など主要9部門受賞し、スペインにて2022年に公開された独立映画の興行収入1位を獲得。その後も、第48回セザール賞最優秀外国映画賞をはじめ、世界で56の賞を獲得（2023.8.25時点）するなど高い評価を受けてきた注目作がついに日本公開となる。

このたび解禁となったのは、穏やかな田舎でのスローライフが一変していく様子を捉えた、息もつけない緊張感にあふれる日本版予告編。

フランス人夫婦のアントワーヌ（ドゥニ・メノーシェ）とオルガ（マリナ・フォイス）が移住した、スペインの山岳地帯ガリシア地方のある村。緑豊かな自然を満喫し、ふたりが丹精込めて育てた有機トマトは地元の市場でも好評、ふたりの仲睦まじい充実のスローライフの様子を捉えていく。

しかしある日、アントワーヌは村の酒場で出くわした隣人のシャン（ルイス・サエラ）に「ここは私の故郷だ」と告げるが、シャンはそれに対して真意のつかめない鼻息で応答するのみ。この場面を境に予告編のトーンは一気に変わっていく。畑のトマトには何かが混入され、警察に相談をしても“ご近所トラブル”だと取り合ってもらえない。「平和に暮らしたいだけ」と言う妻オルガのささやかな願いもむなしく、村をとりまく風力発電の誘致問題もからんだアントワーヌとシャンやその弟ロレンソ（ディエゴ・アニード）など村人との決定的な対立は、後戻りできないところまで加速していく。

身の危険を感じたアントワーヌが証拠を押さえるためにビデオカメラで撮影しようとする姿や、暗闇の中で夫婦が乗る車の窓をシャンが無言で激しく叩き続ける様子などを捉え、対立と夫婦の行方が気にならずにはおれないスリリングな映像に仕上がった。

あわせて解禁となった新場面写真は、アントワーヌと番犬が立ちすくむ姿や、彼がシャンとロレンソとそれぞれ対峙する様子のほかに、他の場面とはうって変わりアントワーヌが柔らかな表情をオルガに向ける夫婦の2ショットのカットも強い印象を残す。

『理想郷』は11月3日（金・祝）より、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開。