グレッグ・アラキ監督の代表的2作品が待望のデジタルリマスター版でリバイバル公開され、『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』が11月8日(金)より、『ノーウェア デジタルリマスター版』が11月15日(金)より全国順次公開。このたび、総勢15名の著名人より応援コメント&イラストが到着した。
異性愛を常識とする当時の概念や、それを支えてきた映画のあり方に対抗した90年代の「ニュー・クィア・シネマ」ムーブメントを牽引し、インディカルチャーの旗手として知られるグレッグ・アラキの2作品が遂にデジタルリマスターされ、さらに、初公開当時そのストレートな性表現から止むなくカットされたシーンを含むディレクターズカットで劇場公開される。
今回、グレッグ・アラキ監督作品に魅了された、各界の著名人たちから続々と濃厚なコメントが到着。日本初の男性同士による恋愛リアリティショー『ボーイフレンド』(Netflix)でスタジオMCを務めて話題を生んだドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダや、アメリカ在住のZ世代大注目のライター/ジャーナリストの竹田ダニエル、モデル・俳優として活躍するイシヅカユウ、クィア・シネマ研究者の菅野優香や『人のセックスを笑うな』(07)の映画監督・井口奈己のほか、映画・音楽評論家など、総勢15名からコメントが寄せられた。
さらには、イラストレーターの金井冬樹がグレッグ・アラキのチャーミングでポップな世界観を捉えたイラストを寄せている。また、R-1グランプリ2023準決勝進出のお笑い芸人であり歌人としても活躍する鈴木ジェロニモからは、自身の「説明」ネタで2作品を説明する、シュールなコメント映像がYouTubeで届いた。カルチャーへの関心が高い面々が揃った、公開が待ち遠しくなるコメントとなっている。コメント全文・一覧は以下のとおり。
またいよいよ11月8日より公開となる映画『ドゥーム・ジェネレーション』の公開を記念して、11月9日(土)にトークイベントの開催が決定。ゲストには、音楽への造詣も深く、ファッションモデルや俳優として活動されるイシヅカユウと、女装パフォーマーでジェンダーや多様性に関する講演活動でも活躍するブルボンヌが登壇。それぞれの視点からたっぷりと作品の魅力について熱く語る。
また、セクシャルウェルネスを目的としたセクシャルプロダクトブランド、「The New Chapter」が映画『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』公開を記念して、インスパイア”コンドームセット“の販売も決定した。
著名人コメント
◼︎鈴木ジェロニモ(お笑い芸人、歌人、Youtuber、俳優)
映画『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』を説明する
映画『ノーウェア デジタルリマスター版』を説明する
◼︎竹田ダニエル(ライター/ジャーナリスト)
『ドゥーム・ジェネレーション』
セックス、暴力、行き場のない不安。永遠に醒めない悪夢を、いつの時代の若者も生きている。アメリカ社会の絶望を、儚いクィアネスで描き、差別や偏見こそが、最もグロテスクな暴力だと、この作品は叫び続ける。
『ノーウェア』
一秒後も、何が起きるかわからない!脳がトリップするほど、「90年代らしさ」に溺れるカラフルでカオスで、何でもアリな83分。
セックスとドラッグで埋められない、孤独と欲望が爆発した先は…?
◼︎菅野優香(クィア・シネマ研究者)
『ドゥーム・ジェネレーション』『ノーウェア』
ニュー・クィア・シネマの美学とテーマを最も過激でセンチメンタルに表現する映画作家グレッグ・アラキ。
だが、その作品に登場する若者たちの無軌道な振る舞いは、当時のアメリカを覆っていたエイズ禍とホモフォビアへの応答にほかならない。
粗野で衝動的なアラキのクィア・ロードムービーは、差別的で抑圧的な社会を駆け抜けていくパンク映画なのだ。
◼︎村尾泰郎(映画/音楽評論家)
『ドゥーム・ジェネレーション』
グレッグ・アラキが時代の空気を映像と音楽で切り取ったXジェネレーション黙示録。
この映画を覆い尽くす「痛み」は大人になることの痛みでもある。
『ノーウェア』
ブリットポップ、シューゲイザー、ライオットガール、インダストリアルロックetc…90年代の音が詰め込まれた10代の若者たちの空騒ぎの日々。甘酸っぱくもクレイジーな本作はアメリカ西海岸版『トレインスポッティング』だ。
◼︎よしひろまさみち(映画ライター)
『ドゥーム・ジェネレーション』
この当時のグレッグ・アラキは「ゲイ映画しか撮っていない」というイメージが先行していた。そのため本作では、セクシュアリティにこだわりないふりをして、セクシュアル・マイノリティのキャラクターにアプローチした狡猾さが見え隠れする。本作で光るのはローズ・マッゴーワンの芝居。まるで暴走したマシンのようで、ほぼ『ナチュラル・ボーン・キラーズ』。
『ノーウェア』
アラキ自身が「LSDを摂取した『ビバリーヒルズ高校白書』」と称したとおり、LAの青少年のあけすけな性生活について描いたブラックコメディ。あまりにも突拍子もない不条理なオーラス(見てからのお楽しみ)に当時はあっけにとられたが、改めて観るとラリー・クラークの『KIDS/キッズ』(95)にも似ており、90年代後半ポップカルチャーの方向性を知ることができる。
◼︎粉川しの(ロッキング・オン元編集長)
『ドゥーム・ジェネレーション』
何十年ぶりに観たにも拘らず、あの時代のザラリとした質感が瞬く間に蘇ってくる。Nine Inch NailsやSlowdiveのドゥームなサントラに痺れる身体に、乾いた血の匂いや湿気った空気がねっとりと纏わりついてくる。90年代オルタナティブのニヒリスティックで刹那的な側面を、これほど生々しく伝える映像作品も滅多にないはず。
『ノーウェア』
「どこでもない場所」や「どこにも居場所がない」という感覚を繰り返し描いてきたグレッグ・アラキが、それ自体をタイトルに冠した本質的な一作でありながら、とびっきりキャンプにスプーキーにトラッシュに仕上げてくるあたりがまた彼らしい。アポカリプスの怪作。
◼︎くれい響(映画評論家)
『ドゥーム・ジェネレーション』
ファムファタールなローズ・マッゴーワンに、もれなく釘付けになってしまう“ジェネレーションX版『はなればなれに』”。眩いばかりにポップでキュートなのに、どこかセンチメンタル。これを観ずして、「東のウォン・カーウァイ」に対する「西のグレッグ・アラキ」は語れない!!
『ノーウェア』
日本ではリバイバルどころか、ソフト化すらされなかった90’s を代表するカルトムービー再降臨に感涙!世紀末を背景に、豪華キャストと堕天使とエイリアンが相見える、ヤバいものてんこ盛り状態な“アシッド版「ビバリーヒルズ青春白書」”を再発見すべし!!
◼︎長尾悠美(Sister代表)
『ドゥーム・ジェネレーション』
行き当たりばったりのロードムービーは性の解放と奔放さを加速させ、エイミーのアイコニックさを更に際立たせる。
彼女は今一度、フィーチャーすべきミューズである。
◼︎イシヅカユウ(モデル/俳優)
『ドゥーム・ジェネレーション』
私も心の中でこっそりずっとそうしてるみたいに、この汚い世界に愛を込めて中指立ててるみたいな映画だ。あらゆる人のあらゆる体液と、愛と、タバコの煙と、暴力と、悪魔の数字に塗れたイカした服を、3人みたいに着こなしてみたいと思った。そしてこの愛すべき「クソ」な世界に、これからはこっそりじゃなく、中指を立ててやりたい。
『ノーウェア』
人生を知りもしないのに人生がどこにもないと思ったことがある。なんでもないことで人生が終わると思ったことがある。その不安をかき消すように仕様のないことに耽り愛を騙る言葉に縋ったことも。それはまるで何もなかったことのようにいつか私達の口から語られる。夏の蝉の鳴き声のように。だけどそれはどこにもないけど確かにその時あったのだ。
◼︎井口奈己(映画監督)
『ドゥーム・ジェネレーション』
”自殺した親友とザ・スミスの曲を聴いていた「Unloveable」で号泣”
岡崎京子の漫画を読み、オザケンを聴いてた90年代の気分が蘇る。この感じ、すっかり忘れていた。ボロボロでベロベロなビデオテープにダビングされた『途方に暮れた三人の夜』を当時、友達の家で偶然見た。30年間観たいと思っていた 『ドゥーム・ジェネレーション』。とうとう再発見の時が来たのだ。
『ノーウェア』
90年代、アメリカのインディーロック、パンクシーンに憧れていた。D.I.Yの精神。グレッグ・アラキ『ノーウェア』を観るとあの時の憧れが蘇ってくる。ヘナチョコでフラフラだけどセンスがある。そしてロマンチック。センスに全振りして良いんだという確信。
◼︎ドリアン・ロロブリジータ(ドラァグクイーン)
『ドゥーム・ジェネレーション』
むせ返るほどに漂うクィアネスの薫りと、執拗に繰り返されるセックスとバイオレンス。
言葉遊びのように応酬される下品な言葉たちと、鮮烈でフェティッシュな映像美。
好き嫌いがハッキリ分かれる作品ですが、アタシは…嫌いじゃない。ドリトスを食べたくなったわ。
◼︎森直人(映画評論家)
『ドゥーム・ジェネレーション』『ノーウェア』
グレッグ・アラキの再評価が嬉しくてたまらない。『KIDS』や『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の時代、マイノリティ達の解放区と、そこに潜む孤独や不安を最もクールに描き出したシネアストがアジア系米国人(日系三世)の彼だった。真に90'sな傑作『リビング・エンド』と『トータリー・ファックト・アップ』の再上映もぜひ!
◼︎秋田祥(映画上映企画)
『ドゥーム・ジェネレーション』
やっとアラキ作品にスクリーンで会えると思ったら、どこに向かっているのかわからないロードトリップに連れて行かれた。イメージ通りのカリフォルニアを、いや、暴力でできた、アメリカと呼ぶ土地のでこぼこの道をゆく。パンクとカートゥーンのイメージがぶつかって進化して、画面から妙な色気があふれる。逃げているのに進めない悪夢から目覚めるための旅。ほとんど停まってる異性愛ロードムービー!
『ノーウェア』
いつの間にかクィアシネマのレジェンドとして存在を知っていたグレッグ・アラキ。VHSで観た方がその世界に浸れるような気がしていたけど、リマスター版であの蛍光緑と夕焼けをスクリーンで観たら、世紀末のLAの観客と繋がれた気がした。アラキ作品でよく見るあのフラットな壁がここにも。エイズ、ドラッグ、ハルマゲドン。REXが成長したみたいなエイリアンが友達を奪っていく。あまりにも死が身近で、孤独で、ミレニアムなんて祝えなかった若者たちの缶蹴りゲーム。転げる音が微かにまだ響いている。
◼︎ジェレミー・ベンケンムン(元違和感)
『ドゥーム・ジェネレーション』
14歳か15歳くらいのときに初めて『ドゥーム・ジェネレーション』を観たとき、頭が爆発するかと思った。初めて映画の中で、自分の欲望とは別に何も自問しない、流動的なセクシュアリティを見たのだ。アポカリプスなロードトリップの過程で、暴力的な情熱や混沌とした感情、言ってしまえば青春のすべて。そしてただひとつの欲望: 社会のルールに従わず、強く生きろと。
◼︎ユリ・アボ(元違和感)
『ノーウェア』
悪夢のような終末の一日をクィアに描く、グレッグ・アラキの挑発的な一作。ティーンの焦燥や絶望、セックスと暴力、倒錯した世界観の中で、「特別な人」を探し求める純情さがなんだか愛おしい。リアルでも映画でも味わったことのない青春体験。目まぐるしく危ういが、こんなトチ狂った青春も、今なら悪くない。
◼︎金井冬樹(イラストレーター・コミック作家)
11月8日(金) ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版
11月15日(金) ノーウェア デジタルリマスター版
渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開
『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』
監督・脚本・編集:グレッグ・アラキ
出演:ローズ・マッゴーワン、ジェームズ・デュバル、ジョナサン・シェック
製作:グレッグ・アラキ、ニコル・アルビブ、アンドレア・スパーリング
1995年/アメリカ・フランス/カラー/ビスタ/5.1ch/英語/84分/
日本語字幕:佐藤南/原題:The Doom Generation/
映倫区分:R-15+
配給:パルコ 宣伝:パルコ、SUNDAE
©1995 UGC and the teen angst movie company
『ノーウェア デジタルリマスター版』
監督・脚本・編集:グレッグ・アラキ
出演:ジェームズ・デュバル、レイチェル・トゥルー、ネイザン・ベクストン、キアラ・マストロヤンニ、デビー・マザール 他
製作:グレッグ・アラキ、ニコル・アルビブ他
1997年/アメリカ・フランス/カラー/ビスタ/英語/5.1ch /83分/
日本語字幕:長 夏実/原題:Nowhere/映倫区分:R-15+
配給:パルコ 宣伝:パルコ、SUNDAE
©1997. all rights reserved. kill.
公式サイト greggaraki-movie.com
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