カンヌが認める世界最前線の傑作を上映する「カンヌ監督週間 in Tokio 2025」が12月12日(金)~25日(木)の14日間にわたってヒューマントラストシネマ渋谷にて開催されることが決定した。あわせて、映画監督ハーモニー・コリンが第57回「監督週間」(第78回カンヌ国際映画祭)のポスターのために制作したアートワークを用いたキービジュアル、ならびに上映ラインナップ5タイトルが解禁された。

2023年にアジア初の開催となり好評を博した「カンヌ監督週間 in Tokio」の第3回の開催が決定した。本特集は、ソフィア・コッポラ、スパイク・リー、ジム・ジャームッシュ、グザヴィエ・ドラン、大島渚、北野武、黒沢清、三池崇史、西川美和……名だたる監督たちを見出してきたカンヌ国際映画祭の唯一無二のセレクションである「監督週間(Quinzaine des cinéastes/Director’s Fortnight)」の最新ラインナップを日本国内でいち早くスクリーンで鑑賞できる貴重な機会となっている。
今年度、第57回「監督週間」(第78回カンヌ国際映画祭)から、本特集で上映作品として新たに発表されたのは5作品。まず、オープニング上映を飾るのは、「監督週間」観客賞&カメラドール(新人監督賞)をW受賞した、フセイン体制下の不条理を9歳の少女の視点で捉えたイラク出身でニューヨークを拠点に活躍するハサン・ハディ監督の初長編作品『ザ・プレジデンツ・ケーキ(英題)』。
また、日本で怒涛の快進撃を続ける李相日監督作『国宝』をはじめ、雪深い小さな村にやってきた進歩的な教師が厳しい自然のなか官能を刺激される様を描いたルイーズ・エモン監督の初長編作品『ザ・ガール・イン・ザ・スノウ(英題)』、『東ベルリンから来た女』(2012)や『水を抱く女』(2020)などで話題を集めるベルリン国際映画祭銀熊賞受賞監督クリスチャン・ペッツォルトの新作『ミラーズ No.3(英題)』、イスラエルへのテロ攻撃の余波を引き摺るなか新しい国家に音楽を付ける使命を託されるジャズ・ミュージシャンとダンサーの夫妻を描いたナダヴ・ラピド監督『イエス(英題)』など、どれも一筋縄ではいかないラディカルな輝きを放つメッセージ性の強い作品ばかり。
今回解禁となったキービジュアルには、カルト的人気映画作家であるハーモニー・コリンが今年度の「監督週間」のポスターのために制作したアートワークを使用。赤と黄色の二つの顔が描かれており、彼はそれを《トゥイッチーズ(Twitchys)》と名付けている。「この絵の中のキャラクターたちは“トゥイッチーズ”と呼ばれています。彼らはいつもこそこそ遊んでいて、カンヌに来られてとてもハッピーなんです」と、コリンは公式SNSでコメントしている。
1968年、作家性や芸術性の高い作品を称揚するためにカンヌ映画祭に創設された「監督週間」だが、そのセレクションは決してハートウォーミングな作品やラブコメなどではなく、ラディカルで自由な矢を放ち、見る者の心を打つメッセージ性の高い作品ばかり。日本の映画ファン、映画・映像業界に携わる方々、そしてこれからその世界に飛び込もうとしている若者たちへ向けて、VIPO(映像産業振興機構)がセレクトした世界の最前線の映画たちを届ける。
2023年から監督週間のアーティスティック・ディレクターであるジュリアン・レジは、今回のカンヌ国際映画祭の監督週間という「高い作家性をもった芸術的な作品を常に支援してきた」部門で、日本映画2作品が選ばれたことに喜びを感じながら「国際的な成功を心から願う」とコメント。開催期間中はレジの来日をはじめ、豪華ゲストを招いてのトークイベントも予定している(※イベント詳細は後日発表)。
ジュリアン・レジ(アーティスティック・ディレクター) コメント
カンヌ国際映画祭の独立部門である第57回「監督週間」が、3年連続で東京にて開催され、2025年に上映された作品群を日本の観客にご紹介できることは大変光栄であり、特別な機会だと感じています。
VIPOとのこの協力関係に、私たちは特に喜びを感じています。なぜなら、今年のセレクションには、劇場で大成功を収めた李相日監督の傑作『国宝』を含む、日本映画2作品が選ばれたからです。監督週間は高い作家性をもった芸術的な作品を常に支援してきましたが、本作の興行的な成功は私たちにとっても大変喜ばしい結果となりました。さらなる国際的な成功を心から願っています。
他にも、ナダヴ・ラピド監督の『イエス』(今年のカンヌ国際映画祭で最も注目された作品のひとつ)、ドイツの才気あふれる映画監督クリスチャン・ペッツォルトの『ミラーズ No.3』、そして若手フランス人監督ルイーズ・エモンのデビュー作『ザ・ガール・イン・ザ・スノウ』など、ぜひご覧いただきたい作品が揃っています。
東京での「カンヌ監督週間in Tokio」をぜひお楽しみください!
上映作品
★オープニング上映
ザ・プレジデンツ・ケーキ (英題:The President’s Cake)<観客賞&カメラドール受賞作>
監督:ハサン・ハディ
出演:ワヒード・タベット・クライべット、サジャド・モハマド・カズム、ラヒム・アルハッジ、ベニン・アフマッド・ナエフ 制作国:イラク、アメリカ、カタール 【2025年|102分|イラク、アメリカ、カタール】
イラクでは、サダム・フセインからの制裁に、人々が日々戦々恐々としていた頃。9歳になるラミアは、フセイン大統領の誕生日を祝う為にケーキを準備する役目にクラスの抽選で選ばれてしまう。もしケーキが準備できないと、大統領を軽んじたとして当局から厳しい罰を受ける事になる。ケーキの食材を集めるため、ラミアは祖母と、なけなしの貴重品を持って街に出かけていくが……。

国宝(英題:Kokuho)
監督:李相日
出演:吉沢亮 横浜流星 高畑充希 寺島しのぶ 渡辺謙 他
【2025年|175分|日本|<PG12>】©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025 映画「国宝」製作委員会
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく……。誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる——。

ミラーズ No.3 (英題:Mirrors No.3)
監督:クリスチャン・ペッツォルト 主演:パウラ・ベーア
制作国:ドイツ 【2025年|86分|ドイツ】 ©Schramm Film
週末の田舎へのドライブで、ローラは奇跡的に自動車事故から急死に一生を得る。無傷で済んだが精神的には深く傷付き、彼女は事故の目撃者の中年女性・ベティ宅にしばらく寄食する事となり、愛情のこもった介抱を受ける。ベティの夫と息子もローラに慣れ親しむようになり次第に4人は家族のように過ごすのだが、やがてベティ一家のどうにも忘れられない苦悩の過去が浮き彫りにされていく。

ザ・ガール・イン・ザ・スノウ (英題:The Girl in the Snow)
監督:ルイーズ・エモン
出演:ガラテア・ベルージ、マチュー・ルッチ、サミュエル・キルヒャー、オスカー・ポンズ
制作国:フランス 【2025年|98分|フランス】 ©TakeShelter - Arte France Cinéma
19世紀末のある嵐の夜、共和党のエメは子どもたちの教師として、アルプス山麓の雪深い小さな村にやって来る。村人たちから疑念の目を向けられながらも、彼女は古めかしい因習に対して光を放とうと強い気持ちでいたのだが、やがて村に馴染み始めるにつれて次第に官能を刺激されてしまう。

イエス (英題:Yes)
監督:ナダヴ・ラピド 出演:アリエル・ブロンズ、エフラト・ドール、ナーマ・プレイス
制作国:フランス、イスラエル、キプロス、ドイツ
【2025年|150分|フランス、イスラエル、キプロス、ドイツ】 ©Les Films du Bal, Chi-Fou-Mi
2023年10月7日に起こったハマス等のパレスチナ武装勢力によるイスラエルへのテロ攻撃の余波を未だ引きずる中で——ジャズ・ミュージシャンのY(ユー)は葛藤を抱えながら、なんともやるせない日々を過ごし、ダンサーの妻ヤスミンと共に、芸術・魂・身体をも最高額の入札をしてくれる支配者たちに売り渡しながら、喜びと慰めを流血の祖国にもたらしていた。やがてYは、新しい国歌を作曲するという最も重要な任務を託される事になるのだった。

カンヌ監督週間 in Tokio 2025
2025年12月12日(金)~12月25日(木)ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催
■主催:監督週間(Quinzaine des Cinéastes/Directors' Fortnight)/特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)
■共催:東京テアトル株式会社
■宣伝:SUNDAE(Powered by Filmarks)
■特別協力:三菱UFJフィナンシャル・グループ/株式会社ティー ワイ リミテッド
■協力:AKIRA H/株式会社IMS Group/株式会社平成プロジェクト/株式会社セレモニー/在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
© Cannes Directors Fortnight in Tokio 2023-2025
この記事が気に入ったらフォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow WEEKEND CINEMA
































































