『去年マリエンバードで』『ジャンヌ・ディエルマン』の伝説的女優デルフィーヌ・セリッグが監督として残した唯一の長編監督作、ドキュメンタリー映画『美しく、黙りなさい』が7月24日(金)より全国公開。このたび各界著名人のコメントとメイキング写真が解禁された。

『ジャンヌ・ディエルマン』などで知られる伝説的女優デルフィーヌ・セリッグ。彼女が23人の女優たちにインタビューし監督した『美しく、黙りなさい』。「映画とジェンダーをめぐる歴史的重要作」と呼ばれる本作に、各界著名人からコメントが寄せられた。

コメントを寄せたのは、フェミニスト・社会学者の上野千鶴子、ラッパー・ラジオパーソナリティで映画評論でもお馴染みのライムスター宇多丸、テレビドラマ『アンナチュラル』『MIU404』や映画『ラストマイル』で知られる監督の塚原あゆ子、個性的な演技が印象的な若手俳優の円井わん、シスターフッドをテーマとする作品などで人気の高い小説家の山内マリコ、『ナミビアの砂漠』などで国際的に評価される映画監督の山中瑶子、DIVAとしての活躍や映画トーク・映画評にもファンが多いゆっきゅん、『虎に翼』や『ぼっち・ざ・ろっく!』などの脚本家・小説家の吉田恵里香、映画・テレビ・舞台に長いキャリアを持ちコロナ禍中にはミニシアター支援活動も行っていた俳優の渡辺真起子というメンバー。

今から50年前、男性優位の映画業界で、たとえブラックリストにのっても、声をあげたい、届けたいと映画に出演したジェーン・フォンダ、シャーリー・マクレーン、ジュリエット・ベルト、アンヌ・ヴィアゼムスキー、マリア・シュナイダー、エレン・バースティンら23人の女優たちと、監督のデルフィーヌ・セリッグ。そんな本作へのリスペクトにあふれた言葉が寄せられた。コメント全文は以下のとおり。

著名人コメント全文 ※敬称略・順不同
――上野千鶴子(社会学者)
半世紀前、ウーマンリブが世界を変えた。
「今は地球の歴史上で女性であることが最高の瞬間。今の私は男になりたくない」というエレン・バーステインの発言にぐっと来た。
このことばを残しておいてくれたセリッグ監督に感謝。
――ライムスター宇多丸(ラッパー・ラジオパーソナリティ)
これはいったい、いつ発された問いで、いつ口にされた答えなのか……
だんだんわからなくなってくる。
そこにこそ、本作が「今」観られるべき理由がある。
――塚原あゆ子(監督)
赤裸々な白黒の告白に、目が離せない。
彼女達の戸惑いや憤りは今の世の中でも、変わらず存在している。
この作品にあるものは、時代を経て女性だけの問題ではなく、
全てのそうであるべきだと決めつける事への警鐘に見えた。
今、この映像を見られる事に感謝したい。
――円井わん(俳優)
50年で、何が変わった?
「黙っていなさい」
その言葉は今も形を変えて誰かを縛り続けている。
沈黙はときに加害性へ加担すること。
愛やリスペクトだけではこの世界を生き抜けないらしい。
スクリーンに映る彼女たちは、力強く、誇らしく、あなたを鼓舞する。
どうか考えることをやめないで。
そして、黙っていないで。
――山内マリコ(小説家)
デルフィーヌ・セリッグがこんな映画を残していたなんて!
1970年代を生きた女優たちが吐き出す、
怒り、嘆き、鋭く聡明な言葉に、何度も胸を突かれる。
彼女たちはぜんぶ知っていたのだ。
――山中瑶子(映画監督)
私は、この映画に登場する女性たちのような人々が切り拓いてきた道の上で、映画を撮っている。
50年前、彼女たちが言葉を探し、ためらい、憤りながら差し出した思考の軌跡は、
ときに確信となって、いまも私たちの現在を照らし続けている。
映画とは何か、誰が世界を語るのか。
その問いと勇気を残してくれたデルフィーヌ・セリッグと23人の女性たちに、深い感謝と敬意を捧げたい。
芸術を愛し、この世界をよりよくしたいと願う、いまを生きる多くの人に受け取ってほしい。
――ゆっきゅん(DIVA)
映画業界は男性優位社会で、
脚本は現実的な女性を登場させず、
女同士の親密さは描かれない。
彼女たちはセリッグの前でこそ告白する。
これはいつ過去形になりうるだろうか。
――吉田恵里香(脚本家・小説家)
完成は1976年。映画とジェンダーについて語ることにリスクがあった時代に勇気をもって語った女優達が、この映画の被写体だ。
どんなリスクがあろうとも声を上げずにはいられなかった彼女達が切り開いてくれた道の延長上に私も立っている。
残念ながら現在でもこうした話題を口にすることは(当時とは比べ物にならないが)俳優にとって、とりわけ女性にとってリスクがあり、勇気がいることだ。
現在のエンタメ業界に生きる端くれとして、過去と未来を繋ぐ点となるべく私も声を上げ続けたい。
そう思わせてくれる映画だった。
――渡辺真起子(俳優)
仕事を始めた40年前より、格段に今の方が自由になっている。
仕事場にも女性が増え、しっかりと意思を持って働いている。
結婚もし、家族を作り、夢を叶え仕事に尽くしている姿を見るようになった。
たくさんの女性たちの経験と学び、挑戦、闘いが、
今の私の立っている場所を照らしてくれていると思っている。
今も次世代の方々の新鮮なエネルギーにも励まされている。
私は、美しくもなく、寡黙でもない。
健康的な精神の普通のおばさんになって、清々と俳優を続けて生きている。
大きな決定権を持っている人が男性である場合はまだまだ多い、
そして大きな決定をする人が女だって味方とは限らない。
私の声はかなり小さい。でもたくさんの小さな声がまとまって、
大きな声になったら変わらなかったことが変わるかもしれない。
語られる物語が人間の多様性、豊かさを画き、私にも私以外の人にも、
生きる味方がいることを教えてくれるのであれば、それでいいと思う。
この作品でインタビューを受けている方々の声の大きさは様々だけれど、
今、その声を聞くことができるということがとても嬉しい。
まとめ(注目ポイント)
- 『美しく、黙りなさい』7月24日公開 デルフィーヌ・セリッグ唯一の長編監督作が7月24日よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほかで全国順次公開。
- 著名人コメント&メイキング写真解禁 上野千鶴子、ライムスター宇多丸、塚原あゆ子ら各界著名人が作品への思いを寄せた。
- 23人の女優が語る映画業界 ジェーン・フォンダやシャーリー・マクレーンら23人の女優へのインタビューを収録した歴史的ドキュメンタリー。
- 劇場上映限定作品 修復の趣旨により、日本では配信・テレビ・パッケージ化を行わず、劇場上映と自主上映のみ。
美しく、黙りなさい
2026年7月24日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
監督・インタビュアー:デルフィーヌ・セリッグ|撮影・編集:キャロル・ルッソプロス|編集:イオアナ・ヴィーダー
出演:ジェーン・フォンダ、シャーリー・マクレーン、ジュリエット・ベルト、アンヌ・ヴィアゼムスキー、マリア・シュナイダー、エレン・バースティン、ルイーズ・フレッチャー、バーバラ・スティール、ジル・クレイバーグ他
原題:Sois belle et tais-toi !|英語題:Be Pretty and Shut Up!|1976|フランス|白黒|112分|日本語字幕:竹内航汰|提供・配給:ムヴィオラ
©Families Seyrig and Roussopoulos Archive / Centre audiovisuel Simone de Beauvoir
©Sois belle et tais-toi ! / Delphine Seyrig, 1976 / Centre audiovisuel Simone de Beauvoir
※本作はその修復の趣旨から、日本では、配信・テレビ・パッケージ化はなく、劇場上映と自主上映のみに限定されている。




