世界的評価を受けた『一年之初(一年の初め)』や『ヤンヤン』など、人と人のつながりや人生模様、アイデンティティを描くことに長けたチェン・ヨウジエ監督が5年ぶりにメガホンを取り、緻密で繊細なストーリーラインで愛の極限を描いた最新作『親愛なる君へ』が7月23日(金・祝)より全国順次公開中。このたび主演モー・ズーイーからのSPメッセージ動画と新たな場面写真が解禁された。

本作は、老婦・シウユーとその孫のヨウユー、そのふたりの面倒を見る青年・ 老婦・シウユーとその孫のヨウユー、そのふたりの面倒を見る青年・ジエンイーの3人が、血の繋がりを越えた家族の絆をつむぐ物語。 ミステリアスで重厚なサスペンス調の展開を匂わせつつ、徐々に真実が解き明かされていくと、温かな情感溢れる結末まで一気に導かれていく。
ただの間借り人のはずのジエンイーがふたりに尽くすのは、今は亡き同性パートナーの家族だからだ。しかしある日、老婦シウユーが急死してしまう。その死因を巡り、ジエンイーは不審の目で見られるようになる。警察の捜査によって不利な証拠が次々に見つかり、終いには罪を認めてしまう。だがそれはすべて、愛する“家族”を守りたい一心で選択したことだった…。
ジエンイー役で主演を務めたのが『一年之初(一年の初め)』でもヨウジエ監督とタッグを組んだモー・ズーイー。本作でも高い評価を受け、第57回台湾アカデミー賞(金馬奨)や、第22回台北映画奨、第2回台湾映画評論家協会奨で最優秀主演男優賞(台湾映画評論家協会奨は主演・助演の区別がない最優秀男優賞)を受賞した。
このたび到着した主演モー・ズーイーからのスペシャルメッセージ動画は、約2分という短さの中に、ジエンイーの役作りにも繋がる同性パートナー・リーウェイへの想いや、モー・ズーイーの自作自演のピアノの音色、そして本編ではカットされているジエンイーとリーウェイの仲睦まじい未公開シーンも含めた愛情あふれる素材を、ショートムービーの域にまで凝縮したもの。
本作でモー・ズーイーはピアノ教室の先生を演じているが、ピアノを弾く役は今回が初めてではなかったとのことで、その腕はなかなかのもの。この動画を制作するきっかけも、モー・ズーイーが監督に突然「(今は亡き同性パートナーの登場人物の)リーウェイのことを考えながらこの曲を作りました」と連絡してきたことから始まっている。それを聞いた監督も「私だけが聴いたらもったいないので、皆にもシェアしようと思いました」と奮起した。
また今回の映像には日本語字幕入りの台湾版予告編も含まれている。監督は父親が日本人のハーフいうこともあり、日本語が堪能。監督自身の翻訳による日本語字幕入り予告編で、日本の配給宣伝の手は一切加えられておらず、すべて台湾で制作された予告編だ。
さらに、場面写真14点も一挙に解禁。過去には登山でパートナーであるリーウェイを亡くしたことにも大きく関わり、終いには義母の殺人容疑で囚われの身となるジエンイー。ふたりの死をめぐるミステリー作品の中に垣間見える、ふたりの愛情が際立つ場面写真となっている。
本作の舞台のひとつである山について監督は「台湾人にとって山は特別なもの。本作にも山の景色が多く出てきますし、ジエンイーとリーウェイにとっては、山こそが彼らの居場所。山はすべての生き物を平等に見ています。山が彼らにとって、誰からも咎められることのない家なのです」と語っている。














親愛なる君へ
2021年7月23日(金・祝) シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開
【ストーリー】 君が生きていてくれたら… 僕はただ、大好きな君を守りたかった ──
老婦・シウユーの介護と、その孫のヨウユーの面倒をひとりで見る青年・ジエンイー。血のつながりもなく、ただの間借り人のはずのジエンイーがそこまで尽くすのは、ふたりが今は亡き同性パートナーの家族だからだ。彼が暮らした家で生活し、彼が愛した家族を愛することが、ジエンイーにとって彼を想い続け、自分の人生の中で彼が生き続ける唯一の方法であり、彼への何よりの弔いになると感じていたからだ。しかしある日、シウユーが急死してしまう。病気の療養中だったとはいえ、その死因を巡り、ジエンイーは周囲から不審の目で見られるようになる。警察の捜査によって不利な証拠が次々に見つかり、終いには裁判にかけられてしまう。だが弁解は一切せずに、なすがままに罪を受け入れようとするジエンイー。それはすべて、愛する“家族”を守りたい一心で選択したことだった…
監督/脚本:チェン・ヨウジエ
監修:ヤン・ヤーチェ
出演:モー・ズーイー、ヤオ・チュエンヤオ、チェン・シューファン、バイ・ルンイン
2020年/台湾/カラー/106分/シネマスコープ/5.1ch
原題:親愛的房客(DearTenant)
配給:エスピーオー、フィルモット
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公式ウェブサイト:filmott.com/shin-ai