『ピンク・フラミンゴ』(1972)の公開 50 周年を記念して、2022年1月1日(元旦)に公開されるジョン・ウォーターズ監督『マルチプル・マニアックス』、『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』の予告編が完成。加えてジョン・ウォーターズ監督よりビデオメッセージも到着した。

『マルチプル・マニアックス』
©Janus Films
「ある審査員はこう言った。“90 分間、目が侮辱された”と」

映画史上、最も下品かつ悪趣味な映画として名高い 1972 年に公開された『ピンク・フラミンゴ』。来年 2022 年、公開 50 周年を迎えるのを記念して、『ピンク・フラミンゴ』前夜に制作されたジョン・ウォーターズ監督の『マルチプル・マニアックス』(1970)が、2022 年の日の出とともに日本に初上陸を果たす。

主演は『ピンク・フラミンゴ』と同じく巨漢のドラァグクイーン、ディヴァイン。野原に建てられたテント小屋では、アブノーマル・セックス、吐き出したゲロを喰う男、ヘロインの禁断症状などを売り物にした変態ショーが行われている。その一団の座長が、ディヴァインだ。集まった客を射殺しては逃げ回るなど、その悪行は留まるところを知らない。内縁の夫デヴィッドがたまらずディヴァインを殺そうとするが、そう簡単にやられるわけもなく、常軌を逸した殺し合いが繰り広げられる。そして、衝撃のラストには、巨大なザリガニが登場…あの観るものをすべてをドン引きさせた『ピンク・フラミンゴ』の結末に勝るとも劣らない仰天の展開が待ち受けている。

今回の上映では、『マルチプル・マニアックス』と共に、ウォーターズ自身が最愛の作品と語る『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』も同時に上映。映画狂の監督とその仲間たちが、ハリウッド女優ハニーを誘拐し、彼女を主演に仕立て史上最強のインディーズ映画の撮影を始める。強大なハリウッドの映画システムと闘う反逆精神に満ちたコメディだ。

『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』
©Tamasa Distribution

今回の日本上映を一番喜んでいるのは何と言ってもジョン・ウォーターズ監督自身。その喜びを伝えるべく、公開に先立って監督が日本の配給元に送ったビデオメッセージも解禁。その中で、 ウォーターズ監督は、この上映に「立ち会いたかったな」とコロナで渡航が難しく残念だと話した。そしてこの『マルチプル・マニアックス』は、「通称を“セルロイドの残虐行為”」だと語る。1968 年に、5 千ドルで製作された本作は公開当時、散々猥褻だと散々けなされたと語る。「ある審査員はこう言った。“90 分間、目が侮辱された”と」というから、その程度が伺える。そして、ウォーターズ作品にとっての欠かすことのできないディヴァインについて「ディヴァインはゴジラ」だとウォーターズ流の最大級の賛辞を贈っている。

また『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』についても言及。「あれは映画のテロだった」と語る監督。今でもあんなことができるかと自身に問いかけると、もちろん出来ると答える。続けて、「コロナ陽性者を映画館に入れ、古くなった軽食を提供。どうせ味覚が無いから、気にしないさ」と、ウォーターズらしいシニカルでウィットに富んだ発言は健在。そして、今回、同時に出版されるジョン・ウォーターズ著『ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク』(柳下毅一郎訳/国書刊行会)についても言及した。本作は、なんと66歳の時にヒッチハイクした経験から執筆されたと言うから驚きだ。

作品情報

マルチプル・マニアックス
2022年1月1日(元旦)、新宿 K's cinema にて日の出とともにロードショー

Multiple Maniacs【日本初公開】
製作・脚本・撮影・編集・監督:ジョン・ウォーターズ
出演:ディヴァイン、デイヴィット・ロチャリー、メアリー・ヴィヴィアン・ピアース、ミント・ストール、ジョージ・フィッギス
1970 年|アメリカ映画|モノクロ|96 分|©Janus Films

セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ
Cecil B. Demented
製作総指揮:アンソニー・ドロレンツォ、フレッド・バーンステイン 製作:ジョン・フィードラー、ジョー・カラッチオーロ、マーク・ターロフ
監督・脚本:ジョン・ウォーターズ 撮影:ロバート・スティーヴンス 編集:ジェフリー・ウルフ
音楽:ベイジル・ポールドゥリス、ゾーイ・ポールドゥリス
出演者:スティーヴン・ドーフ、メラニー・グリフィス、アリシア・ウィット
2000 年|アメリカ・フランス合作|88 分|カラー|©Tamasa Distribution

配給:アダンソニア 宣伝・配給協力:ブライトホース・フィルム デザイン:渡辺純
字幕:林かんな(『マルチプル・マニアックス』) 協力:仙元浩平
[奇想天外映画祭番外編]

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