第71回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した、ルーマニアの鬼才ラドゥ・ジューデ監督最新作『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』が4月23日(土)よりシアター・イメージフォーラム他全国順次公開されることが決定した。JAIHO配給第2弾作品となる。

本作は冒頭のあけすけな本番セックスシーンから始まる、挑戦的なルーマニア映画。ベルリン国際映画祭の金熊賞に輝いたのをはじめ世界中で大きな反響を呼び、本年度アカデミー賞国際長編映画賞のルーマニア代表作品、さらにニューヨークタイムズが選ぶ2021年ベスト10の第2位(6位は『ドライブ・マイ・カー』)に選出されるなど、その快進撃は止まらない。
ジューテ監督がアイロニーに満ちた眼差しで切り取るのは、終わりの見えないコロナ禍の息苦しさとインターネット、SNS により瞬時に情報が駆け巡り錯綜する現代だ。
ルーマニア・ブカレストで名門校教師であるエミは、コロナ禍の街を彷徨い歩いていた。夫とのプライベートセックスビデオが意図せずネット上に流出し瞬く間に拡散。生徒や保護者の目に触れることになり、夜に控えた緊急招集の保護者会の前、事情説明のために校長宅に向かっていた。彼女の抱える不安や苛立ちは、すれ違う人々も共有する怒りと絶望、さらにはその街、ひいては世界の感情そのもののようであった。猥雑で、汚れ、怒りを孕んだ空気が徐々に膨れ上がっていく…。
日本では「イメージフォーラム・フェスティバル 2021」で昨年特別上映されたものの、その過激な内容に日本での劇場公開は不可能と思われていた。そこへラドゥ・ジューテ監督本人の手により追加編集がなされ、ついに陽の目をみることになった。
“監督〈自己検閲〉版〉”と大々的に謳われた本作は、ただのぼかしやカットを追加しただけでなく、シーンの要所要所に「殺人シーンはOKで、フェラはNGだって?」「見られなくて残念!」「検閲版だよ!」といったアイロニカルで挑発的、ユーモア溢れるメッセージが文字通り本編に映し出されてゆく、類をみないスペシャルver.となっている。
また今回、ポスタービジュアルも解禁。テキストと記号の配置というシンプルなデザインながら、「人間の本性は“卑猥”である」とのキャッチコピーが添えられた。受け手の見方によっては、身体の一部をほのめかしているようにもみてとれる。

世界が同時に経験したパンデミックとその後の社会の閉塞感を背景に、“卑猥”とは何か?と改めて問いかける本作。セックスという極私的で本能的な行動が、ひとたび他人の目に晒されることで事態は思いもよらない方向へ転がっていく。ラドゥ・ジューテ監督が放つ、怪作にして最高傑作だ。
あわせて映画配信サービスJAIHOにてラドゥ・ジューデ監督特集が決定。19世紀初頭のルーマニアにあるワラキアを舞台に、ロマとルーマニアの歴史を描き、第 65 回べルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した『アーフェリム!』(2015)を2022年2月17日(木)より60日間配信。さらに、1941年からのルーマニアの歴史的出来事を基に描かれた問題作『野蛮人として歴史に名を残しても構わない』(2018)を2022年4月16日(土)より60日間配信することも決定した。両作品ともこれまで劇場公開・BD/DVD 化・配信はされておらず、JAIHO にてプレミア配信となる。
株式会社ツインが2021年6月よりスタートさせた映画配信サービス(https://www.jaiho.jp/)。日本ではまだ知られていない傑作を世界中からセレクトし、365 日毎日 1 作品を配信。本作はJAIHOレーベルとしての劇場公開作品となる。
アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版
2022年4月23日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
監督・脚本:ラドゥ・ジューデ
2021/ルーマニア、ルクセンブルク、チェコ、クロアチア/ルーマニア語/106 分/シネスコ/5.1ch/英題:BAD LUCK
BANGING OR LOONY PORN/字幕翻訳:大城哲郎/配給:JAIHO R-15
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