一般家庭の視点から英EU離脱後の未来社会を描き、BBC & HBO共同製作の問題作として話題の海外ドラマ 『2034 今そこにある未来』。本作で、トランプ前大統領を彷彿とさせる過激な英首相役を演じたエマ・トンプソンのインタビューコメントが到着した。
2019年から2034年までの15年間の社会情勢を、英国マンチェスターに住む、とある一般家庭の視点でブラックユーモアたっぷりに風刺した家族ドラマ『2034 今そこにある未来』(全6話)が「スターチャンネルEX」にて独占配信中(「BS10 スターチャンネル」でも放送中)。
過激な展開も含め実際に起こりうると思わせる未来予測を交えつつ、社会情勢や政治がごく普通の市民にどんな影響を与えるかを辛辣に描き、米ワシントンポスト紙が「2019年最高傑作の1つ」と絶賛した一方、中国では放送禁止にもなった問題作。クリエイターは『ドクター・フー』『IT‘S A SIN 哀しみの天使たち』を手がけた脚本家ラッセル・T・デイヴィス。 「現在」と恐ろしいほどリンクした未来予測SFドラマだ。
本作の見どころの一つが、過激な発言を繰り返すトランプ前大統領を思わせる政治家を『いつか晴れた日に』や『ハリー・ポッター』シリーズなどの名優エマ・トンプソンがコミカルに演じている点。ラッセル・T・デイヴィスの“ジョージ・オーウェル級”の脚本を読み、そのリアルさと恐ろしさに惹かれたと明かす彼女が、本作の魅力や役作りについてを明かした。
――ラッセル・T・デイヴィスの今回の脚本を読んだ感想をお聞かせください。
「関係者たちがロンドンに集まってこの企画の打ち合わせをする前にデイヴィッドと会いましたが、すぐに彼に心を奪われました。とても魅力的な人であり、非凡な脚本家なのです。彼の才能はジョージ・オーウェルに匹敵すると思います。彼の描くAIとの暮らし方をはじめ、サイエンスフィクションを取り入れた日常の様々な描写も並外れていますね。ヴィヴィアンのヴィジョンが現実となっていく様子や物語の前半でライオンズ一家の人々が彼女がすごい人物だと思っている姿にもとても恐ろしさと無情さを感じます。権力欲が強く、モラルが根本から欠落している人物をあろうことか良識と思いやりのある人物だと信じてしまうところなど、非常に恐ろしいですよ」
――ヴィヴィアンというキャラクターとドラマの役どころを教えてください。
「ヴィヴィアンは自分の本音を語る人でその歯に衣着せぬ発言の数々で大きな支持を獲得していくのです。とても才気あふれるキャラクターなのですが、それがラッセルの執筆力のおかげでさらに生き生きと信憑性のあるものになっていますね」
――役者として本作に感じた魅力とは?
「何より脚本が素晴らしかった。非常に卓越していて恐ろしさもあるものでした。最初は穏やかに徐々に幕が開いていきますが、突然として、恐ろしいことが次々と起こり始めるのです。そこに巻き込まれていく人々の様子と、(まるでアラジンの精霊のジーニーのように)いったん解き放たれた精霊を元に戻すことの難しさが描かれているのです」
――ヴィヴィアン・ルック役はどのように役作りされましたか? 実在する有名人からヒントを得ましたか?
「役作りの準備は必要ありませんでした。何しろ目の前のあらゆることをそのまま活かすことができましたから。ヴィヴィアンの聡いところ、というかラッセルの描く彼女は、世のため人のためを熱心に考える、堅実でごく普通の働く女性に見えます。もちろん、本当の彼女はもっと腹黒く、権力欲の塊のような人物ですがね」
――ヴィヴィアンにはユーモアもありますが、これはあなたも取り入れたいと思った要素ですか?
「もちろんです。できるだけ彼女を面白くて、自虐的で、魅力的に演じようと務めました。というのも、なぜ人々が彼女に投票しようと思うのか、その理由が伝わるようにしたかったからです。でも結局彼女はモンスターになりますけれどね。彼女に説得力があればあるほど、その反動も大きくなる。直接面識のない人には同情や共感をするよりも嫌悪や差別をするほうがずっと簡単なのです。人々に恐怖を植え付けて嫌悪感を煽るほうが楽なのですよ。私たちも現実でそういう事態を何度も何度も見てきていますよね」
――視聴者にはこのドラマを観て何を感じて欲しいですか?
「希望は常にある、ということですね。これは人間ドラマですし、いつだって暗い時代に陥ったらあとはもう良くなっていくだけ、そしてより良きものにしていくしかないですから。このドラマを機に、今、私たちに必要な議論がより活発になっていくといいですね」
2034 今そこにある未来
(全6話)
【配信】 「スターチャンネルEX」
<字幕版>配信中 ★第1話 無料配信期間★2月5日(土)まで
<吹替版>3月4日(金)より全話配信開始
[配信情報・詳細] https://ex.star-ch.jp/special_drama/STufq
【放送】 BS10 スターチャンネル
【STAR1 字幕版】毎週水曜23:00 ほか(第1話再放送:2月2日(水)13:00~ほか)
【STAR3 吹替版】毎週火曜22:00 ほか(第1話再放送:2月19日(土)10:00~)
[放送情報・詳細]https://www.star-ch.jp/drama/2034
STORY
2019年、ビジネスウーマンのヴィヴィアン・ルックがコメンテーターとして過激な発言を繰り返し注目を集める。ある日ライオンズ家の末妹でシングルマザーのロージーが第2子を出産するが、彼女の兄ダニエルは「こんな世の中に生まれてくるなんて」と生後間もない甥の将来を危惧する。それから5年経った2024年の冬、祖母の誕生日祝いに集合した一家を、世界を揺るがす驚愕のニュースが襲う…。
【脚本・製作総指揮】ラッセル・T・デイヴィス(『ドクター・フー』、『IT’S A SIN 哀しみの天使たち』) 【監督】サイモン・セラン・ジョーンズ、リサ・マルケイ
【出演】ロリー・キニア(『007』シリーズ)、エマ・トンプソン(『クルエラ』)、ジェシカ・ハインズ(『パディントン2』)、ラッセル・トーヴィー(『ドクター・フー』)、リディア・ウエスト(『IT’S A SIN 哀しみの天使たち』) ほか
© Years and Years Limited 2019
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