現代ウクライナを代表する映画⼈ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督作品の代表作であり⽇本未配給の2⻑編『アトランティス』(2019)『リフレクション』(2021)の緊急上映が決定した。クラウドファンディングを通して上映料から義援⾦を集めてウクライナの映画⼈へ⽀援を⾏う。

今回の企画は、発起⼈である前東京国際映画祭プログラミング・ディレクター・⽮⽥部吉彦が有志を集めて⽴ちあげたもの。⽮⽥部は東京国際映画祭在職中にヴァシャノヴィチ監督と親交を深めており、今回のロシアのウクライナ侵攻を受けて、『リフレクション』の権利を扱うエージェントからコンタクトがあり、特別に上映許諾を得て、⽇本での特別上映会を実施するに⾄ったという。

『アトランティス』は2019年のヴェネチア国際映画祭「オリゾンティ」部⾨作品賞受賞、同年の東京国際映画祭「コンペティション」部⾨で審査員特別賞受賞し、⼤きな反響を呼んだ。
そして、彼の最新作『リフレクション』は2021年ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部⾨に選出された、ロシアとの紛争の酷さを⾼度に洗練された美学に貫かれた映像で描く驚異の映画。
今回、クラウドファンディング(Motion Gallery)を通して、会場費や字幕制作費などの実費をカバーし、プロデューサーに⼀定額を還元するとともに、募集した金額が上映経費を上回った場合には、ウクライナの映画⼈をサポートする団体に寄贈し、引き続き世界に発信する映画を撮り続けてもらおうと考えているという。
企画側は「映画を通して世界を知ること、そして我々ができる平和への思い、ぜひこの機会に共感いただければと強く願っています」としている。
クラウドファンディングサイトはこちら→https://motion-gallery.net/projects/standwithukraine/
開催情報
実施名称:
ウクライナ映画⼈⽀援上映会:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督作品上映
上映日時&場所:
3⽉29⽇(⽕)19:30開映 『アトランティス』/会場:ユーロスペース
3⽉30⽇(⽔)18:00開映 『アトランティス』/会場:ユーロライブ
3⽉30⽇(⽔)21:00開映『リフレクション』/会場:ユーロライブ
3⽉31⽇(⽊)19:30開映『リフレクション』/会場:ユーロスペース
・主催:「ウクライナ映画⼈⽀援上映 有志の会」(代表 ⽮⽥部吉彦)
・協⼒:New Europe Film Sales、Best Friend Forever、(株)フリーストーンプロダクションズ、(有)マーメイドフィルム、(有)ユーロスペース、東京国際映画祭
(注意)
・チケット購⼊に際して:クラウドファンディング(Motion Gallery)のサイトにて前売り券を販売。(状況により当⽇券の販売も予定。)
・新型コロナウィイルス感染症対策のもとイベントを実施いたしますが、感染拡⼤の状況によってはイベント⾃体の実施や内容が変更になる場合がございます。
ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督プロフィール
ウクライナの映画監督、プロデューサー、撮影監督。1971年ウクライナのジトーミル⽣まれ。1995年に撮影監督、2000年にドキュメンタリー映画製作者として、カルペンコ・カリー国⽴劇場・映画テレビ⼤学を卒業。2007年にはポーランドのワイダスクールを修了。 2012年に『Business As Usual』(オデッサ国際映画祭にて上映)で監督デビュー。 2014年、ミロスラブ・スラボシュピツキー監督の『ザ・トライブ』ではプロデューサー兼、撮影監督を務める。 2019年に監督したディストピア作品『アトランティス』は、第76回ヴェネツィア国際映画祭「オリゾンテ」部⾨で作品賞を受賞し、その後も世界中で数々の賞を受賞。 2021年に、彼の最新作『リフレクション』が第78回ヴェネツィア国際映画祭の「コンペティション」部⾨に出品された。
作品情報
『アトランティス』
原題:Атлантида 英題:Atlantis
2019年/ウクライナ/108分/シネマスコープ/DCP
監督・脚本・撮影監督・編集・プロデューサー:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
出演:アンドリー・リマルク、リュドミラ・ビレカ、ワシール・アントニャック
STORY:2025年、ロシアとの戦争終結後のウクライナ東部は荒廃し地雷原が点在する不⽑地帯となっていた。元兵⼠のセルヒーは戦争で多くを失いPTSDに苦しむ⽇々を過ごしていたが、戦死したまま⼟中に放置されている遺体を掘り出し⾝元を特定するボランティア活動に参加し、同僚の⼥性カーチャと出会う。
『リフレクション』
原題:Відблиск 英題:Reflection
2021年/ウクライナ/126分/シネマスコープ/DCP
監督・脚本・撮影監督・編集・プロデューサー:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
出演:ロマン・ルーツィク、ニカ・ミスリツカ、アンドリー・リマルク
STORY:ウクライナ東部での戦線が激化、病院に到着する重傷者の増加を実感していた外科医のセルヒーは義務感に追われるように⾃らも志願して戦地へと赴く。ロシアに制圧された地域に⼊ってしまい捕虜となったセルヒーは、収容所で⼈間としての尊厳を失わせる⾁体や精神の破壊を⽬の当たりにする。