ロシアのとある地方都市に赴任した二人の新米教師に密着したドキュメンタリー映画『ヘィ!ティーチャーズ!』が6月下旬からユーロスペースにて公開することが決定し、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。

世界中の教師たちが共感するに違いない、「教えること」の日々の泣き笑いの営み

エカテリーナとワシリイはモスクワの大学を卒業した新米教師。ふたりは理想を胸に、見ず知らずの地方都市の学校に赴任する。エカテリーナは文学、ワシリイは地理の先生として。だが、すぐにその理想は崩れていく。授業中に勝手に発言する生徒や話を全く聞かないクラス、教師同士の人間関係、日々の授業の準備。山積する仕事に「理想の教育」は霞んでいくのだった。果たして、情熱を持ち、新しい教育を目指したふたりの新米教師の行く末は?

本作はロシアという一国にとどまらない、教育システムや教師の働き方のギャップに迫ったドキュメンタリー。教室の中にカメラを据え、教師と生徒の一挙手一投足を見つめる。そこには、世界中の教師たちが共感するに違いない、「教えること」の日々の泣き笑いの営みがつぶさに記録されていた。

また本作からは一面的ではない、大国ロシアの姿も見え隠れする。生徒たちの発言も自由で活発だ。「僕はドネツク出身」、「ウズベク語で“人間”は?」、「先生は昔からいるお婆さん先生と違う」、「教師は夢と希望だけじゃ務まらない」、「文学の先生は愛国教育で僕らに落第点をつけた」、「社会主義死ね」、「国家は人々に帰属すべきだ」などなど、政治や社会情勢、恋愛や性、ジェンダーの問題に関する多様な意見が溢れ出す。

監督はプーチン政権により閉鎖に追い込まれた「Radio Free Europe/Radio Liberty」でディレクターとしても活動する、ユリア・ヴィシュネヴェッツ。

日々、ウクライナ侵攻のニュースが流れるロシア。そこには様々な葛藤を抱えつつも、暮らし、学ぶ人々の姿があることもまた事実。クラクフ映画祭は本作を「ロシアの公共教育システムは、自分を犠牲にしてでも、生徒たちの学力と生活の向上を望んでいる教師の理想をも壊してしまう。その姿を、鋭く皮肉的に捉えた作品だ」と評している。

作品情報

ヘィ!ティーチャーズ!
2022年6月下旬〜ユーロスペースほか全国順次公開

【監督】ユリア・ヴィシュネヴェッツ 【撮影】コンスタンチン・サロマチン、ダリヤ・セニチェヴァ、ユーリャ・ランツォーヴァ
【出演】エカテリーナ・マモントワ、ワシリイ・ハリトノフ、サーシャ・ゴルデーエフ
【配給】豊岡劇場

2020年/ロシア/ロシア語/DCP/90分/ドキュメンタリー

原題:Katya I Vasya idut v shkolu 英題:Hey!Teachers!

© OkaReka

公式サイト http://heyteachersjapan.com/

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