9月3日(土)より公開が予定されていた、アッバス・キアロスタミ監督作品『クローズ・アップ』(HDリマスター版)の日本公開が延期されることが発表された。

『クローズ・アップ』
「社会に対して誤った、意図せざるメッセージを送ることになると判断しました」

日本公開延期は8月26日、『クローズ・アップ』を共同で配給しているノーム/東風から発表されたもの。

ノーム/東風は延期発表の声明の中で、「イラン人アーティストのマニア・アクバリ氏が、アッバス・キアロスタミ監督名義で2002年に発表された映画『10話』で使用されている映像は自分のものであると主張し、キアロスタミ氏に作品を盗まれたこと、またキアロスタミ氏から性的暴行を受けたことを告発していることがアクバリ氏自身のSNS や報道によってわかりました」とし、「このような状況で『クローズ・アップ』の公開を予定通り行うことは不誠実であるだけでなく、社会に対して誤った、意図せざるメッセージを送ることになると判断しました」と説明している。

『クローズ・アップ』は、ある男が映画監督のモフセン・マフマルバフになりすまし、裕福な一家を騙したという詐欺事件を知ったキアロスタミ監督が、すぐに裁判所を訪れ、その公判の模様をカメラに収めた作品。さらに、事件に至る過程を当事者たち自身に演じさせて再現することで、事の次第を明らかにしていく。9月3日(土)より公開が予定されていた。

東風/ノームの日本公開延期についての声明は以下の通り。

アッバス・キアロスタミ監督作品
『クローズ・アップ』(HD リマスター版)日本公開延期のお知らせ

イラン人アーティストのマニア・アクバリ氏が、アッバス・キアロスタミ監督名義で 2002年に発表された映画『10話』で使用されている映像は自分のものであると主張し、キアロスタミ氏に作品を盗まれたこと、またキアロスタミ氏から性的暴行を受けたことを告発していることがアクバリ氏自身の SNS や報道によってわかりました。

これをうけ、『クローズ・アップ』を共同で配給している東風とノームとで協議し、上映を予定してくださっていた映画館に事情を説明し、9 月 3 日(土)より予定していた劇場公開を延期することにいたしました。

現時点で知りうる情報は限られていますが、このような状況で『クローズ・アップ』の公開を予定通り行うことは不誠実であるだけでなく、社会に対して誤った、意図せざるメッセージを送ることになると判断しました。

どうかご理解をいただけますようお願い申し上げます。

東風/ノーム

作品情報

クローズ・アップ

監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ 撮影:アリ=レザ・ザリンダスト
出演:ホセイン・サブジアン、ハッサン・ファラーズマンド、アボルファズル・アーハンハー、メフルダード・アーハンハー、モフセン・マフマルバフ
1990 年|98 分|イラン|英題:CLOSE-UP

配給:ノーム/東風

© 1990 Farabi Cinema

公式サイト https://the-art-theater.com/

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