2020年ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)に輝いた名匠ホン・サンス監督の24作目『逃げた女』(英題:THE WOMAN WHO RAN)が6月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。このたび吉岡里帆、満島真之介、 行定勲、小堺一機をはじめ各界の著名人より本作への共感、絶賛の声が続々到着。あわせて新ビジュアルも解禁された。
2021年ベルリン国際映画祭で最新作『INTRODUCTION』が銀熊賞(脚本賞)を受賞し、2年連続して銀熊賞受賞に輝く快挙を果たした注目の名匠ホン・サンス監督。
最新作『逃げた女』は、『夜の浜辺でひとり』でベルリン国際映画祭銀熊賞(主演女優賞)受賞した、公私にわたるパートナーの主演キム・ミニ(『お嬢さん』)との7度目のタッグとなる話題作。
ホン・サンス作品の代名詞ともいえる長回しや奇妙なズームアップの演出が、一見たわいない会話、登場人物の気まぐれな行動を通して、愛や結婚、さらには人間や人生の本質をユーモアと詩情豊かに描き出していく。
本作公開を記念して絶賛開催中のホン・サンス監督特集上映「HONG SANGSOO RETROSPECTIVE 12色のホン・サンス」(5/14~6/10)に加えて、6 月 12日からは特集上映「作家主義ホン・サンス」も開催される。
そんな注目が高まる『逃げた女』について、吉岡里帆(女優)は「女性ならではの強さに共感し、同時に隠そうとしていた弱さにも対峙せざるを得ない時間」とコメントを寄せた。
また大島葉子(女優)からは「ズームの様に女の心の内を自然体で語らせる」、北村紗衣(イギリス文学者、フェミニズム批評)からは「実は女性が人生で直面する様々な問題にさりげなくも鋭く切り込んでいます」など、謎めく女性心理をスリリングにあぶりだした本作に共感のコメントが寄せられている。
また、岨手由貴子(『あのこは貴族』映画監督、脚本家)からは「高揚しっぱなしでした。」、行定勲(映画監督)からは「それぞれの事情、それぞれの恋情を語る女たちに魅了されっぱなしだった。」とクリエイターからも絶賛の声が。
さらに、斎藤真理子(翻訳者「82 年生まれ、キム・ジヨン」)、古家正亨(ラジオ DJ/MC)など韓国カルチャー通からも絶賛の声が寄せられている。
遠い過去の出来事でも、それが強烈で純粋であったほど人はそれを忘れることなんて出来ない。
今、髪をばっさり切った女性は、意を決したように閉ざした自身と向かい合っていく。
小さな窓は開かれ、ゆっくりと風がそこに流れ込んでくる。
揺れるキム・ミニの演技は、自然の中に生きる小さな動物のようで、近年稀にみる美しさだった。
加瀬亮
含みのある会話から、主人公の微細な心の変化を感じる。何気なさすぎる時間は余白を纏いこちら側に考える時間をくれる。
エンドロールが流れた瞬間、その不思議な世界観にどっぷりと引き込まれていた事に気付きました。
女性ならではの強さに共感し、同時に隠そうとしていた弱さにも対峙せざるを得ない時間。
吉岡里帆(女優)
山が見えた。鳥が泣いた。風が吹いた。
息をするだけでお腹が空くの…
リンゴの硬い皮を剥く音が、心の皮をも剥がしていく。
裸の心で、また息を吸う。ああ、お腹すいた。
わたしの逃げる場所は、あなたの逃げられなかった場所なのかもしれない。
満島真之介(俳優)
語り部であるはずの主人公のガミの人生が、物語が進むにつれ段々とわからなくなって来る。 再会した人々の人生がはっきりするにつれて 、 ラスト、ガミの観ている映画のシーンが『甘い生活』に重なった。観客は逃げられない。
小堺一機
まるで、久しぶりに友人に会った後のような感覚。この映画で交わされる会話を聞きながら、自分の人生の選択について考えさせられた。
それぞれの事情、それぞれの恋情を語る女たちに魅了されっぱなしだった。
行定勲(映画監督)
女は現状に満足しない「欲どしい」生き物だ。
ホン・サンスはズームの様に女の心の内を自然体で語らせる。一言も聞き逃せない。
「自分で髪を切ったの。」
そこにどんな意味が含まれてるのか…
私も最近キム ・ ミニみたいに髪を切った…
大島葉子(女優)
キム・ミニがまとう“人が本来持っている謎”みたいなもの。
それが立ちのぼるスリルに、何気なさを刻むズームに、高揚しっぱなしでした。
2度出てくる窓を開ける行為がとりわけ印象的で、主人公の“ 謎 ”に触れられたような気がします。
岨手由貴子(映画監督、脚本家)
女性たちは話し込む。
話し込めば話し込むほど、
映画も、監督も、背景に取り残される。
なのに何かが妙に鮮明になってくる。
あれ、ホン・サンス、結晶してきた?
どこへ向かっていくのかわからないけれど、この結晶化はとても気になる。
斎藤真理子(翻訳者)
焼酎はワインに置き換えられた。口あたりは、確かに爽やかだ。
でも、孤独で行き場のないキム・ミニのその姿はホン・サンスの描く世界そのもの。
スクリーンは果なき航海を意味する海なのか。77 分。短いが深い。
古家正亨(ラジオ DJ/MC)
一見、何の変哲もない会話を撮っているだけに見えますが、実は女性が人生で直面する様々な問題にさりげなくも鋭く切り込んでいます。女同士の会話に男性が介入することで男女間の権力構造が浮かび上がる、ヴァージニア・ウルフ的韓国映画です。
北村紗衣(フェミニズム批評、武蔵大学准教授)
逃げた女
6月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺他 全国順次公開
<STORY>5 年間の結婚生活で一度も離れたことのなかった夫の出張中、初めてひとりになった主人公ガミ(キム・ミニ)は、ソウル郊外の3人の女友だちを訪ね、再会する。行く先々で、「愛する人とは何があっても一緒にいるべき」という夫の言葉を執拗に繰り返すガミ。穏やかで親密な会話の中に隠された女たちの本心と、それをかき乱す男たちの出現を通して、ガミの中で少しずつ何かが変わり始めていく。
監督・脚本・編集・音楽:ホン・サンス 出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、ソン・ソンミ、キム・セビョク、イ・ユンミ、クォン・ヘヒョ、シン・ソクホ、ハ・ソングク
2020 年/韓国/韓国語/77 分/カラー/ビスタ/5.1ch 原題:도망친 여자 英題:The Woman Who Ran 字幕:根本理恵
配給:ミモザフィルムズ
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