ファッション業界のレジェンド、アンドレ・レオン・タリーの生涯を描いたドキュメンタリー映画『アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者』が3月17日(金)公開。このたび本作に総勢14名の各界著名人からコメントが到着した。また、3月18日(土)に北村道子登壇のトークイベントが開催されることが決定した。
昨年1月18日に73歳で他界したファッション界の巨匠アンドレ・レオン・タリー。『プラダを着た悪魔』でスタンリー・トゥッチ演じるナイジェルのモデルとされ、白人の占める割合の多いファッション業界において、黒人モデルや非白人デザイナーたちの進出に積極的に貢献した。人種差別が色濃く残る時代のアメリカ南部で幼少期を過ごしたアフリカ系アメリカ人の彼が、如何に最も影響力のあるファッション・キュレーターにまでのし上がったのか。本作は彼の人生と彼が残した数々の功績をマーク・ジェイコブス、アナ・ウィンター、トム・フォードなどファッション界を代表する人物たちのインタビューと共に振り返るドキュメンタリー。
このたび、ひと足先に本作を鑑賞した著名人総勢14名からコメントが到着した。俳優のオダギリジョーは「『大切な教え』が、この映画にはたくさん詰まっている。」とした上で、「何かを追求する姿は本当に美しい。」とコメント。
俳優であり映画監督の竹中直人は「何てチャーミング!何てキュート!何てエレガント!何てクール!スクリーンから目が離せない!」とアンドレの佇まいに夢中に。画面いっぱいに拡がる彼の魅力に心動かされた様子が感じられる。
また、ファッションエディターの祐真朋樹やキュレーター・服飾研究科の深井晃子らは「存在感に圧倒された。」「際立っておしゃれ」と実際にアンドレを見かけた際のことを振り返りその衝撃を述べている。コメント一覧・全文は以下にて。
著名人コメント *敬称略、五十音順
品格、知性、信仰心、審美眼、好きなものや人への愛情を培い、それらを失うことなく自身のスタイルに昇華したアンドレ。その姿から服を着ること、記述すること、語ることもクリエイティヴなんだと改めて教えられた。
青野賢一(文筆家/選曲家)
学校では習わない『大切な教え』が、この映画にはたくさん詰まっている。
その人らしく、何かを追求していく姿は本当に美しい。
オダギリジョー(俳優)
アンドレが圧倒的な美意識と感性に裏付けられた豊富な知識と優しさの方と知りました。
彼を通したFashionがドラマチックな表現で世界中へと広がっていく記録に勇気と愛をもらいました。
この映画を観てすぐにデザインをしたくなりました。
落合宏理(FACETASM デザイナー)
冒頭の「ファッションと違いスタイルは不滅。美は多種多様であらゆる物事に宿る。」という言葉に全てが凝縮されていると思う。アンドレ・レオン・タリーさんの貴重な生の声からファッションとの向き合い方のヒントを見つけ出せると思います。
小木“POGGY”基史(ファッション・キュレーター)
差別や偏見に屈する事なく、ファッション界の巨匠と呼ばれるまでに至った道のりは、後に続く者たちに希望を与え続ける。センスと知性と優しさ、そしてユーモア溢れる愛すべき人物の記録。
下田法晴(SILENT POETS)
1989年初夏、パリのカフェ ド フロール。
黄色いギンガムチェックのジャケットにタイ、そしてカンカン帽をかぶったアンドレ・レオン・タリーと出会った。
その瞬間、僕は彼の存在感に圧倒された。
祐真朋樹(ファッションエディター)
アンドレを語る証言者たちの目の輝き!それを見れば、アンドレの素晴らしさが分かる!!
何てチャーミング!何てキュート!何てエレガント!何てクール!スクリーンから目が離せない!
「やっぱりファッションって最高だぜっ!ファッションこそ人生だっ!!」って心の底から叫びたくなる映画だった!
竹中直人(俳優/映画監督)
ファッションを生業にするということ。それは他者への愛と敬意。自身を律して苦しい時も陽気に振舞うハートの強さ。努力を怠ったり、混沌とした感情の沼に陥りそうになったら、この映画を見返して襟を正そうと思う。
谷崎彩(スタイリスト/洋服店店主)
人種差別、富の格差、性的指向や外見への偏見。そんなこんなの息苦しいハンデを跳ね返し、趣味の裁定者として一目おかれたスタイルアイコンにして黒人文化のレジェンド、アンドレ・レオン・タリー。
「かっこよさ」とは、世界に新しい視点をもたらし、よりよい社会を創造する可能性を広げること、と教えてくれる。
中野香織(服飾史家)
アンドレの姿を、パリコレの最前列でよく見かけた。黒人の大男、際立っておしゃれ。ともかく目立った。
その独自の美学の源泉に、監督はぐんぐん迫っていく。エレガンス、贅沢、エクストラバガンス、そして知性。そんなファッションの真髄が、日本ではいつになったら理解されるのだろう?
深井晃子(キュレーター/服飾研究家)
ショーの最前列で圧倒的な存在感を放ってきたアンドレ・レオン・タリー。日本にいると見えない、彼の生い立ちや活動が明らかに。南部の黒人社会で育ち、祖母やヴリーランドから愛情を注がれた彼の「贅沢とは心の在り方」という言葉とその実践が心に響く。
本橋弥生(デザイン史研究家/「ファッション イン ジャパン」キュレーター)
彼はファッションが恋人で、ずっとファッションを愛し続け、結果的に世の中を変えていったんですね。
愛に勝るものはないと言いますが周りの人への愛や尊敬は忘れないようにしましょう。
三原康裕(シューズデザイナー)
「貴族になるのに血筋は関係ない」彼自身の言葉ほど、アンドレ・レオン・タリーを表しているものがあるだろうか。このドキュメンタリーで知った彼の美とファッションへのストイックなまで献身と、反骨精神。ファッションの最高位に登りつめた彼に改めて敬礼したい気持ちだ。
山崎まどか(コラムニスト)
コロナ禍を経てさまざまな社会問題が噴出し、不安な世の中に生きるなか、アンドレ・レオン・タリーのような確固たる「自分のスタイル」を持つことこそ、どことなく萎縮した私達を解放し、新たな時代を切り拓くチャンスになるのではないか。
彼、そして彼を愛する人々が発信した言葉の数々から、それを感じ取ってもらいたい。
よしひろまさみち(映画ライター)
また、公開を記念し、トークイベントの開催も決定した。数々の映画、広告、雑誌などの衣裳で活躍しているスタイリスト・北村道子が登壇し、本作の見どころやアンドレ・レオン・タリーについて、またファッション/スタイルとアメリカ社会などについてトークを繰り広げる予定。イベント概要は以下の通り。
イベント概要
日時:3月18日(土)夜の回上映後
※スケジュールは決定次第HPにてご案内いたします
場所:Bunkamura ル・シネマ(〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 6F)
登壇者:北村道子(スタイリスト)
*トークイベントは予告なく変更・中止となる可能性がございます。
*当日はマスコミの取材が入る可能性がございます。
プロフィール 北村道子(きたむら・みちこ)
1949年、石川県生まれ。サハラ砂漠やアメリカ大陸、フランスなどを放浪ののち、30歳頃から、映画、広告、雑誌等さまざまな媒体で衣裳を務める。映画衣裳のデビューは85年、『それから』(森田芳光監督)。07年に『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(三池崇史監督)で第62回毎日映画コンクール技術賞を受賞した。その他の映画衣裳に『双生児-GEMINI-』(99)『殺し屋1』(01)『アカルイミライ』(02)『メゾン・ド・ヒミコ』(05)など多数。著書に『Tribe』(朝日出版社)『COCUE』(コキュ)『衣裳術』シリーズ(リトルモア)などがある。 2022年(第40回)毎日ファッション大賞 鯨岡阿美子賞受賞。
アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者
2023年3月17日(金)Bunkamura ル・シネマ にて公開
監督:ケイト・ノヴァック 製作:アンドリュー・ロッシ(『メットガラ ドレスをまとった美術館』監督)
出演:アンドレ・レオン・タリー/アナ・ウィンター/トム・フォード/マーク・ジェイコブス/イヴ・サンローラン/カール・ラガーフェルド/ノーマ・カマリ/ヴァレンティノ・ガラヴァーニ/ウーピー・ゴールドバーグ/イザベラ・ロッセリーニ/ウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)/ラルフ・ルッチ/サンドラ・バーンハード/マノロ・ブラニク/アンドレ・ウォーカー ほか
2017/アメリカ/93分 英題:THE GOSPEL ACCORDING TO ANDRÉ 日本語字幕:柏野文映
提供/配給:リージェンツ
©Rossvack Productions LLC, 2017. All Rights Reserved.
公式サイト andremovie.com
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