本日3月13日(現地時間は3月12日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで世界最高峰の映画の祭典「第95回アカデミー賞授賞式」が開催され、最多ノミネート(10部門11ノミネート)の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が前評判通りの強さを発揮し、最多7冠に輝いた。受賞の瞬間を含めて、授賞式のハイライトシーンを改めて振り返る。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で作品賞を受賞した監督ほかキャストとスタッフたち
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「こんなストーリー、映画でしか起こらないと言うけど、起こりました!」

授賞式は、5年ぶり3度目の司会を担当するジミー・キンメルが、『トップガン マーヴェリック』の戦闘機から降下するという演出で、パラシュートを背負って天井からステージに降りて登場してスタート。

キンメルは「暴力的行為した人には主演男優賞を差し上げます」「もし、ジョークが気に入らず、ステージに上がろうとしたらクリード(マイケル・B・ジョーダン)、もしくはミシェル・ヨーが私を守ってくれます。マンダロリアン(ペドロ・パスカル)、スパイダーマン(アンドリュー・ガーフィールド)、フェイブルマンまでいますよ」と昨年のウィル・スミスによるクリス・ロック平手打ち事件をジョークにした。

そして「スピーチ時間を守ってくださいね。守れないとこうなります」というキンメルが『RRR』の「ナートゥ・ダンス」のパフォーマーたちに囲まれて、半ば強制的に退場させられるという一幕も。

「ナートゥ・ダンス」のパフォーマーたちに囲まれる司会のジミー・キンメル
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『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞の最多7部門を制覇。『西部戦線異状なし』が4部門(国際長編映画賞、撮影賞、美術賞、作曲賞)で続いた。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァンは涙ながらにスピーチ
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アジア系男優の助演男優賞受賞は1985年のハイン・S・ニョール(『キリング・フィールド』)以来28年ぶり史上2人目。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンは涙ながらにステージに上がり「こんなストーリー、映画でしか起こらないと言うけど、起こりました!」と感激を口にした。

昨年のアカデミー賞受賞者トロイ・コッツァー、アリアナ・デボーズに祝福されるキー・ホイ・クァン
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助演女優賞を受賞したのは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のジェイミー・リー・カーティス。それぞれオスカーにノミネートされながら受賞は叶わなかった両親ジャネット・リーとトニー・カーティスにオスカー像を捧げた。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で助演女優賞を受賞したジェイミー・リー・カーティス
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作品賞など主要8部門9ノミネートとなっていた『イニシェリン島の精霊』紹介の場面では、司会のジミー・キンメルが同作の主人公の親友がロバという設定にちなんでロバをステージに連れて登場。主演を務めたコリン・ファレルは投げキスを送った。

司会のジミー・キンメルはロバを連れてステージに登場
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助演男優賞受賞のキー・ホイ・クァンと『原始のマン』(1992)で共演しているブレンダン・フレイザーは、『ザ・ホエール』にて特殊メイクを駆使して体重272キロの主人公を熱演し、見事オスカー像を獲得。「信じられない」と涙ながらに感激を口にしていた。

『ザ・ホエール』で主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザー
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主演女優賞に輝いたミシェル・ヨーは、スピーチで「私のような見た目の男の子たち、女の子たち、見ていますか?」と語りかけ「これ(受賞)は、みなさんの希望の証、夢は実現するという証です。そして、女性のみなさん、誰にも『歳を取り過ぎた』なんて言わせてはいけません。この受賞を私の母に、そして世界中のお母さんたちに捧げます。彼女たちこそがスーパーヒーローです」と訴え、喝采を浴びた。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演女優賞に輝いたミシェル・ヨーのスピーチに場内喝采
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最後に発表された作品賞のプレゼンターを務めたのはハリソン・フォード。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』でフォードと共演しているキー・ホイ・クァンは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の受賞が発表されると、大喜びでステージ上でフォードと抱擁を交わしていた。

恒例の歌曲賞のパフォーマンスには、リアーナ(『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』/“Lift Me Up”)ら、豪華な顔ぶれが出演。

ステージで“Lift Me Up”パフォーマンスを披露するリアーナ
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女性を主人公に据えた7編からなり、日本から杏が出演した短編『私の一週間』(呉美保監督)も収められている『私たちの声』の主題歌“Applause” (作詞・作曲:ダイアン・ウォーレン/歌唱:ソフィア・カーソン)も披露された。

“Applause” を披露したソフィア・カーソン
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また、事前に出演が発表されていなかったレディー・ガガがサプライズで登場し、“Hold My Hand”(『トップガン マーヴェリック』)を歌い上げた。

サプライズ登場だったレディー・ガガは『トップガン マーヴェリック』主題歌を熱唱
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歌曲賞はこの日も圧巻のパフォーマンスを見せた『RRR』の“Naatu Naatu(ナートゥ・ナートゥ)”が受賞。インド映画の歌曲賞受賞は初の快挙となった。

圧巻のパフォーマンスが披露された『RRR』の「Naatu Naatu」はインド映画初の歌曲賞受賞
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このほか、インド映画『エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆』が短編ドキュメンタリー賞を受賞するなど、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、監督のダニエル・クワンらの受賞とあわせて、アジア系の作品、俳優、クリエイターの躍進が目立つ受賞結果となった。

「第95回アカデミー賞授賞式」字幕版は3月13日(月)夜10:00よりWOWOWで放送・配信、3月21日(火)まで WOWOW オンデマンドでアーカイブ配信される。

【第95回アカデミー賞授賞式】受賞結果一覧

作品賞:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
監督賞:ダニエル・シャイナート/ダニエル・クワン(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)
主演男優賞:ブレンダン・フレイザー( 『ザ・ホエール』)
主演女優賞:ミシェル・ヨー( 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)
助演男優賞:キー・ホイ・クァン(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)
助演女優賞:ジェイミー・リー・カーティス(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)
国際長編映画賞:『西部戦線異状なし』
脚本賞:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
脚色賞:『ウーマン・トーキング 私たちの選択
撮影賞:『西部戦線異状なし』
編集賞:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
美術賞:『西部戦線異状なし」
衣装デザイン賞:『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
メイク・ヘアスタイリング賞:『ザ・ホエール』
作曲賞:『西部戦線異状なし』
歌曲賞:“Naatu Naatu” 『RRR』
音響賞:『トップガン マーヴェリック』
視覚効果賞:『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
長編アニメ映画賞: 『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
長編ドキュメンタリー賞:『ナワリヌイ』
短編ドキュメンタリー賞:『エレファント・ウィスパラー: 聖なる象との絆』
短編アニメ映画賞:『ぼく モグラ キツネ 馬』
短編実写映画賞:『アン・アイリッシュ・グッドバイ(原題)』

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