世界を震撼させた伝説の北欧ホラーシリーズ最新作『キングダム エクソダス〈脱出〉』がいよいよ本日7月28日(金)より公開。公開を記念して、画家・絵本作家のヒグチユウコが描き下ろしたイラストをグラフィックデザイナー・大島依提亜がデザインした、日本版のオルタナティブポスターが公開された。
カンヌ・パルムドール受賞など輝かしい受賞歴を誇り、観る者を挑発する作風で圧倒してきたラース・フォン・トリアー。その中でも、90年代に制作されたドラマシリーズ「キングダム」はデンマーク最高視聴率50%越えを記録し、社会現象を巻き起こした伝説の作品。そして四半世紀の時を超えて最新作『キングダム エクソダス〈脱出〉』が全編5時間超の「映画作品」として第79回ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映を果たし、遂に日本で待望の劇場公開。
今回解禁されたオルタナティブ・ポスタービジュアルには、ウド・キア演じるビッグブラザーが自身の涙で溺れているシーンや、デンマーク人の危機には目を覚まして戦うといわれる英雄「ホルガー・ダンスク」の像、そして本作のカギとなる謎の心臓が描かれている。
また公開にあわせて、昨年ヴェネチア映画祭で本作がワールドプレミアを飾った際に、ラース・フォン・トリアー監督が受けたインタビュー取材の一部を紹介。2022年にフォン・トリアー監督(当時66歳)がパーキンソン病と診断されたニュースが世界を駆け巡ったことから、多くのファンが監督の体調を心配した。パーキンソン病は、脳の異常のために体の動きに障害があらわれる病気で、一般的に震えが出たり、動作が遅くなる、小さくなるなどの症状がある。そんな最中、フォン・トリアー監督はヴェネチア国際映画祭の『キングダム エクソダス〈脱出〉』プレミア上映にオンライン出演で登壇し、診断後、初めて国際的な舞台に立った。
記者たちの関心は、やはりパーキンソン病が映画制作に与える影響についてだった。質問に対して監督は「撮影が始まったときは、パーキンソン病を患っていたとは知らなかった。でも、撮影が進むにあたって症状が出始め、特に震えは非常に不快だった。でも、これはよくある病気で、死ぬほどではないけれど、死ぬまで付き合っていかなければならない。もっと仕事をして調整していくうちに、病気の影響が少なくなっていくことを期待しているよ。私にとっては、病気を公にすることで気を落ち着かせることができた。自分勝手だと言われるかもしれないが、私はいつも、ありのままの姿を共有することにメリットを感じているからね」と語った。
この病によって映画を作ることができなくなることはないでしょうか?という問いには、「もし映画を作れなくなる、なんて言い出したら、自分でも自分のことをヒステリックだと思うね。もちろん、この病気がどれだけ脳にダメージを与えているのかは問題で、自分の脳がどれだけ食われているかが気になるところです。もしかしたら(私の映画は)今よりさらにつまらなくなってしまうかもしれない…それはまた次回作でお会いしたときにでも確認しましょう」とユーモアを交えて応えた。
Variety誌によると、フォン・トリアー監督は、新しい生活に専念するためにしばらくは監督業を休む予定だ。しかし、映画制作から永久に引退するつもりはないと明言している。なぜ今『キングダム』を復活させたのか?という質問に対しては、「このところ人生であまり良くない時期を過ごしていたから、『キングダム』の続編が一番手をつけやすいと思えたからだ」と述べ、同時に、あえて新作を前2シーズンと完璧につなげようとはしなかった事を明かした。「腰を据えて旧作を見直したわけではないんだ。古いものからのしがらみを取り払おうとして、キャラクターのことだけを考えていた。現代的なものをやろうとは思っていなかったし、ただ単に前作を復活させようとしたわけでもない。脚本を書いているときは、純粋な喜びがあった。なぜかユーモアがいとも簡単に出てきたんだ。私は3部作を2本しか完成させない名人だったから、『キングダム』では、少なくとも最後までやり遂げようと思ったんだ」と語り、「デヴィッド・リンチと比較すると、彼は確かに『ツイン・ピークス』に明確な終わりを持たせなかったが、実は私はずっとこの『キングダム』の結末は頭にあったんだ。ただ、主要人物ふたりの俳優が亡くなってしまった(※ヘルマー医師を演じたエルンスト・フーゴ・イエアゴーは1998年に逝去、ドルッセ夫人役のキルステン・ロルフェスも2000年に亡くなった)。でも、何らかの結末を与える義務があると感じたんだ」と続けた。
『キングダム エクソダス〈脱出〉』は7月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて全国公開。
キングダム エクソダス〈脱出〉
2023年7月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて全国公開
(※『キングダム』Ⅰ&Ⅱのデジタル修復版も一挙公開)
STORY
夢遊病者のカレンは、助けを呼ぶ謎の声を夢に見てキングダムにたどり着き、カレンは病院に憑く呪いを解くために、病院の用務係のブルザー、心臓外科医のユディットと手を組むが、悪魔の力に反撃されてしまう。一方、キングダムに赴任してきて間もないスウェーデン人医師のヘルマー・ジュニアは、亡くなった父スティグ・ヘルマーの秘密を探り始めるが…。
監督:ラース・フォン・トリアー 出演:ボディル・ヨルゲンセン、ミカエル・パーシュブラント、ラース・ミケルセン、ニコラス・ブロ、アレクサンダー・スカルスガルド、ウド・キア
2022年/デンマーク/デンマーク語、スウェーデン語、ラテン語/319分/カラー/1:1.78/5.1ch/原題:Riget Exodus/英題:The Kingdom Exodus/字幕翻訳:安本熙生
配給:シンカ/提供:シンカ、TCエンタテインメント
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