イギリス発、異端のデザイナーが「世界を変える」までの情熱に満ちた等⾝⼤ドリームストーリー『ファッション・リイマジン』が9⽉22⽇(⾦)より全国公開されることを記念して、⽂化学園とコラボした特別試写会&トークショー(観客は⽂化学園の学⽣対象)が9⽉14⽇(⽊)に実施され、デザイナー・アーティストの篠原ともえ、WWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクターの向千鶴が登壇した。
イギリスのブランド「Mother of Pearl」のデザイナー、エイミー・パウニー。彼女は2017年4月、VOGUEの新人賞を受賞し、10万ポンドの賞金を得て、自分の生き方のルーツにつながるサステナブルなライン「No Frills」を立ち上げる。「No Frills」は、ロンドン・ファッション・ウィーク唯一のサステナブルブランドとして大注目を浴び、ファッション業界は一気に変革。 その注目はマスコミだけに留まらず、当時皇太子だったチャールズ英国王が企画した「キャンペーン・フォー・ウール」10周年記念スカーフのデザインを依頼されるほど。しかし、そのコレクションデビューの裏には、発表まで18ヶ月というタイムリミットの中、理想の素材を求めて、地球の裏側まで旅することになったエイミーとチームの、たくさんの出会いと挑戦の物語があった――。本作は、“旅する”デザイナーと仲間たちによる、驚きと発見に満ちたファッション・ロードムービー。
この日のイベントゲストとして登場したのは、⽂化⼥⼦⼤学短期⼤学部(現・文化学園大学)の卒業⽣で、⽪をアップサイクルしたきもの作品「THE LEATHER SCRAP KIMONO」で第101回ニューヨーク ADC 賞「The ADC Annual Awards」にて銀賞・銅賞を受賞したデザイナー・アーティストの篠原ともえとWWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクターの向千鶴。
⽂化学園⼤学と近畿⼤学が共同研究している再⽣可能エネルギー「Ethical Zamp(エシカルザンプ®)」のワークショップを学⽣とともに体験、その後、試写会前に映画から考える地球と共存するファッションと、グローバルな視点から⾒るファッション業界のサステナビリティについて語るトークイベントが開催された。
新しく服飾をつくる際には、どうしても端切れや仮縫いなどの残布が出てしまう。そこで⽂化学園⼤学での実習では、近畿⼤学バイオコークス研究所が提案する次世代バイオ技術のシステムを導⼊。「残布を固めて、再固形化することによって、ゼロ・エミッションの循環型社会を実現する」としている。そして実際にその工程を体験した篠原は「すごい!」と感⼼することしきり。最後には学⽣から、循環型素材からつくられたイヤリングをプレゼントされ「かわいい!かわいいじゃないですか」と⼤喜びし、「今度はイヤリングをつくりに⺟校に帰ります」と笑顔を⾒せ「これからもたくさんいろんなものをつくってください!」とメッセージを送った。
その後は会場をホールに移動し、同学の学⽣を対象にした試写会を実施。映画上映前にステージに登壇した篠原は「⺟校です!」と笑顔を⾒せると、「現在はデザイナーのお仕事をさせていただいております。皆さんと同じようにここでデザイナーを夢⾒ていて。課題をやったり、作品をつくったりして。こうして夢が叶って、今があります」とあいさつ。
映画をすでに鑑賞済みの篠原は、「とにかくデザイナーのエイミーが徹底しているんですよね。徹底した信念を貫き通すことで、ファッション業界だけでなく、社会も変わっていくのが、ドキュメンタリーとして収められていて。痛快だったシーンもあったし、⾃分でも、これからどういうクリエーティブをしていこうかと、⾃分に向き合う時間をいただいたような気がします」とコメント。
向も「まるでロードムービーを観ているような、終わった後に、気持ちが良くなる映画だなと思いました。それは先ほど篠原さんがおっしゃっていただいたように、彼⼥が真実を追究することで⽣まれるものじゃないかなと思います」とコメント。
そして「エイミーが⾃分のルーツをたどるシーンがあるんですけど、それってアーティストとして共感できるなと思ったんです」と続けた篠原。「エイミーは⾃然の中で育っているから、⾃分の作品にもルーツが映し出される。わたしも出⾝地が(東京の)⻘梅なんで。⾃分の中のルーツに、いつも⾃然があった。作品にも⾃分の⼈⽣がかもし出されているところがあるのかもしれない」と振り返る。
向も「やはりアーティストがゼロから何かを⽣み出す時は、ルーツというのが絶対に重要なもの。であると同時に、ものをつくるときの素材のルーツ。そのふたつを垣間⾒ることができる映画だったなということを、篠原さんのお話を聞いていて思いました」と深くうなずいた。
篠原がサステナビリティに関⼼を持つようになったのは、つい最近のことだったそう。「でも向さんは早くから関⼼を寄せていましたし、エイミーも早かったですよね」と語る篠原。篠原からの⾔葉を踏まえて“ファッション業界がサステナビリティに向き合うようになったのは2010年代後半くらいのこと”だと解説した向は、「でもエイミーは2017年くらいからすでに提唱していたので、少し早かった。もしかしたらまわりからは“変わり者”だと思われていたのかもしれませんね。でもみんながやっていることでなく、みんながやっていないことをやろう、というクリエイターとしての想いもあったと思う」と述べる。
すると「わたしは今⽇、向さんとお話しできるのはすごく意味のある時間だなと思っていて。先ほどサステナビリティというのが出てきたのが2010年代後半ごろだとおっしゃっていましたけど、まさにそうしたアクションをすることに背中を押してくれたのが、向さんだったんですよ。わたし⾃⾝がファッションデザインで、⾃分らしいものづくりを進めていこうと思ったタイミングだった2019年の11⽉号に向さんがコラムを書いていたのを読んだんですよ。そのタイトルが『サステナビリティこそクリエイティブだ』というもので。それってどういうことなんだろう、と思ったんです」と語ると、向も「篠原さんみたいな⽅に記事を覚えていただけるなんて。幸せです!」と笑顔。
「それまで和物が好きとか、ざっくりとしたものはあったんですけど、どこを⽬指していいか分からなかったんです。その時に、『サステナビリティこそクリエイティブだ』という⾔葉に出会って。できないことや、困難なことに向き合っても、好奇⼼をもって楽しそうに向き合っている⽅たちの姿を取材した向さんが『SDGsの未来は明るいと思った』と書いていたのを⾒て、わたしも課題があったとしても、ワクワクするようなデザイナーになりたいなと思ったんです。それは“できないから⾃分の好きなものだけをつくる”というデザイナーではなく、挑戦するデザイナーになりたいなと、そのコラムを⾒て思ったんです」と明かした篠原。そこから⾃分の作⾵も変わっていったという。
⽪をアップサイクルしたきもの作品「THE LEATHER SCRAP KIMONO」で第101回ニューヨークADC賞「The ADC Annual Awards」にて銀賞・銅賞を受賞という快挙を成し遂げた篠原。向も「篠原さんへの受賞に対してのコメントが沢⼭上がっていたんですが、本当にポジティブで。まるで⾃分事のように喜んでいた⼈たちが多かったです。クリエイターが⽇本をひとつの題材として世界に評価されたということで、こんなにポジティブなコメントがあるのか、と思いました」と感激した様⼦を⾒せ、「だから皆さんにお伝えしたいのは、クリエイターというのは、⾃分のルーツをもとにメッセージを伝えることなんですけど、それが⼈に勇気を与えることがあるんだよ、ということ」と呼びかけた。
「エイミーもそうですし、わたしもルーツがあるから、今の創作があると思う。だからこの映画を観て、皆さんもそれを探してもらいたいなと思います」と呼びかけた篠原。「⽂化学園というのは、⾃分たちの爆発的なアイデアを受け⽌めてくれる懐の深い学校だと思うので、ぜひ皆さんも怖がらずに、クリエイティブを放っていただきたいなと思います」と後輩たちにメッセージを送った。
『ファッション・リイマジン』は9月22日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。
ファッション・リイマジン
2023年9月22日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
出演:エイミー・パウニー(Mother of Pearlデザイナー)、クロエ・マークス、ペドロ・オテギ
監督:ベッキー・ハトナー
2022年/イギリス/英語/カラー/ビスタ/100分/日本語字幕:古田由紀子/原題:Fashion Reimagined
配給:フラッグ 宣伝:フラニー&Co. 映倫区分:G
©2022 Fashion Reimagined Ltd
公式サイト Fashion-Reimagine.jp
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