「映像の詩人」と呼ばれる巨匠アンドレイ・タルコフスキー監督の特集上映「タルコフスキー、精神・物質・官能」が6月26日(土)より渋谷ユーロスペースにて開催決定。あわせてポスタービジュアル、予告編も公開された。

上映予定作品は、遺作となった『サクリファイス』をはじめ、『ローラーとバイオリン』『僕の村は戦場だった デジタル・リマスター版』『アンドレイ・ルブリョフ』『惑星ソラリス デジタル・リマスター版』『鏡』『ストーカー』の全7本。開催にあわせて沼野充義(ロシア東欧文学者)、須藤健太郎(映画批評家)によるトークイベントも予定されている。
アンドレイ・タルコフスキー
Andrei Arsenyevich Tarkovsky 1932年4月4日-1986年12月29日
長編監督作は 7 本と寡作だが、水、雨、光など自然を駆使した抒情的な作風により映像の詩人と呼ばれ、世界中に映画ファンを獲得し、どの作品も長く見られ続けている傑作揃い。ソ連からフランスに亡命して僅か 2 年後の 1986 年、54 才で肺ガンによりパリで客死。
◆サクリファイス
1986年/カラー/149分
1986 年カンヌ国際映画祭審査員特別賞/最優秀芸術貢献賞/国際映画批評家連盟賞/エキュメニック賞
タルコフスキーの遺作。誕生日に木を植えるのを習慣にしているアレクサンデルは、枯木に水をやり続けて、遂に蘇らせた僧の伝説を話す。同じ日、核戦争が勃発…。抑制されたセリフ、美しい自然の中で展開する物語は人々の心を打ち、カンヌで絶賛され史上初の四冠に輝いた。
◆ローラーとバイオリン
1960年/カラー/46分 1961年ニューヨーク国際学生映画コンクール第一位
バイオリンが得意な少年サーシャは、近所の少年たちにいじめられているところを、労働者のセルゲイに助けられる。しかしサーシャの母親は快く思っていなかった。アルベール・ラモリスの『赤い風船』に刺激された作品とのことである。
◆僕の村は戦場だった デジタル・リマスター版
1962年/モノクロ/94分
1962 年ヴェネツィア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞/1962 年サンフランシスコ国際映画祭監督賞
第二次世界大戦下のソビエト。両親と妹をドイツ軍に殺され独りぼっちになり、復讐心に燃える 12 才の少年イワンは、パルチザンに協力し、危険をおかして敵の占領地域への偵察活動に従事するが…。
◆アンドレイ・ルブリョフ
1967年/モノクロ&カラー/182分
1969 年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞/1973 年ジュシー賞(フィンランド)外国語映画賞 他多数
15 世紀初頭。ロシア最高のイコン画家アンドレイ・ルブリョフの生涯を描きながら、当時のロシア社会の真実に迫った意欲作。
◆惑星ソラリス デジタル・リマスター版
1972年/モノクロ&カラー/165分
原作:スタニスワフ・レム著「ソラリスの陽のもとに」 1972 年カンヌ国際映画祭審査員特別賞 他多数
海と雲に覆われ、生物が確認されていない惑星ソラリスの海は理性を持つと科学者は考え、海と接触しようと試みるが失敗。宇宙ステーションは混乱に陥り、地上との交信は途切れる…極限状態の人間の心に焦点を当て、哲学的命題を観客に投げかける。
◆鏡
1975年/カラー/110分
タルコフスキーの自伝的要素の濃い作品。家族の許から去った父。母の職場の同僚の死。第二次世界大戦、文化大革命、中ソ国境紛争など、激動の世界情勢を通し心象風景が形づくられる。母の場面に流れるのは、タルコフスキー自らが詠む実父アルセニー・タルコフスキーの詩である。
◆ストーカー
1979年/カラー/163分
原作:ストルガツキー兄弟「路傍のピクニック」1980 年カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞/1983 年ファンタスポルト映画祭観客審査員賞
隕石でも落ちたのか大地に突然現れた空間(ゾーン)には<願掛けの部屋>がある…作家と科学者は<ストーカー>と呼ばれる案内人に導かれ、危険なゾーンへと向かった。
タルコフスキー、精神・物質・官能
6月26日(土)~7月9日(金)渋谷ユーロスペースにて開催
配給:パンドラ+マグネット・コミュニケーションズ