現在、ユーロスペースほか全国の劇場にて大ヒット上映中のアキ・カウリスマキ監督最新作『枯れ葉』の大ヒット御礼舞台挨拶が1月15日(月)に行われ、本作に出演&歌唱を披露しているフィンランドの人気シンセ・ポップ・デュオ「マウステテュトット」がリモート登壇した。
アキ・カウリスマキ監督最新作にして復帰作となる『枯れ葉』は、孤独を抱えながら生きる女と男が、人生で最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする心優しいラブストーリー。2023年カンヌ国際映画祭 審査員賞、2023年国際批評家連盟の年間グランプリに見事輝き、第96回アカデミー賞®国際長編映画賞のショートリストにも選出された。また本国フィンランドでは、動員25万人を超え(フィンランドの人口は約550万人)、カウリスマキ最大のヒット作『過去のない男』を超える動員数を記録し、フィンランドのみならずフランスやドイツ、そして日本でも満席続出の大ヒットを記録、各国で快進撃を続けている。
今回の大ヒット御礼イベントにオンライン登壇したのは、姉妹デュオ「マウステテュトット」のアンナ・カルヤライネン(ギター担当)とカイサ・カルヤライネン(キーボード担当)。劇中同様、クールな雰囲気で「アンナです」、「カイサです」と言葉少なめに挨拶をした後、観客から寄せられた質問に答えた。
カウリスマキ監督作品への出演について、妹のカイサは「アキ・カウリスマキ監督に会えるっていうだけで感無量でした。子どもの時からカウリスマキ監督のファンで、彼はアイドルのような存在だったので、とても緊張しました」と、はにかみながら回答。
撮影時の思い出を尋ねられると、姉のアンナは「撮影は1日だけ。同じバーで他のいろんなシーンを撮っている様子も見学させてもらいました。カウリスマキ監督からは、特に何も指示はなく、いつも通り演奏してくれとだけ言われました。全部で3回ほど角度を変えて撮影したと思います」と振り返った。
クールな二人の演奏姿は普段からのスタイル。「カウリスマキ監督は私たちの演奏スタイルも知っていたので、それを気に入ってくれたんだと思います」とアンナは答えた。
一度聴いたら頭から離れない、思わず口ずさんでしまうと話題の劇中歌「悲しみに生まれ、失望を身にまとう」について尋ねられると、カイサは「以前に出したアルバムに収録されていた曲をカウリスマキ監督が選んだんです」と嬉しそうに話し、アンナは「映画の為に(カウリスマキ監督の映画館があるフィンランドの)カルキラのスタジオでライブバージョンとして新たに録音し直しました」と教えてくれた。
作曲は二人で、作詞はカイサが担当している。マウステテュトットの楽曲の歌詞はすべてフィンランド語で構成されているそうで、カイサは「自分の言いたいことは母国語であるフィンランド語で表現するのが一番。母国語以外での作詞は難しいです」と明かす。メランコリックな曲調、歌詞が映画『枯れ葉』の雰囲気にピッタリとの声に、カイサは「作曲はアンナです。先に曲があって、ふとした時に歌詞が出てきたという感じです」と明かした。
『枯れ葉』の中で好きなシーンについて質問された二人は、「アンサがホラッパに“あなたは好きだけど、酒飲みは嫌だ”というシーン」と答え、カイサは「何度観ても涙が出る」と感慨深げな表情を見せた。また、アンナは「犬の出てくるシーンも好きです。これまでにも多くのカウリスマキ監督作品に犬が登場してきましたが、今作ではアンサが犬に対して感情を出しているのが特に印象的でした」とお気に入りのシーンを挙げた。
好きなキャラクターについても「アンサです!」と二人は同じ回答を。アンナは、「新しい世代のキャラクターだと思います。今までのカウリスマキ監督の作品にはいなかった、どこか温かな眼差し、表情がアンサにはあります」と主人公の人物像について自身の見解を語った。
最後に、今後、日本でのライブ活動などを考えているのか?との質問に「日本でライブできたら素晴らしいと思うけど、招聘してくださる方がいないと…。是非、行ってみたいです!」とアンナが笑顔を見せ、舞台挨拶は幕を閉じた。
『枯れ葉』はユーロスペースほか大ヒット上映中。
マウステテュトット MAUSTETYTÖT
フィンランドのヴァーラ出身、ヘルシンキ在住のアンナ・カルヤライネン(ギター)とカイサ・カルヤライネン(キーボード)姉妹からなるポップ・デュオ。バンド名 MAUSTETYTÖT はフィンランド語で「スパイス・ガールズ」の意味を持つ。2019 年 2 月にリリースしたファースト・シングル「Tein kai lottorivini väärin (宝くじを外した気がする)」が 1 か月でYouTubeの再生数 219,000 回、Spotify の再生数 245,000 回を記録し話題になる。翌 10 月にファースト・アルバム「Kaikki tiet vievät Peltolaan(すべての道はペルトラへ続く)」を発表。2020 年に発表したセカンド・アルバム「Eivät enkelitkään ilman ssipiä lennä(翼がなければ天使も飛べない)」はフィンランドのチャートで第2位を記録。同年、フィンランドのグラミー賞といわれるエンマ・ガーラでロック・オブ・ザ・イヤー、バンド・オブ・ザ・イヤーの2冠に輝いた。2023 年 3 月に 3 枚目のアルバム「Maailman onnellisin kansa (世界で最も幸せな国民)」をリリースした。
枯れ葉
2023年12月15日(金)よりユーロスペースほか全国ロードショー
STORY
北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのだろうか…?
監督・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:アルマ・ポウスティ(『TOVE/トーベ』)、ユッシ・ヴァタネン(『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』)
ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ
2023年/フィンランド・ドイツ/81分/1.85:1/ドルビー・デジタル5.1ch/DCP/フィンランド語/原題『KUOLLEET LEHDET』/英語題『FALLEN LEAVES』
配給:ユーロスペース 提供:ユーロスペース、キングレコード
© Sputnik
Photo: Malla Hukkanen
公式サイト kareha-movie.com
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