10月27日(月)~11月5日(水)に開催される「第38回東京国際映画祭」の映画祭予告編が解禁された。本日9月19日(金)より都内近郊の各劇場で上映が開始される。また今年のクロージング作品は数々の映画祭で受賞している世界的監督クロエ・ジャオ最新作『ハムネット』に決定した。
今回の約60秒の予告には、オープニング作品の『てっぺんの向こうにあなたがいる』とセンターピース作品『TOKYOタクシー』の他に、世界の国際映画祭で注目された話題作や邦画大作の最新作などを上映する「ガラ・セレクション」部門の計14本の映像が含まれている。
今年のクロージング作品は、アカデミー賞®受賞監督クロエ・ジャオの最新作『ハムネット』。本作は、シェイクスピアの不朽の名作「ハムレット」が生まれるきっかけを描いた、夫婦の愛と喪失を紡ぐ魂を揺さぶる物語。監督は『ノマドランド』でアカデミー賞®を受賞したクロエ・ジャオ。本作は彼女にとって5本目の長編劇場作品にあたり、原作は世界的ベストセラー小説となったマギー・オファレルの「ハムネット」。主演にはジェシー・バックリー、ポール・メスカルを迎え、名優たちが夫婦の愛と苦悩を圧倒的な存在感で表現しており、先のトロント国際映画祭で観客賞を受賞。クロエ・ジャオ監督は、本年度の「黒澤明賞」を受賞することが決定しており、その栄誉とともに披露される本作が、映画祭の終幕を飾る。

©2025 FOCUS FEATURES LLC
東京国際映画祭プログラミング・ディレクター市山尚三は「『ハムネット』は、歴史上の人物を主人公としつつ、現代の誰もが共感できる愛と喪失を女性の視点から力強く描いたという点で、今年の世界の映画の中でも屈指の1本と言うべき作品です。今年の映画祭のクロージングを飾るにふさわしい傑作です。」とコメントしている。
また、今回の予告編では、都内在住の14歳(中学生)の女性シンガーソングライター「o.j.o」による楽曲「Blam!」が“第38回東京国際映画祭フェスティバルソング”として使われている。昨年9月には「THE FIRST TAKE」史上最年少で「FLASH THE FIRST TAKE」への出演を果たし、「令和のビリーアイリッシュ?!」と話題になり、作詞・作曲・編曲に加え、振付も自身でおこなうというその才能に注目が集まっている。新たな才能の育成にも力を入れている東京国際映画祭の目指す方向とも合致していることから今回白羽の矢が立った。世界中の映画の映像と相まった音風景が今年の映画祭への期待感を煽る。
9月26日(金)から都内近郊の映画館で掲出される今年の映画祭のポスターも完成。昨年まではコシノジュンコによるデザインで、今年から『万引き家族』(2018)や『ルックバック』(2024)など様々な映画ポスターのデザインを手掛けてきた大島依提亜が手掛ける。

今回、大島が映画祭のポスターを作るにあたっては、映画に誠実なものを作りたいとの思いから、日本映画の最前線で活躍している監督と一緒に架空の映画のポスターを作るような形で作っていきたいということで、オファーしたのが、『愛がなんだ』(2019)、『街の上で』(2021)、『からかい上手の高木さん』(2024)など話題作を連発している今泉力哉監督。
その企画意図に快く賛同した今泉監督は都内のカフェを舞台に「まなざすこと」「誰かが誰かを見つめること」をテーマとした脚本を書き下ろし、その物語を軸に撮影に臨んだ。先輩、後輩の関係性である二人の女性が、今の時代について、また、身近な恋愛の話から戦争や政治についての会話をシームレスにする。そんなどこにでもある“日常の瞬間”を生み出し、その様子を撮影した写真を動的/物語性が感じられるようなデザインにしたのが今回のポスター。二人の女性を演じたのは『SHOGUN 将軍』(2024)にも出演し注目株の俳優・穂志もえかとGANG PARADEというアイドルグループで活躍しているキャ・ノン。穂志が先輩を、キャ・ノンがもしかしたら先輩に仄かな想いを抱く後輩を演じた。
映画祭の公式YouTubeでは、ポスター撮影時に今泉監督と大島が今回のポスターに込めた思いを語るメイキング映像を見ることができる。
また、今回の予告編では今年東京国際映画祭が販売するオリジナルグッズも紹介されている。昨年に続き、廃棄されるスクリーンを使って様々なアイテムを作っている東京テアトル株式会社による話題のブランド【SCRE:EN】とのコラボレーションに加え、株式会社デイトナ・インターナショナルが運営するセレクトショップ「FREAK’S STORE(フリークス ストア)」が監修した【TIFF × SCRE:ENオリジナルグッズ】が販売される。6月に一般募集し、その中から選ばれた映画のセリフ入りブックマーク(しおり)を販売。セリフは『キッズ・リターン』(1996)、『ワンダー 君は太陽』(2018)、『犬王』(2022)、『PERFECT DAYS』(2023)、『夜明けのすべて』(2024)、『正体』(2024)の6種となり、10月15日(水)から東京国際映画祭のグッズ販売サイトにて販売を開始し、映画祭会期中の会場でも一部販売予定。

今泉力哉監督コメント
今回、大島さんからお話をいただき、新たな東京国際映画祭のポスターをつくるにあたり、映画の原初的なこと=「まなざすこと」「誰かが誰かを見つめること」を通じてなにかを表現できればと思いました。一番ミニマムな構成要素である、人間とカフェ(場所)、そして、まなざし。それらを『愛がなんだ』『街の上で』のビジュアルでもご一緒した写真家の木村和平さんと、大島さんとともに構築していきました。世界や社会が不安定な時代に、映画や映画祭が持つ意味について。また、映画祭のひとつの顔であるポスターが持つ意味について。国籍、人種、性別、年齢、さまざまなボーダー、なきものにされる存在や心の隅に追いやられる感情に想いを寄せて、多くの人が東京国際映画祭に興味を持つきっかけになってくれたら幸いです。
第38回東京国際映画祭 オープニング&センターピース&クロージング作品
ガラ・セレクション部門・アニメーション部門作品一覧

※英題のアルファベット順 ※『Sirāt(原題)』『風林火山』の映像は予告編には入っていません
ガラ・セレクション部門作品紹介
ブルーボーイ事件 監督:飯塚花笑 中川未悠、前原 滉、錦戸 亮 (日本/配給:日活/KDDI)
この事件の裁判では、ある人間の“幸せか不幸か”が争点となり延々と議論された。そんな裁判は後にも先にも存在しない。これは事実に基づく物語。
兄を持ち運べるサイズに 監督:中野量太 柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり (日本/フランス/中国/配給:カルチュア・パブリッシャーズ)
きっと誰もが“家族”を想う、実話をもとに描かれた家族たちのてんてこまいな4日間。『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)、『浅田家!』(20)の中野量太監督最新作。
君の顔では泣けない 監督:坂下雄一郎 芳根京子、髙橋海人、西川愛莉 (日本/配給:ハピネットファントム・スタジオ)
芳根京子×髙橋海人初共演! 15歳から30歳。15年の月日におよぶ、切なすぎる新たな“男女入れ替わり”。彼らが選ぶ未来に、あなたもきっと涙する――。
エディントンへようこそ 監督:アリ・アスター ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン (アメリカ/配給:ハピネットファントム・スタジオ)
アリ・アスター監督×超豪華キャスト。コロナ禍の小さな町の選挙戦が、暴力、陰謀論、SNSの暴走で大事件に発展。すべてを焼き尽くす“炎上スリラー” 。
悪魔祓い株式会社 監督:イム・デヒ マ・ドンソク、ソヒョン(少女時代) (韓国/配給:ギャガ)
マ・ドンソク、今度は“悪魔”と拳で激突! 悪魔崇拝により混沌化する街で、強靭な肉体と力を持つバウ率いる悪魔祓い株式会社「ホーリーナイト」が立ち上がる。
恋愛裁判 監督:深田晃司 齊藤京子、倉 悠貴 (日本/配給:東宝)
アイドルが恋をすることは罪なのか? 実際の裁判から生まれた「心」を縛るルールに迫る物語。深田晃司監督最新作。主演は元・日向坂46の齊藤京子。
ナイトフラワー 監督:内田英治 北川景子、森田望智、佐久間大介(Snow Man) (日本/配給:松竹)
昼、母親。夜、ドラッグの売人。幸せを求めて暴走する、感涙のヒューマンサスペンス。『ミッドナイトスワン』内田英治監督×北川景子。世界最速上映。
栄光のバックホーム 監督:秋山 純 松谷鷹也、鈴木京香、高橋克典 (日本/配給:ギャガ)
幻冬舎フィルム第一回作品。野球を愛し、野球に人生を賭けた男と支えた人々の28年の真実の物語、感動の映画化! 今を生きる全ての横田慎太郎に捧ぐ。
レンタル・ファミリー 監督:HIKARI ブレンダン・フレイザー、平 岳大、山本真理 (アメリカ/日本/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)
“仮”家族として役割を演じる中で見つけた生きる喜び。オスカー俳優ブレンダン・フレイザーとHIKARI監督が贈る、世界が初めて体験する感動作。
She Has No Name 監督:ピーター・チャン チャン・ツィイー、ライ・チァイン(中国)
1940年代の上海を舞台に、夫を殺害した容疑で収監された主婦が直面する苦難を描く。チャン・ツィイーがヒロインを熱演し、豪華スターたちが脇を固める。
Sirāt(原題) 監督:オリヴァー・ラクセ セルジ・ロペス、ブルーノ・ヌニェス、ステファニア・ガッダ(フランス/スペイン/配給:トランスフォーマー)
〈カンヌ映画祭4冠達成!〉 失踪した娘を探すため、父と息子は砂漠のレイブパーティに参加する…。絶対に予測のつかない衝撃の展開にカンヌが熱狂! 息を呑む傑作!
風林火山 監督:ジュノ・マック 金城 武、ラウ・チンワン、レオン・カーフェイ(中国/香港)
7年の製作期間を経て完成した話題作。麻薬密売組織と警察の抗争を壮大なスケールで描く。特に巨大なオープンセットで撮られた銅鑼湾の大殺戮シーンは圧倒的。
スプリングスティーン 孤独のハイウェイ 監督:スコット・クーパー ジェレミー・アレン・ホワイト、ジェレミー・ストロング、ポール・ウォルター・ハウザー (アメリカ/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)
ロックの英雄、ブルース・スプリングスティーンが孤独と重圧のなかで真の声を刻んだ若き日を描く音楽ドラマ。世界が「Born In The U.S.A.」に熱狂する前夜、彼に何が起きたのか?
第38回東京国際映画祭
開催概要
■開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト www.tiff-jp.net
TIFFCOM2025
開催概要
■開催期間:2025年10月29日(水)~10月31日(金)
公式サイト www.tiffcom.jp
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