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第77回カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)にノミネートされ、サンダンス映画祭でも高い評価を得た話題作『グッドワン』が2026年1月16日(金)より全国公開。このたび、主人公サムのさまざまな表情を切り取ったアザービジュアル6種と、映画監督・写真家・小説家・作家・批評家・俳優といった各界10名が寄せた、映画の多層的な魅力を浮かび上がらせるオピニオンコメントが解禁された。

17歳の少女サムは、父クリスと彼の旧友マットとともに、ニューヨーク州キャッツキル山地へ2泊3日のキャンプに出かける。几帳面で支配的な父、人生に行き詰まる友人、そして二人のあいだで静かに空気を読み続ける娘。穏やかな自然の中で繰り広げられるささやかな会話と沈黙の時間のなかで、サムは“大人の不完全さ”に気づき、自分の内に芽生える違和感と向き合っていく――。

今回コメントを寄せたのは、天野千尋(映画監督)、井樫彩(映画監督)、石田真澄(写真家)、大前粟生(小説家)、奥山由之(映画監督・写真家)、小原晩(作家)、金子由里奈(映画監督)、児玉美月(映画批評家)、藤﨑ゆみあ(俳優)、山中瑶子(映画監督)という多様な分野で活動する10名。本作に触れて感じ取った違和感や痛み、静かな衝撃を、それぞれの言葉で掬い取っている。

天野千尋(『佐藤さんと佐藤さん』)は、サムの声を静かにすくい取るカメラの在り方に触れ、「男たちが気に留めない彼女のこころを、カメラはつぶさに見つめていて、言葉にならぬほど小さな棘がわたしにも刺さった」とし、井樫彩(『愛されなくても別に』)は、親子でありながらも“個と個”である関係性について「家族だからといって全てわかり合えるわけではない。こうして大人になり、家族という枠組から脱却して自分という個を確立していくんだろう」と言葉を寄せている。

写真家として日常の中にひそむ感情の揺れを捉えてきた石田真澄は、視線や沈黙といった言葉にならないやり取りに目を向け、「人からの目線、誰かとの沈黙の時間、言葉を交わさずとも伝わり気づいてしまうことが散らばっている」とコメント。小説家の大前粟生はジェンダー差に触れながら、「ジェンダー差に潜む我慢と傲慢ーーこの傑作の穏やかさは、それらがいかに日常的なものであるかを僕らに静かに問いかけてくる」と本作が内包する問いかけを言葉にしている。

また、映画監督・写真家として活躍する奥山由之(『秒速5センチメートル』)は、自然音に包まれた映像の中に張り巡らされた緊張感や沈黙の響きに触れ、「あそこまで冷たく響く「沈黙」を僕はあまり耳にしたことがない。すごい映画です」とコメント。続いて、作家の小原晩は、「大人は、大人ではない」と綴りながら、その事実に気づいてしまう瞬間と、そこから先に進まざるを得ないサムの立場に目を向けていて、映画監督の金子由里奈(『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』)は、作品内で訪れる変化を「サムが「いい子」を降りたとき、石は味方になり、風はようやく声をかけてくる」という言葉で表現。

映画批評家の児玉美月は、日常の中で見過ごされがちな違和感に目を向けながら作品を読み解き「わたしたちに反旗を翻す勇気を与えてくれる」と言葉を寄せる。そして主人公のサムと同年代で、配信中のNetflixシリーズ「イクサガミ」でヒロインを務める俳優の藤﨑ゆみあは、大人の沈黙の影で子どもが感じ取っている繊細な感覚に触れ、「好きなものをたくさん抱えて歩み出すサムの表情を、いつか見てみたい」と物語の先に思いを巡らせた。そして、『グッドワン』も選出された第77回カンヌ国際映画祭・監督週間で受賞歴を持つ映画監督の山中瑶子(『ナミビアの砂漠』)は、少女に引き受けさせられてきた経験を「通過儀礼」と呼ぶ世界に対し、本作が「静かに、しかし明確に抗う」映画であると語っている。コメント全文・一覧は記事下にて。

あわせて解禁となるアザービジュアル6種は、物語の象徴的な瞬間や、サムの感情の揺らぎがにじむシーンを切り取ったデザインだ。言葉にされない戸惑いや迷いを抱えた表情、耳を澄ませながら何かを考えている姿などが、印象的なロゴとともに配されており、作品の余白を感じさせるビジュアルに仕上がっている。オピニオンコメントと並ぶことで、『グッドワン』が持つ多層的な読みの可能性を、より立体的に提示している。

コメント一覧(五十音順・敬称略)

男たちが聞かない彼女の声を、カメラが静かに聞いている。
男たちが気に留めない彼女のこころを、カメラはつぶさに見つめていて、
言葉にならぬほど小さな棘がわたしにも刺さった。
天野千尋(映画監督)

父とその友人とのキャンプの最中。
主人公の娘の感情がじわじわと変わっていく。
父と娘は確かに親子ではあるけれど、個と個だということをまざまざと感じさせる。親であって欲しい時に親でいてもらえないその瞬間は、身に覚えがある気がして胸がキュッとした。家族だからといって全てわかり合えるわけではない。こうして大人になり、家族という枠組から脱却して自分という個を確立していくんだろう。
井樫彩(映画監督)

人からの目線、誰かとの沈黙の時間、言葉を交わさずとも伝わり気づいてしまうことが散らばっている。
どんな大人よりも敏感に、静かに、周りを見ているサムの描かれ方が素晴らしかったです。
石田真澄(写真家)

17歳のサムは生理による不調を抱えながら、父とその友人と山へ登る。
ジェンダー差に潜む我慢と傲慢ーー
この傑作の穏やかさは、それらがいかに日常的なものであるかを僕らに静かに問いかけてくる。
大前粟生(小説家)

木々のこもれび、川のせせらぎ、鳥のさえずりの間を縫って、気づかぬうちに慎重に張られている緊張の糸。
誰もが知り得る静かな圧迫感と痛切な失望。
あそこまで冷たく響く「沈黙」を僕はあまり耳にしたことがない。すごい映画です。
奥山由之(映画監督・写真家)

大人は、大人ではない。そう気づくとき、受けとめなければならないとき、少女は大人になるらしい。
サムにはまだまだ少女でいてほしいような気がしたけれど、成長などというものは止めようがないから。
小原晩(作家)

森はやさしくない。山登りはたのしくない。
サムが「いい子」を降りたとき、石は味方になり、風はようやく声をかけてくる。帰り道はもう、運転しなくていい。
金子由里奈(映画監督)

仕方ないと諦めていたこと、当たり前だと見過ごしていたこと、大丈夫だと思い込んでいたこと。
『グッドワン』は日々の中でそうして蓋をしていた違和感を肯定し、わたしたちに反旗を翻す勇気を与えてくれる。
児玉美月(映画批評家)

大人の沈黙の影で、子どもがどれほど繊細に世界を感じ取っているのかを思い知らされ、胸が締め付けられた。
必要かどうかだけに縛られず、好きなものをたくさん抱えて歩み出すサムの表情を、いつか見てみたい。
藤﨑ゆみあ(俳優)

少女が無意識のうちに引き受けさせられる、男性たちの感情労働。
なにも起きなかったかのように振る舞われたとしても、取り消すことのできない何かが、彼女の内側に住み着く。
それを「通過儀礼」と呼ぶ世界に、『グッドワン』は静かに、しかし明確に抗う。
山中瑶子(映画監督)

まとめ(注目ポイント)

  • 『グッドワン』1月16日(金)より全国公開カンヌ国際映画祭カメラドールノミネートなど、国際的に高く評価された話題作がついに日本公開。
  • 各界著名人10名のオピニオンコメント到着藤﨑ゆみあ、奥山由之、山中瑶子ら多様な分野の表現者が、本作の多層的な魅力を言葉にした。
  • 「胸が締め付けられた」共感と絶賛の声少女が抱く違和感や「大人の不完全さ」を描く物語に、鋭い洞察と静かな衝撃を受けた声が並ぶ。
  • 主人公サムの表情を捉えた新ビジュアル解禁物語の象徴的な瞬間や、言葉にされない感情の揺らぎを切り取ったアザービジュアル6種が公開された。
作品情報

グッドワン
2025年1月16日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

STORY
17歳の少女サムは、父クリスと彼の旧友マットとともに、ニューヨーク州キャッツキル山地へ2泊3日のキャンプに出かける。二人の男たちは、旅路の間、長年のわだかまりをぶつけ合いながらも、ゆるやかにじゃれ合う。年齢以上に聡明なサムは、彼らの小競り合いに半ば呆れつつも、聞き役、世話役を全面的に引き受ける。しかし、男たちの行動によってサムの“大人への信頼”が裏切られたとき、サムと父は“親子の絆が揺らぐ瞬間”を迎えることになる。

監督・脚本:インディア・ドナルドソン
出演:リリー・コリアス ジェームズ・レグロス ダニー・マッカーシー

2024年/アメリカ/英語/89分/2.00:1/5.1ch/カラー/原題:Good One/日本語字幕:堀上香/提供:スターキャット/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム

©2024 Hey Bear LLC.

公式サイト https://cinema.starcat.co.jp/goodone/

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