本年度・第94回アカデミー賞にて、史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞3部門同時ノミネートの快挙を成し遂げた、デンマークほか合作によるドキュメンタリー映画『FLEE フリー』(6月10日公開)に濱口竜介監督ら各界著名人から共感が伝わる絶賛コメントが続々到着した。
本作は、いまや世界中で大きなニュースになっている難民やアフガニスタンを巡る恐ろしい現実、祖国から逃れて生き延びるために奮闘する人々の過酷な日々、そして、ゲイであるひとりの青年が自分の未来を救うために過去のトラウマと向き合う物語を描く。
主人公のアミンをはじめ周辺の人々の安全を守るためにアニメーションで制作された本作は、多くの観客に深い感動と衝撃を与え、昨年のサンダンス映画祭でワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門の最高賞であるグランプリを獲得、また、アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞するなど、ドキュメンタリー、アニメーションという表現の垣根を越えてジャンル横断的に高い評価を受けている。
6月10日(金)からの日本での映画を控え、いち早く鑑賞した各界で活躍する総勢20名から、主人公である青年の過去と現在、そして未来への覚悟が描かれた本作に対して、強い共感が伝わる絶賛コメントが続々と寄せられている。
多くの人達が難民として祖国を逃れざるをえない現在の社会状況と重ね合わせずにはいられない本作について、認定NPO法人Dialogue for People副代表/フォトジャーナリストの安田菜津紀は「故郷から切り離された人々の苦難は、雨風しのげる場所を見つければ終わるわけではない。」、「news23」メインキャスターの小川彩佳は「余りに過酷な歩みの先、彼が辿り着いた「場所」の温もりに涙が溢れた。」、ライターの武田砂鉄は「思うことしかできない後ろめたさを抱えながらも、思うことをやめたくない。」、LGBTユースの居場所にじーず代表の遠藤まめたは「「難民」という二文字の背景に、数えきれない人のかけがえのない時間があることに心が揺さぶられた。」など、強い共感のコメントが相次いだ。
本作は、アミンがデンマークに亡命を果たした直後の16歳の頃からの旧友だったラスムセン監督に対して、出会いから20年以上の時を経て初めて他人に打ち明ける過去を軸に、アニメーションで描かれたドキュメンタリーだ。そんな唯一無二のスタイルを持つ本作について、映画監督の濱口竜介は「柔らかなタッチのアニメーションは監督が主人公・アミンに対して抱く親しみを着実に観客と共有する、その最良の方法となっている。」、ゲームクリエイターの小島秀夫は「アニメとも実写ともドキュメンタリーとも違う難民たちの魂の記憶。」、アニメーション監督の富野由悠季は「ここまで酷いのかという現実は、アニメ主導の構成でなければ公開できなかっただろう。」などとコメントを寄せる。
そのほか、北丸雄二(ジャーナリスト・作家)、根本かおる(国連広報センター所長)、荻上チキ(評論家・ラジオパーソナリティ)、児玉美月(映画文筆家)、ピーター・バラカン(ブロードキャスター)、清水晶子(東京大学 教員)、ダースレイダー(ラッパー)、イシヅカユウ(女優、モデル)、望月優大(ライター)、山村浩二(アニメーション作家・絵本作家)、太田尚樹(LGBTエンタメサイト「やる気あり美」編集長)、ふくだももこ(映画監督)、とんこつたろう(ラジオパーソナリティ)からそれぞれの言葉で胸に迫るコメントが寄せられている。コメント全文・一覧は以下の通り。
『FLEE フリー』は6月10日(金)新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン 池袋他全国ロードショー。
『FLEE フリー』に寄せられた絶賛コメント一覧(順不同・敬称略)
柔らかなタッチのアニメーションは監督が主人公・アミンに対して抱く親しみを着実に観客と共有する、その最良の方法となっている。その人の生い立ちからセクシュアリティまでを知るうちに、理不尽への怒りと未来への祈りがないまぜになった感情を抱かずにはおれない。「今まさに見るべき映画」であることは間違いないが、それ以上に「他者を知ること」についての普遍的な作品でもある。
――濱口竜介(映画監督/『ドライブ・マイ・カー』)
故郷から切り離された人々の苦難は、雨風しのげる場所を見つければ終わるわけではない。その途方もなく長い道のりを照らすのが、この映画の力だ。
――安田菜津紀(認定NPO法人Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)
故郷を奪われたものたちはどう生きていけばいいのか?何処に向かえばいいのか?アニメとも実写ともドキュメンタリーとも違う難民たちの魂の記憶。本作は我々の胸を深く抉り、終わりのない“旅路”を共有する。今だからこそ観るべき、いつまでも胸に刻むべき映画。
――小島秀夫(ゲームクリエイター)
本作が示している現実は、人が構築してきた社会システムが宗教もふくめて、想像以上に人に過酷であるという事実をむき出しにしている。ここまで酷いのかという現実は、アニメ主導の構成でなければ公開できなかっただろう。
その意味で見るべき作品ではあり、知るべき現実である。
その意味でいえば、日本と言う国は楽園であると教えられる。
――富野由悠季(アニメーション監督)
余りに過酷な歩みの先、彼が辿り着いた「場所」の温もりに涙が溢れた。私もその「場所」の一部でありたい。
――小川彩佳(「news23」メインキャスター)
今日も暗闇の中で過ごしている人たちがいる。
思うことしかできない後ろめたさを抱えながらも、思うことをやめたくない。
――武田砂鉄(ライター)
「難民」という二文字の背景に、数えきれない人のかけがえのない時間があることに心が揺さぶられた。
――遠藤まめた(LGBTユースの居場所にじーず代表)
世界中の「アミン」や「アミナ」たちが悲鳴も上げられずに隠れている。
悲鳴を上げたら殺される。「逃げる」ことができるのは、それだけでも幸運な者たちなのだという、とんでもない不幸がこの世界にいまも現存している。
――北丸雄二(ジャーナリスト・作家)
故郷とアイデンティティを失ったアミンが自分を取り戻していく旅路。生きることの意味を私たちに問いかける。
――根本かおる(国連広報センター所長)
なんという境遇、なんという人生、なんという映像。この映画がさらにタイムリーになってしまった現実で、それでも人々の安全を願うために。
――荻上チキ(評論家・ラジオパーソナリティ)
語ること。それはきっと、ここにいる自分を救う。語り継ぐこと。それはきっと、どこかの誰かを救う。
語り合うこと。それはきっと、わたしとあなたをもう一度出逢い直させる。
――児玉美月(映画文筆家)
誰も好き好んで難民になる人はいません。想像を絶するほど悲惨なその体験は淡々と語られるからこそずしっと刺さります。
日本でも、「避難民」と言い換えずにもう少し受け入れることができないものでしょうか。
――ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
そこがアフガンであれロシアであれデンマークであれ、この映画では抑圧は常に国家暴力と関わり、同性への思慕は希望として機能する。
――清水晶子(東京大学 教員)
なぜ僕はここにいるのか? それは当たり前ではなく、幾つも可能性の瞬間の積み重ねだとアミンが教えてくれる。
――ダースレイダー(ラッパー)
「ずっといていい」故郷のある私にも、この映画について言えることがあるとすれば、アニメーションでも、だからこそ、恐ろしいほど伝わる重み、辛さを、どう抱えるか今悩んでいる。
――イシヅカユウ(女優、モデル)
アミンを追い詰めたのは母国の危険だけではない。
彼の孤独の意味を、彼がずっと語り出せなかった理由を、私たちは知る必要がある。
――望月優大(ライター)
国と家族の庇護を失った孤独に加え、クィアでもある主人公の声は、真摯で愛があり、忘れがたい。
――山村浩二(アニメーション作家・絵本作家)
誰かを想って苦しみ、誰かを想って救われる。愛の気高さを教えてくれる映画でした。
――太田尚樹(LGBTエンタメサイト「やる気あり美」編集長)
故郷を失う/奪われるということが、その人に何をもたらすかを、アミンは静かに語り出す。アニメーションでしか描けない現実を見せてくれる、唯一無二の映画。
――ふくだももこ(映画監督/『おいしい家族』)
「自分とは何者か—その真実を他者と分かち合う勇気と恐怖、希望を捉えた瞬間に涙が溢れる。愛は知に宿ることを裏付けていたから。」
――とんこつたろう(ラジオパーソナリティ)
FLEE フリー
2022年6月10日(金)新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン 池袋他全国ロードショー
STORY
アフガニスタンで生まれたアミンは、幼い頃、父が連行されたまま戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、彼は静かに語り始める…。
監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン 脚本:ヨナス・ポヘール・ラスムセン、アミン・ナワビ
製作プロダクション:Final Cut for Real『アクト・オブ・キリング』 製作総指揮:リズ・アーメッド、ニコライ・コスター=ワルドー
原題:Flugt 英題:FLEE 時間:89分 制作年:2021年 製作国:デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フランス合作 言語:デンマーク語、英語、ダリー語、ロシア語、スウェーデン語 レーティング:未定 日本語字幕:松浦美奈 後援:デンマーク大使館
配給:トランスフォーマー
© Final Cut for Real ApS, Sun Creature Studio, Vivement Lundi!, Mostfilm, Mer Film ARTE France, Copenhagen Film Fund, Ryot Films, Vice Studios, VPRO 2021 All rights reserved
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