では、1月4日(水)より、アカデミー賞で有名な米国映画芸術科学アカデミーの映画保存機関であるアカデミー・フィルム・アーカイブと共同で、企画上映「アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション」を開催する。
本特集は、23プログラム(35本)の上映を通じて同館のコレクションや近年の復元の成果などを紹介する企画。アカデミー賞受賞作はもちろん、同館が復元した日本未公開のアメリカのインディペンデント映画や、鑑賞機会の希少なキューバ映画やインド映画も上映する。
ヴィンセント・ミネリが監督し、パリのロケ撮影や豪華なセットが美しいアカデミー賞9部門受賞のミュージカル映画『恋の手ほどき』、ろうそくの火だけで撮影したシーンなどフィルムの質感を存分に楽しめるスタンリー・キューブリック監督作の『バリー・リンドン』といった名作をアカデミー・フィルム・アーカイブが近年作製した35mmフィルムで上映。
また、鉱山労働者たちの決死のストライキを記録して、アカデミー賞長篇ドキュメンタリー映画賞に輝いた日本未公開作品『アメリカ合衆国ハーラン郡』(バーバラ・コップル)も35mmフィルムで上映。いずれの作品も本企画限定の大変貴重な上映機会となる。
アカデミー・フィルム・アーカイブは、メジャースタジオの映画以外にも、様々なカルチャーを背景にもつ映画作品の保存・復元を手掛けている。レズビアンの映画作家として実験映画やドキュメンタリーを多く監督したバーバラ・ハマーの初期作品集、これまでアンディ・ウォーホルのミューズとして紹介されてきたトランスジェンダー女性のホリー・ウッドローン主演『きゅうり畑のかかし』(ロバート・J・カプラン)、黒人男性がゲイとしての自らの人生を語るドキュメンタリー『ジェイソンの肖像』(シャーリー・クラーク)、メキシコ系アメリカ人の英雄を描いた『グレゴリオ・コルテスのバラッド』(ロバート・M・ヤング)、デューク・エリントンが初めて映画出演した『ブラック・アンド・タン』(ダドリー・マーフィー)などを上映する。
また、インド映画『主人公』(サタジット・レイ)や、キューバ映画『悪魔と戦うキューバ人』(トマス・グティエレス・アレア)も、アカデミー・フィルム・アーカイブ作製の復元版で上映する。
さらに、アカデミー賞短篇ドキュメンタリー映画賞受賞『ザ・パーソナルズ 黄昏のロマンス』(伊比恵子)、短篇アニメーション映画賞受賞『つみきのいえ』(加藤久仁生)といった日本人監督の受賞作を上映。また、1935年に日本のトーキー技術の水準をアメリカに紹介する目的で製作された映画『日本の映画作り』も上映。『海國大日本』(阿部豊)など現存が初めて確認された日本映画の断片を含む『日本の映画作り』が、約90年ぶりに里帰りする。
上映作品(35作品、23プログラム)
- 『アンニー可愛や』(1925年、監督:ウィリアム・ボーディン、出演:メアリー・ピックフォード)
- 『ブラック・アンド・タン』(1929年、監督:ダドリー・マーフィー、出演:デューク・エリントン)
『草原のハーレム』(1937年、監督:サム・ニューフィールド、出演:ハーブ・ジェフェリーズ) - 『青空恋をのせて』(1932年、監督:トム・バッキンガム、出演:チェスター・モリス)
- 『日本の映画作り』(1935年)/『AFA所蔵ホームムービー集』
- 『街の野獣』[プレ・リリース版](1950年、監督:ジュールス・ダッシン、出演:リチャード・ウィドマーク)
- 『荒馬と女』(1961年、監督:ジョン・ヒューストン、出演:クラーク・ゲーブル)
- 『ナイト・タイド』(1961年、監督:カーティス・ハリントン、出演:デニス・ホッパー)
- 『主人公』(1966年、監督:ショットジット・ラエ(サタジット・レイ)、出演:ウットム・クマル)
- 『ジェイソンの肖像』(1967年、監督:シャーリー・クラーク、出演:ジェイソン・L・ホリデイ )
- 『きゅうり畑のかかし』(1972年、監督:ロバート・J・カプラン、出演:ホリー・ウッドローン)
- 『悪魔と戦うキューバ人』(1971年、監督:トマス・グティエレス・アレア、出演:ホセ・アントニオ・ロドリゲス)
- 《バーバラ・ハマー初期作品集》
『シスターズ!』(1973年)『月経』(1974年)『ジェーン・ブラッケージ』(1974年)『スーパーダイク』(1975年)『ダブル・ストレングス』(1978年)『オーディエンス』(1982年) - 『グレゴリオ・コルテスのバラッド』(1982年、監督:ロバート・M・ヤング、出演:エドワード・ジェームズ・オルモス)
- 『クイーン・オブ・ダイヤモンド』(1991年、監督:ニナ・メンケス、出演:ティンカ・メンケス)
- 『孔雀夫人』(1936年、監督:ウィリアム・ワイラー、出演:ウォルター・ヒューストン)
- 『羅生門』[デジタル復元版](1950年、監督:黒澤明、出演:三船敏郎、京マチ子、志村喬)
- 『恋の手ほどき』(1958年、監督:ヴィンセント・ミネリ、出演:レスリー・キャロン)
- 『バリー・リンドン』(1975年、監督:スタンリー・キューブリック、出演:ライアン・オニール)
- 『アメリカ合衆国ハーラン郡』(1976年、監督:バーバラ・コップル)
- 『ノーマ・レイ』(1979年、監督:マーティン・リット、出演:サリー・フィールド)
- 『狼男アメリカン』(1981年、監督:ジョン・ランディス、出演:デヴィッド・ノートン)
- 《アニメーション短篇集》
『キック・ミー』(1975年、監督:ロバート・スウァーズ)『ユア・フェイス』(1987年、監督:ビル・プリンプトン)『階段を降りるモナ・リザ』(1992年、監督:ジョアン・C・グラッツ)『ウォレスとグルミット、危機一髪!』(1995年、監督:ニック・パーク)『つみきのいえ』(2008年、監督:加藤久仁生) - 『ザ・パーソナルズ 黄昏のロマンス』(1998年、監督:伊比恵子)/『予備選挙』(1960年、製作:ロバート・ドリュー)
トークイベント
『アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション』では、上映後にトークイベントを開催する。
*『日本の映画作り』(1935年)/『AFA所蔵ホームムービー集』
対象回:1/28(土)16時の回、2/2(木)15時の回
登壇者:ジョセフ・リンドナー氏(アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画部長)
*『きゅうり畑のかかし』(1972年)
対象回:2/4(土)16時の回
登壇者:ハンク・アルパート氏(本作プロデューサー)
*《バーバラ・ハマー初期作品集》
対象回:1/7(土)16時の回
登壇者:菅野優香氏(同志社大学大学院准教授)
※トークイベントのみの参加はできません。チケット等の詳細はHPをご確認ください。
アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション
(英題:Film Treasures from the Academy Film Archive)
会期:2023年1月4日(水)-2月5日(日)
会場:国立映画アーカイブ 小ホール[地下1階]
主催:国立映画アーカイブ、アカデミー・フィルム・アーカイブ
HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/academy202212/
〈料金〉一般:1000円/高校・大学生・65歳以上:700円/小・中学生・障害者(付添者は原則1名まで)・国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズ・未就学児:500円
下記の場所で巡回上映
福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ 会期:2023年2月1日(水)-26日(日)
京都文化博物館フィルムシアター 会期:2023年2月18日(土)-3月1日(水)
*上映作品などの詳細は各館のHPで後日発表いたします。
この記事が気に入ったらフォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow WEEKEND CINEMA