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現在21歳の映像クリエイター、ケイン・パーソンズがA24とタッグを組んだ長編監督デビュー作で、世界48か国で初登場1位を記録するなど一大ムーブメントを巻き起こしている『バックルームズ』(公開中)。その日本公開を記念し、公開初日の9月4日(金)に舞台挨拶イベントが実施され、いま世界中から注目を集めるケイン・パーソンズ監督が登壇した。さらに、世界的ゲームクリエイターの小島秀夫がスペシャルゲストとして登壇し、世界を熱狂させる「創造力」について語り合った。

満員の観客を前に、ケイン監督は「僕は『バックルームズ』というアイデアに何年も取り組み、それが世界中に広まりました。これほど多くの人々に届いたのを見るのは、とても奇妙な感覚です。そして会場に足を運んでいただいた皆さんには感謝を伝えたいです」と挨拶。

初来日の感想を聞かれると、「テクノロジーとアートが融合する建築などの芸術文化が素晴らしく、これまで訪れた国の中で一番好きかもしれない。そんな日本で近い将来、素晴らしいクリエイターとコラボできたら嬉しいです」とコメント。日本の文化に強い魅力を感じている様子を見せた。

一方、小島はそんな若き俊英に本作をイメージした黄色い花束を贈呈。本編鑑賞前の観客に向けて「デジタルで育った人がデジタルの感覚をアナログのフィルムに焼き込んだらこんなに凄いという。そんな特別な体験になると思います」と予告した。

ケイン監督が映像クリエイターとして活動を始めたのは2021年頃。3Dソフトウェアを用いて、リアルな『進撃の巨人』風アニメーションを制作したことがきっかけだった。作品を発表するなかでフォロワーを増やし、翌年には『バックルームズ』の原型となる短編映像を制作。その大きな反響を受け、17歳の時には本作を配給するA24からコンタクトを受けたという。

19歳で本作を撮影したという事実に小島も驚きを隠せない様子。「僕は23歳で『メタルギア・ソリッド』を作って、A24から連絡があったのは59歳くらい。本当に羨ましい。僕の若い頃にはA24はなかったけれど、早く連絡してくれれば良かったのに…」と会場の笑いを誘った。

すでに本作を鑑賞していた小島は、ケイン監督ならではの映像表現についても独自の視点から分析。「彼はデジタル世代でゲーマー。ゲーム的3D空間で捉える感覚があるのか、普通の映画の作り方をしているのに結構違う3D空間の感覚を二次元に投げ出して、違和感のある特殊な作りをしている。そこにまずビックリ。エンタメだけれどアートで、物語の構造も面白く、サウンドを含めてクレバーなことをしている」と絶賛した。

さらに「嫉妬を覚えるくらい、これは勝てないなと思った」と、若き才能に圧倒されたことを率直に明かした小島。「観ている自分も吸い込まれていくような、自分の立ち位置が曖昧になる違和感があって、最初は何が怖いのかわからない。映画を観た後に皆で語り合って、さらにもう一度観るという楽しみが本作の醍醐味であり新しさ。若い世代やるなあと思った」と、新たな才能への賛辞を惜しまなかった。

小島が特に興味深く語ったのは、デジタルネイティブ世代であるケイン監督の創作スタイルだった。「デジタルで育った彼がアナログで作ったものが新しいエンタメになっているのが凄い。僕はアナログで育ってデジタルというゲームを作ったけれど、それと同じようなバランスでケイン監督は新しいものを作っている。デジタル世代ならではの感覚が羨ましいと思うと同時に、自分との共通点があることに驚きもあった」と、自身との共通点にも言及した。

『バックルームズ』の制作にあたり、ケイン監督は「まるでメモリーゲームをプレイしているかのような臨場感と没入感」を意識したという。その言葉を受け、小島は本作が生み出す独特の“違和感”について言及した。

「観客をあまりにも過ぎる異空間に入れてしまうとポカンとされてしまうけれど『バックルームズ』が上手いのは、現実と地続きであること」「物語の舞台となる建物自体は変わった風景ではない。でも何かが違うという違和感。常に自分と近い距離の異空間をいかに作るのかが巧みで、観客の脳が徐々に違和感を理解していくような工夫がなされている。ケイン監督がゲームに慣れ親しんできたからなのか、特に音の使い方や配置が普通の映画監督とは違うと思う」と、その演出手法を分析した。

トップクリエイターならではの鋭い指摘に、ケイン監督も満面の笑みを浮かべながら応答。自身がこだわったサウンド制作について、「スコアの作曲やサウンドデザインのプロセスにも密接に関わりました。アプローチとしては完全なサントラを作った後に、編集した映像に合わせて音のレイヤーを重ねたり、リミックスしたり、リバーブをかけたり、曲をあえて効果音のように使用したりもしました。使い方としてはゲームでの音の使い方に近いかもしれません。蛍光灯のノイズ一つにしてもトーンを変えたり、登場人物の反応に対して意図的に音を入れたりして。同時にその上に変な音が付いているという形にもしています」と明かし、作品づくりにおけるマニアックなこだわりを披露した。

映像表現から物語、そしてサウンドデザインまで、多角的に語られた『バックルームズ』の魅力。世界を熱狂させる若きクリエイター、ケイン・パーソンズ監督の独創的な発想と作品づくりへのこだわりをあらためて改めて感じさせるイベントとなった。

まとめ(注目ポイント)

  • 『バックルームズ』公開初日に来日イベント2026年9月4日の日本公開初日、ケイン・パーソンズ監督と小島秀夫が登壇した舞台挨拶。
  • 21歳の新鋭が語る創作の原点17歳でA24からコンタクトを受け、19歳で長編映画を撮影したケイン監督の歩み。
  • 小島秀夫が若き才能を絶賛「嫉妬を覚えるくらい、これは勝てない」と語り、独創的な映像表現と創造性を高く評価。
  • ゲーム感覚を生かした異空間の演出現実と地続きの異空間や、違和感を生む音の使い方について両者が分析を交わした。
  • サウンドデザインへの徹底したこだわり音のレイヤーやリミックス、リバーブを駆使した独自の音響表現の制作過程を明かした。
作品情報

バックルームズ
2026年9月4日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

STORY
ある日、自らの店の地下から異次元へと迷い込んでしまった男・クラーク。ルールすら存在しない不条理な世界で、彼は怪異に直面していく。なぜ、この空間は存在するのか。そして、ここで一体何が起きているのか――。

監督:ケイン・パーソンズ  出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット他

2026|アメリカ|126分|英語|5.1ch|原題:Backrooms|字幕翻訳:佐藤恵子 | 映倫:G | 配給:ハピネットファントム・スタジオ

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公式サイト https://a24jp.com/films/backrooms/

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