世界的ダンサー、リル・バックの驚異的なダンスの秘密と彼が育った街メンフィスを描いたドキュメンタリー映画『リル・バック ストリートから世界へ』が8⽉20⽇(⾦)よりヒューマントラストシネマ渋⾕、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中。このたび、実は「⽇本⼤好き」というリル・バックから、⽇本の観客へ⽇本語を交えた「感謝の動画」が到着。スペシャルインタビューと新着写真&未公開場⾯写真とともに公開された。
このたび到着したのは、リル・バック本⼈から映画を⾒てくれた⽇本の観客への「感謝の動画」。「ありがとうございます」と⽇本語で感謝の気持ちを述べているが、実は⽇本が⼤好きで何度も訪れているのだという。「夢はいくら大きくたっていい。だから人生でやりたいことを追いかけて、そして映画を楽しんでください」とメッセージを送っている。
また、ダンスフェスティバル、TV、CM、映画出演と多忙な中にあってラスヴェガスの⾃宅で応じたリモートインタビューも公開。映画の撮影秘話をはじめ、マイケル・ジャクソンに憧れていた話、トレードマークの“スニーカー”へのこだわりなど貴重な話が盛り沢⼭、さらに妻である⽇本⼈ダンサー・島津藍(Ai Shimatsu)へのリスペクトや⽇本との関わりも特別に語っている。
さらに今回は、リル・バックが東京ブランドに⾝を包み、⼀昨年東京に来た際に撮影した貴重な新着写真と映画の未公開ショットも公開。彼の「⽇本愛」を『リル・バック ストリートから世界へ』本編とあわせて確認してみよう。
映画の未公開ショット、リル・バックのスペシャルインタビューは以下にて。
◆リル・バック スペシャルインタビュー
――あなたを映画にしたいと⾔う監督からのオファーを受けた理由は?
リル・バック(以下 LB):4〜5 年前、バンジャマン・ミルピエ(映画『ブラック・スワン』振付、元パリオペラ座芸術監督)から監督のルイ(・ウォレカン)を紹介されました。当時、僕はアートの世界で注⽬されるようになったところでしたが、多くの⼈の僕に対するイメージは「ヨーヨー・マと“瀕死の⽩⿃”をやったダンサー」。だから、僕のダンスの根幹にあるのは、実はメンフィスのストリートダンス、ジューキンだと知って欲しくて、映画を作るというアイデアはとてもいいと思ったんです。
――完成した映画を⾒た感想やお気に⼊りのシーンを教えてください
LB:正直いうと最初、僕が映画をやるのは早すぎるんじゃないかという気持ちがありました。みんなが映画を観たときにインスピレーションを与えられるほどに⾃分はまだビッグじゃないって。でも映画を観てちょっと安⼼しました。映画にはメンフィスのダンサーがたくさん出ていて、僕の話ばかりじゃなかったから。ジューキンと育ったメンフィスの⼈たちの話を、みんなに聞いてほしいですね。だからお気に⼊りの場⾯は他のダンサーのインタビューかな。もう⼀つは、⼦供たちを教えている場⾯。僕が経験してきたことを次の世代に伝えることは僕にとって⼤切なんです。
――最初に憧れたダンサーは?
LB:最初に憧れたのは、やっぱりマイケル・ジャクソン。まだシカゴにいた頃だけど、姉とマイケルの映像を⾒ては真似ようと⼀⽣懸命でした。マイケルのダンスはまるで神業。⼿が届かないものだと思ってました。ところがメンフィスへ引っ越したら、僕と同じ年頃の⼦が「マイケル以上かも?」と思うほどのテクニックで踊ってたんです。もう、びっくりです。「この重⼒に逆らっているようなダンスは何?!」って。それがメンフィスジューキンだったんです。
――あなたのダンスのシグネチャーといえば、スニーカーのつま先⽴ちで踊る姿。スニーカーにどんなこだわりがありますか?
LB:まずどんなサーフェス(表⾯)で踊るか。堅い⽊のフロアなのか、コンクリなのか、スタジオの床なのか。サーフェスによってシューズを選んでますね。僕はナイキを履いて踊ることが多いですが、踊りやすい靴底で、つま先で⽴って踊っていてもとても楽で、滑るようなムーヴがやりやすいんです。僕の場合、シューズの側⾯を下にしてスピンするので、そうなると裂けてしまったりして⻑持ちしないのが悩みかな。もちろん、誰も僕みたいにスニーカーでスピンしたりしないから気にしなくていいんですけど(笑)
――奥様の島津藍さんも世界的に活躍するダンサーですが、お互いのどんなところをリスペクトしあっていますか?
LB:⾃分たちにとって⼤切なこと、情熱を持てることに、⾃分を捧げられるところです。相⼿が何に情熱を持っているのか知っているし、お互いのことを愛しあっています。彼⼥は、僕がダンスや⽂化に対してやっている仕事や、ダンスに関するいろんな境界を壊していることをリスペクトしてくれていますし、僕は彼⼥を、⼒強いダンサーとして、そしてムーヴメントの中に⾃分の個性を⾒つけ出している⼈としてリスペクトしています。彼⼥から学ぶことは多いです。同時に彼⼥も僕から多くのことを学んでいる、そんな関係だと思います。
――以前、東京のストリートで踊っている動画をアップしていましたね。⽇本には何度もきているのですか?
LB:妻に「私よりも⽇本に⾏っている」とからかわれるほどです(笑)。⽇本のカルチャーが⼤好きで、僕のムーブには⽇本のアニメやカルチャーから取り⼊れたものもあるんですよ。本当なら映画に合わせて今すぐにでも⽇本に⾏きたいくらい。⼀昨年、パンデミックになる前、⽇本で妻と⼀緒にダンスのワークショップをやったこともあるので、また⽇本に⾏けたら今度は⼦供たちにダンスを教えてみたいですね。
――若い頃のあなたにとってダンスとはどんなものでしたか? そして今のあなたにとっては?
LB:⼦供の頃、僕の家庭はとても貧しくて、姉と⼀緒にダンスをすることだけが最⾼の時間の過ごし⽅だったんです。踊っている時だけが⾃由を感じられる時間。誰にも断罪されることなく、誰にも批判されることなく、本当に⾃分⾃⾝の喜びのためだけに踊って、本当に幸福になれる究極の⾃由だったんです。今の⾃分にとっては、ダンスは喜びだけでなく、ミッションがあると思っているんです。後に続くダンサーたちをインスパイアしていきたい。僕がやってきたことは夢物語ではなくて、実際にできるんだよと伝えたい。そしてダンスというアートフォームは、他の芸術と同様にファインアートになるもので、エンタテインメントとして消化するだけでなく、世界を変える⽴派なツールにもなるんだよ、というメッセージを広めていきたい。友⼈であるジョン・ブーズと始めた「MOVEMENT ART IS」(M.A.I.)の活動を通して、そうした⾃分たちのメッセージを広めてダンサーたちの背中をプッシュし続けられるようにしたいですね。
島津藍(Ai Shimatsu)とのコラボ、東京のストリートでのダンス、M.A.I のショートフィルムが⾒られる動画まとめはこちら▶
https://note.com/moviola/n/n7ffdf628f9b6
リル・バック ストリートから世界へ
2021年8月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺他全国順次公開中
全⽶有数の犯罪多発地域で、キング牧師が暗殺された場所としても知られるテネシー州、メンフィス。そんな闘争の街で育ったチャールズ・ライリー(愛称リル・バック)は、メンフィス発祥のストリートダンス“メンフィス・ジューキン”にのめり込む。「ダンスが上⼿くなりたい」。それだけを願った少年は、やがて奨学⾦を得てクラシックバレエにも挑戦、ジューキンとバレエを融合させ、名曲「⽩⿃」(「瀕死の⽩⿃」)を踊った。やがて、その「⽩⿃」を世界的チェロ奏者ヨーヨー・マに⾒初められ、あるパーティーで共演。偶然居合わせた映画監督スパイク・ジョーンズがその様⼦を携帯で撮影し、YouTube に投稿した。その1本の動画が、リル・バックの運命を変えていく。タフな街に育った少年が唯⼀無⼆の世界的ダンサーとなり、メンフィスの⼦供たちの光になるまでの軌跡を描いた本作は、バンジャマン・ミルピエのドキュメンタリーなどを⼿掛けたルイ・ウォレカン。ジャネール・モネイ、マドンナとの共演や、ヴェルサーチ、シャネルなどとのコラボなど、多彩な活躍を続けるリル・バックのダンスは必⾒だ
原題:LIL BUCK REAL SWAN|2019年|フランス・アメリカ|ドキュメンタリー|85分
監督:ルイ・ウォレカン
配給:ムヴィオラ
©️2020-LECHINSKI-MACHINE MOLLE-CRATEN “JAI” ARMMER JR-CHARLES RILEY
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