ホラー映画の帝王と呼ばれるジョン・カーペンター監督の特集上映「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」が2022年1月7日(金)より開催されるの記念して、画家のヒグチユウコが描き下ろした『ザ・フォッグ』のイラストが到着した。また大島依提亜が手がけた、VHS風にデザインされたパンフレットのビジュアルも解禁された。
SF・ホラー作品でカルト的な人気を誇るジョン・カーペンター監督は『遊星からの物体X』(82)、『クリスティーン』(83)など数々の名作を生み出し、多くの映画ファンに愛される名匠の一人。今回の特集上映「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」では『ザ・フォッグ』『ニューヨーク1997』『ゼイリブ』の3作品が上映される。
そんなカーペンターの熱狂的ファンであることを公言するのは、J・J・エイブラムス、クエンティン・タランティーノ、ロバート・ロドリゲス、エドガー・ライト、ここ日本では、黒沢清監督、大ヒットゲーム「メタルギア」シリーズのゲームデザイナー・小島秀夫と鬼才のビッグネーム揃い。先日解禁になった、うえむらのぶこ、レイナス 、SITE (Ghetto Hollywood)によるレトロスペクティブ描き下ろし3作品の豪華イラストにSNSからも大きな反響が。小島秀夫も自身のSNSで投稿するなど話題となっている。
今回到着したイラストは、最近では『ラストナイト・イン・ソーホー』(21)のイラストを手がけ話題となった画家のヒグチユウコが『ザ・フォッグ』を描き下ろしたもの。『ザ・フォッグ』は100年前の怨みを晴らすために霧と共に現れた亡霊たちが港町アントニオ・ベイを襲う、隠れた名作ホラーと名高い作品だ。
イラストでは『ダーティハリー2』(73)や『大統領の陰謀』(76)、『カプリコン・1』(77)のハル・ホルブルック演じるマローン神父が金でできた十字架をなんとも険しい表情で抱えている姿が目を引く。そのすぐ背後には亡霊が…。霧で隠れた亡霊の姿がはっきり見えない、この“得体の知れない者たち”も色濃くそして繊細な筆致で描かれている。
ヒグチユウコはこのイラストについて「霧と共に現れる亡霊たち。そして不安を煽る印象的な音楽。魅力は随所にあるのですがどこを描くか、となった時真っ先に神父と十字架を選びました。ホラーの名作の絵を描くのは最高に楽しかったです」と語っている。
さらに追加で本特集上映へのコメントも到着。「ジョン・カーペンター 読本」にも寄稿している映画監督、青山真治は「こんな機会、十年に一度あるかないかだぞ!!!」とレトロスペクティブに向けて期待を述べ、大人気バンドnever young beachのベースとして活躍し、映画通として知られる巽啓伍は「ジョンカーペンター作品、特に"ゼイリブ"のリバイバルは今、とても意味のあることかもしれません。」と語る。さらに、実写化もされたTVアニメ「COWBOY BEBOP」(98)や映画『ブレードランナー』(82)と35年ぶりの続編となる『ブレードランナー 2049』(17)の空白の時間を描いたショート・アニメーション「ブレードランナー ブラックアウト2022」(17)などのアニメーション監督、渡辺信一郎は「余計なものは詰め込まず、的確でしかし充分に映画たりえるという彼のやり方を学ぶべきじゃないでしょうか」とカーペンター作品を絶賛している(コメント全文は以下にて)。
また大島依提亜が手がけたVHS風にデザインされたパンフレットのビジュアルも解禁。80年代カルチャーの金字塔ジョン・カーペンターの世界観を表現するため、80年代主流のビデオテープのデザインで現代に蘇る。
パンフレット寄稿者も豪華な顔ぶれ。ジョン・カーペンター大ファンの黒沢清監督がイントロダクションを寄稿。映画文筆家でカーペンター研究家でもある鷲巣義明はカーペンター映画のトリビアについて伝授。さらに、上映される3作品への寄稿も必見。『ニューヨーク1997』では、「GANTZ」、「いぬやしき」の漫画家、奥浩哉のインタビューが。『ゼイリブ』ではアイドルグループ「GO TO THE BEDS」のメンバーで映画好きのテラシマユウカがコラムを執筆。『ザ・フォッグ』では画家ヒグチユウコ描き下ろしイラストがポストカードとして封入。多方面で活躍するメンバーたちがジョン・カーペンターについて、そして作品について思いの丈を惜しみなく語った超豪華パンフレットはなんと上映作品の写真をあしらったポストカード16点がセット。1月7日より全国の上映劇場で販売開始される。
そして1月7日からの上映スタートに先駆けて、2021年12月31日(金)にヒューマントラストシネマ渋谷にて、ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022上映作品、『ニューヨーク1997』、『ザ・フォッグ』、『ゼイリブ』4Kレストア版の一挙上映が開催。この日限定で、スペシャルな音響体験のできるodessa 導入スクリーンで上映され、同日に3作品を1つの劇場で楽しめる貴重な1日となる(※オールナイト上映ではなく昼から夕方にかけて各作1回ずつの上映。3本セット上映ではなく、各作品¥1,300均一での上映)
大晦日SP上映の詳細
【劇場名】
ヒューマントラストシネマ渋谷
スクリーン:odessa シアター1
【日程】
12/31(金)
【上映スケジュール】
11:45・・・「ザ・フォッグ」
13:50・・・「ニューヨーク1997」
15:50・・・「ゼイリブ」
ジョン・カーペンター監督の特集上映「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」は2022年1月7日 (金)から1月27日(木)の3週間限定で、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺にて開催。
コメント寄稿者 全文 *五十音順、敬称略
●青山真治(映画監督)
『ゼイリブ』が世界に発した予告(予言ではない)から三十三年が経過し、某駅通路でご存知だろう、現実はその予告通りのものとなった。我々はもうダメだ。だがもしこの現実を克服するヒントがあるとしたら、それもやはりカーペンター作品のどこかに隠されているはずではないか。だとしたら見なければならない、一刻も早く! それでなくともこういう王道の娯楽映画の火は消えようとしているのだ。消えていいわけがない。娯楽映画を救え! カーペンターを救え! なに? カーペンターは悠々自適に『ハロウィン』最新作の音楽を作っている!? それならそれでいい、それも見に行こう、そして娯楽映画の不滅を確認せよ!! こんな機会、十年に一度あるかないかだぞ!!!
●巽啓伍(never young beach/写真家)
外へ出れば無意識に目に飛んでくる広告、パンデミックに起因した錯綜する情報。受け取る言葉を疑って、正しさを自分で見つけるということ。ジョンカーペンター作品、特に"ゼイリブ"のリバイバルは今、とても意味のあることかもしれません。
●ヒグチユウコ(画家)
霧と共に現れる亡霊たち。そして不安を煽る印象的な音楽。魅力は随所にあるのですがどこを描くか、となった時真っ先に神父と十字架を選びました。ホラーの名作の絵を描くのは最高に楽しかったです。
●渡辺信一郎(アニメーション監督)
最近の映画が、とにかく長い。そして内容を詰め込みすぎで、見終わるとぐったり疲れてしまう。そもそも娯楽なのに人をぐったりさせるなんておかしくないか?そんな今こそ、カーペンターを見直すべきじゃないか?今回の3本ともすべて90分台、娯楽映画はこうじゃなくちゃという長さ。そして余計なものは詰め込まず、的確でしかし充分に映画たりえるという彼のやり方を学ぶべきじゃないでしょうか
ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022
2022年1月7日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館/UPLINK吉祥寺にて 3週間限定公開
『ニューヨーク1997』
監督・脚本:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル、リー・ヴァン・クリーフ、アイザック・ヘイズ
1981年/アメリカ/99分/原題:Escape from New York
© 1981 STUDIOCANAL SAS - All Rights Reserved
『ザ・フォッグ』
監督・脚本:ジョン・カーペンター
出演:エイドリアン・バーボー、ジェイミー・リー・カーティス、ジャネット・リー
1980年/アメリカ/99分/原題:The Fog
© 1979 STUDIOCANAL
『ゼイリブ』
監督・脚本:ジョン・カーペンター
出演:ロディ・パイパー、メグ・フォスター、キース・デヴィッド
1988年/アメリカ/94分/原題:They Live
© 1988 STUDIOCANAL S.A.S. All Rights Reserved.
この記事が気に入ったらフォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow WEEKEND CINEMA