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スウェーデンの女性画家ヒルマ・アフ・クリントのドキュメンタリー映画『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』(4月9日公開)でメガホンを取ったハリナ・ディルシュカ監督が、ヒルマ・アフ・クリントの作品と出会うきっかけや映画制作に至る動機など語った。また世に知られず生涯を終えた女性画家ヒルマ・アフ・クリントの絵が現代の人々を魅了する理由についても解説している。

ハリナ・ディルシュカ監督
「多くの人々が彼女の絵に感動し、微笑み、そして時には陶酔しているのを目にしました」

抽象的絵画の先駆者でありながら、長らくその存在を知られておらず、近年ようやく認知され、その評価を急速に高めているスウェーデンの女性画家ヒルマ・アフ・クリント(1862~1944)。2019年、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された回顧展は同館史上最高の動員を記録し、巨匠ラッセ・ハルストレムが最新作『Hilma』で彼女の生涯を描くなど、今や欧米で大きな注目を集める存在だ。

自身の死後20年は作品を公表しないよう言い残し世を去り、美術史からも拒絶されていた彼女。本作は、謎に包まれたその生涯、そして彼女を拒んだ美術史の裏側にも迫る作品となっている。

メガホンを取ったのは、ドイツ出身のハリナ・ディルシュカ監督。本作が彼女の長編映画監督デビュー作となる。

『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』
ハリナ・ディルシュカ監督インタビュー

——ヒルマ・アフ・クリントの作品には、いつどのようにして出会ったのですか? また、なぜヒルマ・アフ・クリントを映画にしようと思ったのですか?

私が初めてヒルマ・アフ・クリントの作品に出会ったのは、2013年にベルリンで開催された展覧会でした。それは彼女の初めての回顧展で、その半年前にストックホルムで始まったものでした。

会場に入って彼女の作品に出会った瞬間、文字通り息をのむような感動がありました。彼女の代表作「The Ten Largest」を見るのは、自分の倍の高さもある、最も輝く暖色系の絵画群に周囲25メートルを囲まれるということです。しかし、この作品の最も注目すべきところは触知性にあると思います。絵画に描かれたシンボルは輝いていて、生命を理解するエネルギーがあふれ出ています。私たちの存在が、私たちが考えているのとは何か違うものであることを、思い起こさせるのです。私はこの作品をみんなに伝えなければという不思議な感覚に陥りました。すぐに映画を作ろうと決心しました。展覧会のオープニング・ナイトでキュレーターに「映画を撮ろうと思っているんです」と言っていました。考えるより先に言葉が出てきたんです。それは、自分では決めていないのに、すでに決まっていたという、とても稀な瞬間でした。

——本作を作る過程で、最も苦労したところはどこですか?

当時まだ知られていなかった芸術家の映画を作るための資金集めも大変でしたが、最も大変だったのは、ヒルマ・アフ・クリントの人生に関する十分な資料と彼女の人生を理解する重要なヒントを探し出すことでした。ストックホルムにあるヒルマ・アフ・クリント財団のアーカイブに、すべての資料が保管されていました。当時はまだアーカイブの体制が整っていなかったのですが、彼女の大甥であるヨハン・アフ・クリントの協力を得ることができました。1,000点以上の絵画と25,000ページのノートがあるアーカイブを整理するのは大変なことです。 当時、ヒルマ・アフ・クリントの研究をしていた人はあまりいなかったので、未知の領域を開拓することになったのです。とはいえ、そのおかげでリサーチのプロセスは非常に魅力的なものになりました。前人未踏の道を行くのは、いつだって面白いものです。

自分で掘り起こさなければならないことがたくさんありましたが、当時はあまり翻訳されていなかったので、まずスウェーデン語の勉強を始めました。それで少なくとも彼女のノートの一部分は理解することができるようになりました。彼女が何を書き、何を考えていたのか、それを知りたかったのです。

また、私がリサーチを始めた当初は、ヒルマ・アフ・クリントの写真が3枚しかなかったことも、大きなチャレンジでした。でも、最初からこの映画のために、自分で写真を探さなければならないと思っていました。

この映画では、自然が大きな役割を果たすことは明らかでした。最初に彼女の絵の前に立ったとき、水や植物、自然がそこから伝わってくるのがわかりました。その後、リサーチをしているうちに、彼女も自分を取り巻く自然をよく観察することから始めていることがわかりました。

この映画制作を通じて、一人の芸術家とその作品の生い立ちを知ることができただけでなく、目に見えないものの存在を垣間見せてくれる作品群に出会えたことは、私にとって最も素晴らしい旅のひとつとなりました。

——ヒルマ・アフ・クリントは霊的世界や神秘主義にも傾倒していたことが本作でも描かれています。彼女の興味深い部分だと思いますが、監督はどう捉えていますか?

ヒルマ・アフ・クリントの神秘主義への傾倒は、まさに彼女の作品、そして人生において最も重要な部分です。彼女の絵画は、いわゆる現実と精神世界が実は同じものであることを可視化しています。ただ、すべての人間がそれを認識できるわけではありません。認識するためには、それを受け入れ、自分の考えや信念の境界を越えなければなりません。彼女の絵画は、正しい方法で心と目を開きさえすれば、人生のより深い意味を見ることができるということを証明しています。そのことが彼女の作品を本当に特別なものにしているのです。語られないもの、つまり今は言葉がない領域を垣間見せてくれる、非常にスピリチュアルな作品なのです。それは、確かに存在しているけれど、目に見える世界の向こう側にある。私たちの世界の一部でありながら、私たちが見ている気になっているものの向こう側にあるのです。

——なぜ、ヒルマ・アフ・クリントの作品は現代の人々を魅了するのでしょうか? 監督の考えを聞かせてください。

もちろん、ヒルマ・アフ・クリントは、今までの芸術の常識を覆す画期的な芸術家です。それは非常に興味をそそることです。しかし、それ以上に重要なのは、彼女の作品が私たちに何を与えてくれるのか、そしてそれを前にした人々がどのような反応を示すのか、ということです。

私はリサーチの過程で、他の誰にも似ていない、独自の経歴を持つ女性の姿を発見しました。彼女の作品は今までの芸術とは比較にならないほど卓越したものです。モンドリアンやカンディンスキー、クレーの作品の中に彼女の作品を見たような気がしたとしても、彼女の作品からはそれらとは違う瞑想的な落ち着きと幸福感があふれ出ています。人々は彼女の絵の前でそれを感じることができるのです。撮影中、多くの展覧会に足を運びましたが、多くの人々が彼女の絵に感動し、微笑み、そして時には陶酔しているのを目にしました。

——本作は一人の女性の生き方も描いています。監督は彼女の人生、生き方をどう思いますか?

彼女はとても成功した人生を送ったと思います。仕事を認められず不幸だったと思う人もいるかもしれないし、ある意味それは真実です。それでも彼女は自分の道を貫き、目に見えるものの先を見て、最後まで仕事をしたのです。

彼女の物語で一番好きなのは、歴史が必ずしも真実を語っているわけではないということを示している点です。女性が偉大なことを成し遂げるのは、いつでも可能だったのです。優れた芸術や科学を創造した女性はたくさんいるのだから、私たちは歴史を書き直さなければならないでしょう。どの時代にも、素晴らしいことをした並外れた女性たちがいるはずです。彼女たちはそれが許されるのかなどとは考えず、ただそれをやったのです。

そのようにして、彼女は素晴らしい作品を私たちに残してくれました。私は今の時代に彼女の作品群の最終的な置き場所が決まればと思っています。彼女は人生の終わりに、作品の置き場所を探していて、そのための神殿を構想しました。それが早く実現することを願っています。

ハリナ・ディルシュカ監督 プロフィール

1975年、ドイツ・ベルリン生まれ。演技、クラシック歌唱、映画制作を学んだ後、ベルリンにAMBROSIA FILMを設立。初監督作品の短編映画『9andahalf's Goodbye』(2010年)は、世界40以上の映画祭で上映され、数々の賞を受賞。その後監督、プロデューサーとして『Deja Vu』 (2013) を手がける。本作『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』は、ヒルマ・アフ・クリントを取り上げた初めての映画で、彼女の長編映画監督デビュー作となる。

作品情報

見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界
2022年4月9日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー

監督:ハリナ・ディルシュカ 出演:イーリス・ミュラー=ヴェスターマン、ユリア・フォス、ジョシュア・マケルヘニー、ヨハン・アフ・クリント、エルンスト・ペーター・フィッシャー、アンナ・マリア・ベルニッツ
2019/ドイツ/94 分/英語、ドイツ語、スウェーデン語/英題:Beyond the Visible – Hilma af Klint

配給:トレノバ 後援:スウェーデン大使館

公式サイト https://trenova.jp/hilma/

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