第71回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した、ルーマニアの鬼才ラドゥ・ジューデ監督が放つ衝撃作『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』(4月23日公開)の本編映像が解禁された。夫とのプライベートセックス動画が流出・拡散してしまった名門校の女性教師が保護者らと対峙するシーンだ。

監督「セクシュアルなこと以上によっぽど“猥雑な”ものが世の中には溢れている」

本作はルーマニア・ブカレストを拠点とする鬼才ラドゥ・ジューデ監督が放つ、類を見ない怪作。冒頭のあけすけな本番セックスシーンに始まる挑戦的な作品で、本年度アカデミー賞国際長編映画賞ルーマニア代表作品、さらにニューヨークタイムズが選ぶ2021年ベスト10第2位(6位は『ドライブ・マイ・カー』)に選出されるなど世界中で大きな反響を呼んでいる。“監督〈自己検閲〉版”と大々的に謳われた本作は、シーンの要所要所に「殺人シーンはOKで、フェラはNGだって?」「見られなくて残念!」「検閲版だよ!」といったアイロニカルで挑発的、ユーモア溢れるメッセージが文字通り本編に映し出されてゆくスペシャルver.となっている。

3部仕立てになっている本作では、1部では、夫とのプライベートセックス動画が拡散してしまった名門校の教師でもある主人公・エミがルーマニア・ブカレストを彷徨う姿を追い続け、2部では様々なワードにまつわるコラージュを、そして最終局面を迎える3部では、この騒動を説明、解決するために学校で開かれる保護者会の大団円(?)の様子が余すところなく描かれている。

このたび解禁された本編映像は、セックス動画が流出してしまった名門校の女性教師エミが保護者たちが待つ学校へと赴くところから始まる。到着するやいなや、待ち構えていた保護者たちは校長の仲裁もむなしく、すでに臨戦態勢…。

事の発端である動画を皆で確認しようと言い出す母親、文句を言いながらも集まっては好き勝手な発言を繰り返す保護者たち。エミの訴える正論や今までの教育者としての人格は袖にされ、話の論点は「教育者のするセックス」ばかり。ただの興味の対象としてさらされたエミの眼差しが印象的だ。過剰なマスクで表情を覆い隠す保護者たちの姿はさながら、私たちが日常で目にしているSNS上で執拗に絡みついては罵倒を繰り返す顔のない人々を表しているかのよう。

ラドゥ・ジューデ監督は「僕はセックスが卑猥だとは思わない」「セクシュアルなこと以上によっぽど“猥雑な”ものが世の中には溢れている」と全編を通して終始観客へ訴える。

一方的に追い詰められたエミはこの後どのような行動を起こすのか。皮肉めいたメッセージとともに強烈な余韻を残すラドゥ・ジューデ作品が、エンタメ作品とは異なった刺激的な体験をもたらすことは間違いなさそうだ。

『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版〉』は4月23日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー。

作品情報

アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版
2022年4月23日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー

監督・脚本:ラドゥ・ジューデ
2021/ルーマニア、ルクセンブルク、チェコ、クロアチア/ルーマニア語/106 分/シネスコ/5.1ch/英題:BAD LUCK BANGING OR LOONY PORN/字幕翻訳:大城哲郎/配給:JAIHO R-15

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