ドキュメンタリー映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』の公開と展覧会「ボテロ展 ふくよかな魔法」が4月29日(金・祝)より始まり、今最も注目を集めている美術家フェルナンド・ボテロ。“南米のピカソ”とも称されるボテロ作品の3つの鑑賞ポイントとは?

『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』
ボテロの絵ではメリハリのついた、設計された「ふくよかさ」が演出されている

世界で最も有名な存命の芸術家、フェルナンド・ボテロ。人間も静物もなぜだかみんなふっくら、ぷっくりと膨らみ、素朴でユーモアあふれる作風が愛される巨匠だ。90歳のマエストロは現在も毎朝アトリエに通い、多幸感あふれる独創的な作品を生み出し続けている。

その波乱万丈な人生と、多幸感あふれる創作の秘密に迫るドキュメンタリー映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』が4月29日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次ロードショー。また同時にボテロの展覧会「ボテロ展 ふくよかな魔法」も4月29日(金・祝)よりBunkamura ザ・ミュージアムにて開催される。ボテロ作品の鑑賞ポイントをおさえておくと、映画も展覧会もより楽しめること間違いなしだ。

鑑賞ポイント①ふくよかなポイント、そうでないポイントを探す

ボテロの絵に出てくる人物や動植物、モノなどのイメージは、どれも大きく膨れ上がっているが、よくよく見てみると、すべてのパーツが一様にパンパンに膨れ上がっているわけではないことに気づく。たとえば人物画なら、まずは「顔」を見てみると、目や鼻、耳といった顔のパーツは、膨張した顔そのものに比べると非常に小さく見え、顔のパーツは通常サイズのままに据え置かれている。あるいは手や足を見てみると、腕や太ももは大きく膨らんでいるのに、指先や足先は、通常サイズで描かれている。このように、ボテロの絵ではメリハリのついた、設計された「ふくよかさ」が演出されている。彼の絵画や彫刻を鑑賞する時は、作品のどのポイントが特に大きく、豊満に誇張されているのかをじっくりと観察してみてほしい。「ふくよかではない」部分を合わせて見ていくことで、ボテロの表現したかった「ふくよかさ」の本質がよりクリアに見えてくるはず。

鑑賞ポイント②色彩のバランスを楽しむ

ボテロの「ふくよかさ」は、第一に「かたち」として描き出されるが、そのかたちの面白さをさらに引き出しているのが、ボテロに備わった抜群の色彩感覚。彼の色彩感覚は生まれながらのものではなく、長年の絵画修行によって少しずつ獲得してきたもの。明るく華やかで、安定した色使いはルネサンス絵画から学び取ったもの。イタリアの古典絵画では数百年前から伝統的に使われてきた、「緑」と「赤」、「黄」と「紫」など、色相環上の反対色を効果的に使う配置も面白い。

鑑賞ポイント③背景に見る、ワンポイントの遊び心

ボテロの作品は、画面の中央に描かれた主役以外にも見どころがたくさん。主役の人物を一通り見たら、彼らが手に持っている小物や足元に落ちているアイテム、そして画面の背景などにもくまなく目線を走らせていただきたい。大抵の作品で、絵にストーリー性を持たせるような小道具や、過去の名作へのオマージュ、クスリと笑えるような人物などが描き加えられていることに気づくはず。かつてラファエロやゴヤ、ベラスケスがそうしたように、さりげなくボテロ本人が絵の中に登場するケースもある。室内画では、画面内に描かれた引き出しやドアの一つが、なぜか少しだけ必ず半開きになっていたり、室内灯は必ずといっていいほど天井から垂れ下がった裸電球で表現されていたりと、ボテロならではのこだわりが詰まっている。

フェルナンド・ボテロ(Fernando Botero Angulo, 1932年4月19日- )とは

コロンビア生まれの画家で彫刻家。1932年4月19日に商人の父とお針子の母の元に生まれる。幼い頃に父を亡くし貧しい家庭で育つ。新聞のイラストレーターとして働き始め、修行のためヨーロッパ、メキシコ、NYへと移る。人間や動物をふくよかな体型で表現したユーモアあふれる独特の作風は、厳しい評価を受ける一方で次第に注目を集め、世界でもっとも有名な存命するアーティストのひとりと称されている。90歳の現在もパリ、ピエトラサンタ、NYを拠点に精力的は活動を続けている。

作品情報

フェルナンド・ボテロ 豊満な人生
2022年4月29日(金)より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

監督:ドン・ミラー |2018 年|カナダ|英語・スペイン語|ビスタ|デジタル5.1|82分|原題:BOTERO
提供:ニューセレクト

配給:アルバトロス・フィルム

© 2018 by Botero the Legacy Inc. All Rights Reserved

公式サイト botero-movie.com

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