本年度のアカデミー賞®で作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされた『リコリス・ピザ』(7月1日公開)のショーン・ペン&トム・ウェイツの場面カットが解禁された。彼らが演じたキャラクターのモデルとなった人物とは?

ベルリン国際映画祭で金熊賞、世界三大映画祭であるカンヌ、ヴェネチア、ベルリンすべてで監督賞受賞と伝説を作り、常に世界中の映画ファンが新作を心待ちにしている天才監督ポール・トーマス・アンダーソン。その最新作が本作『リコリス・ピザ』。オリジナル脚本の完成度の高さ、細かな脇役に至るまで行き届いた演出が高く評価されている。舞台は1970年代のハリウッド近郊、サンフェルナンド・バレー。実在の俳優やプロデューサー、実際の出来事を背景に、アラナ(アラナ・ハイム)とゲイリー(クーパー・ホフマン)が偶然に出会い、すれ違い、歩み寄っていく恋模様を描き出す。
三姉妹バンド、ハイムの三女であるアラナ・ハイムとポール・トーマス・アンダーソン監督の盟友フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマンがともに本作で鮮烈な映画デビューを飾り、主演女優賞やブレイクスルー賞を総なめにして話題を呼んだ本作。そのフレッシュな主演の2人とは対称的に、本作では誰もが知るエンタメ界のレジェンドたちが、実在の人物をモデルにした役どころで出演し、物語にアクセントと深みを与えている。
アラナが受けたオーディションで出会い、意気投合する俳優ジャック・ホールデンを演じたのはショーン・ペン。彼のモデルは、ロマンティックな『麗しのサブリナ』(54/ビリー・ワイルダー監督)から西部劇『ワイルドバンチ』(69/サム・ペキンパー監督)まで幅広く活躍した、ハリウッドを代表する超有名俳優のウィリアム・ホールデン。髪をオールバックにぴっちりと撫でつけ、低い声で囁く伝説の二枚目スターを嬉々として演じているショーン・ペンはファンならずとも必見だ。

また、レックス・ブラウという映画監督を演じ、観客を驚かせるのは、ミュージシャンとしてロックの殿堂入りを果たし俳優としても活躍するトム・ウェイツ。モデルはウィリアム・ホールデン主演の『トコリの橋』を監督したマーク・ロブソン監督が有力だが、その破天荒さはサム・ペキンパー、ジョン・ヒューストンもモデルにしているようだ。

なかなか出演依頼を受けないトムをどのような経緯でキャスティングしたかについて、ポール・トーマス・アンダーソン監督は「ショーン・ペンをジャック・ホールデン役にキャスティングしてから、レックス・ブラウを誰が演じるべきか、2人で考えたんだ。その時、ショーンがトムを提案したんだよ。彼らはとても親しいからね。それなら受けてくれるかもしれないという気持ちもあって良いアイデアだと思ったんだ」と語る。
トムが快く役を引き受け、撮影が始まると「僕は監督として、必要がないカットにも関わらず、ただ彼がすることを見ていたいがためにカメラを回していました」とその人間としての引力の大きさを語った。
夜のレストランで名監督と、ウィリアム・ホールデンというレジェンドが顔を合わせて盛り上がるシーンでは、多くの映画ファンがかつて誰もが憧れた70年代のハリウッドに入り込んだような錯覚に陥り、心を揺さぶること間違いなしの名シーンとなっている。
『リコリス・ピザ』は7月1日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
リコリス・ピザ
2022年7月1日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督・脚本・撮影:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディ
原題:Licorice Pizza
配給:ビターズ・エンド、パルコ ユニバーサル映画
© 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト licorice-pizza.jp