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ベルリン国際映画祭で絶賛され、ドイツ映画賞で最多 10 部⾨ノミネート主要 3 部⾨を受賞した注⽬作『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』(6⽉10⽇公開)の⼀般試写会が6月8日(水)に都内で開催され、上映後に主演でドイツ映画界のトップスター、トム・シリングがオンライントークに登壇した。「最も訪れたい国!」という⽇本の観客に、本作への思いを語った。

『ピエロがお前を嘲笑う』『ある画家の数奇な運命』などで知られるトム・シリングの主演最新作『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』は、「⾶ぶ教室」などの児童⽂学で知られるエーリヒ・ケストナー唯⼀の⼤⼈向け⻑編⼩説を映画化した作品。舞台は1931年のベルリン。どこか現代にも重なる時代、作家を志してベルリンにやってきたファビアンはどこへ行くべきか惑い、立ち尽くす。コルネリアとの恋。ただ一人の「親友」ラブーデの破滅。コルネリアは女優を目指しファビアンの元を離れるが……。

今回開催されたトークイベントでは、トム・シリングが画⾯に映し出されると、会場には⼤きな拍⼿が沸き起こった。「コンニチハ!」と⽇本語をまじえて観客に挨拶したシリングは、「⽇本は最も訪れたい国。実は⽇本観光は僕の To Do リストの⼀番上にあるんですよ」と話した。
本作で⽇本に初めて紹介される監督のドミニク・グラフ監督について聞かれると「ドイツの名匠でずっと彼の映画に出るのが夢だった。50 年にわたって素晴らしい映画を作っている⽅です。監督のご両親が俳優で、それが彼の俳優への敬意につながっているのかもしれませんが、すごい監督なのに現場にいると安⼼感がある」と語った。
そんな監督に「トム・シリングがこの役を演じたくないと⾔ったなら、僕はこの映画を撮らなかった」とまで⾔わしめた“ファビアン役”について、「監督がそこまで考えてくれたということは、僕がどこかにこの役と近しいものを持っている、と監督が思ってくれたんだと思う」と話した。
原作は児童⽂学で知られるエーリヒ・ケストナー唯⼀の⼤⼈向け⻑編⼩説。原作については「⼩説のことは知っていたけど、映画のオファーが来るまでは読んだことはなかった。もちろん映画が決まってから、すぐ読んだ」と話し、「90年前の⼩説なのに、現代と共通点があると⾔われるのは、何かが壊れてしまいそうだ、と皆が感じていて、“どこか”に⾏きたい、でも叶わない…そんな感覚が似ているところかもしれない」と真剣に語った。

俳優の仕事について聞かれると「俳優をやりたいと思ったことは⼀度もないんです!」とジョークを交えて会場を笑わせた。「⼦役として始めたんですけど、その時も“君ならできるよ”って誘われたからだった。⼦供の頃はむしろ画家や⾳楽家になりたかったんだ。今は⾳楽に興味が向いていて、ちょうど2枚⽬のアルバムも出したところだよ」と茶⽬っ気たっぷりに⾃⾝のアルバムを観客に⾒せるサービスも。しかし、「映画ファンのために俳優を続けてくださいね」と司会から声をかけられると「まだここだけの秘密だけど次回作は…」と、ドイツのとても有名な⼩説の映画化に出演することを明らかにして、観客を安⼼させた。

最後に「この作品は⼈⽣と愛についての素晴らしい映画。⽢く、でもほろ苦い感情が体験できると思う」と⼀⾔。⼤きな拍⼿に笑顔と投げキスで応え、トークを締めくくった。
『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』は今週末6⽉10⽇(⾦)から公開。
さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について
2022年6月10日(金)より Bunkamura ル・シネマ他全国順次公開
STORY
時代は 1931 年のベルリン。狂躁と類廃の 20 年代から出⼝のない不況へ、⼈々の⼼に⽣まれた空虚な隙間に⼊り込むように、ひたひたとナチズムの⾜⾳が聞こえてくる。どこか現代にも重なる時代、作家を志してベルリンにやってきたファビアンはどこへ⾏くべきか惑い、⽴ち尽くす。コルネリアとの恋。ただ⼀⼈の「親友」ラブーデの破滅。コルネリアは⼥優を⽬指しファビアンの元を離れるが……。
英題:Fabian - Going to the Dogs|原作:エーリヒ・ケストナー「ファビアン あるモラリストの物語」(みすず書房)|監督:ドミニク・グラフ|出演:トム・シリング(『コーヒーをめぐる冒険』『ピエロがお前を嘲笑う』『ある画家の数奇な運命』)、ザスキア・ローゼンダール(『さよなら、アドルフ』『ある画家の数奇な運命』)
2021 年|ドイツ|178 分|スタンダード|字幕:吉川美奈子
配給:ムヴィオラ
©Hanno Lentz / Lupa Film
© 2021 LUPA FILM / DCM Pictures / ZDF / Arte
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